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雇用の常識「本当に見えるウソ」
私
09年2月
、 構想日本
という 政策集団
の 宮島理
氏が、 バブル崩壊前と比較
して、 35歳以上
の正社員が増加し、格差も縮小
したとメールマガジンに書いた。
さらに 宮島
氏によると、 35歳未満
では、 正社員の割合が減少し、世代内格差も拡大
した。
35歳以上の既得権層
によって 新規参入者
が割を食ったという。
A氏 :「 熟年悪者論 」だね。
私
:これに対して、 海老原嗣生
氏はデータで反論しているね。
データでは、 バブル崩壊前と比較
すると、 35歳以上の正社員比率は13.5パーセントダウン
。
35歳未満は12.5パーセントダウン
と、 むしろ35歳以上のほうがダウンが大きい
。
A氏 : データでは逆 ではないかね。
私
:ただし、 実数
では、 35歳未満の正社員数は 134万人
ダウン
。
35歳以上は
203万人増
だね。
この実数を見ると「 熟年悪者論
」が生まれることになるね。
A氏 :なんで 率と実数が逆の傾向 を示すのかね。
私
:「 熟年悪者論
」は 背景にある少子高齢化の人口構成
の
トレンド
を 無視
しているんだね。
35歳以上の人口は増えているのに、35歳の人口は減っている。
その人口構成の差が、単純に実数の差になっているに過ぎない
と
いうことだね。
A氏 : 総人口 が減っているのを何故、頭のいい評論家が無視するのかね。
私
:さらに 大学や大学院への進学率が上昇
していると、 この人たちを就職戦線の人口から除外しないといけない。
除外して計算
をすると、 若者の正社員比率は変化していないというデータ
になる。
それから大卒者の増加で、高卒者がしわ寄せを食って、就職者数を減らしていることだね。
一方で、大学を出ても、かっては高卒者がやっていたような仕事をやらないといけないようになる。
中小企業にも就職しなければならない。
A氏 :「 正社員としての仕事がない 」というより、「 仕事を選びたい 」という意識が強くなるだろうね。
私
:それから、よく「 就職する年の景気が人生を左右する
」という説があるが、著者は、これも正確でないと データで反論
している。
というのは、景気は 約3年サイクル
で動いているので、 企業の採用も増減する。
このとき、景気の悪い時にやむを得ず入った会社を、景気が上向きのときにやめ、 希望する企業に 第二新卒
として就職できる。
企業側
も 第二新卒
は、 社会人としての基礎教育費が不要
だし、職歴から「 職務能力
」を正確に判断できるので歓迎だね。
また、 第二新卒者
は、 厳しい就職
を味わっているから、一旦、希望するところに入ったら、なかなかやめない。
A氏 : 熟年が若者を搾取 するという 世代対立軸 については、 根拠が曖昧 だというわけか。
私 : 感情的な犯人叩き は、問題解決にならないね。
明日は、黒白2つの労働市場論をはじめ、無用な意見対立についての著者のまとめにふれよう。