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A氏
:また 、 ISO9001
の話だが、毎年、 審査機関
の 維持審査
があるんだね。
俺のいた会社では、もう ISO9001
をとってから長いんだが、毎年、 審査員が指摘
することが「 教育・訓練が計画通り実施されていない
」ということだそうだ。
私
:おかしいね。
君がいた会社は、 毎年
、 新人を沢山採用
していないだろう?
A氏
:そういう意味でないらしい。
毎年たてる社員全員の教育・訓練計画
がその通り実施していないということなんだ。
毎年入社する新人
は少なくて問題ないんだが、特に、 現場の30年くらいのベテラン
などは、あまり 教育・訓練の必要がないので
、 計画
には入れるが、 つい実行が伴わないようだね
。
私
:わかった!
君の会社は、「 教育
」と「 訓練
」をゴチャゴチャにしてシステムを組んでいるようだね。
ISO9001
のほうで要求しているのは、 基本的に「訓練」が中心
だよ。
A氏 :「 教育 」と「 訓練 」とはどう違うのかね?
私
:これは トヨタ生産方式
では、明確なようで「 教育
」は 体系的な
知識の修得
、「 訓練
」は 実務の体得
だね。
水泳
で言えば、「 教育
」は 泳ぎ方の講義
などを受けたり、 本
を読んだりすること。
「 訓練
」は 水の中
で、体を動かし、 泳ぎのコツを体得
するこ。
A氏 :なるほど、そうするとある 作業のベテラン は 泳ぎの名人 で、かつ、 毎日、泳いでいる ので、その作業の「 訓練 」は不要ということだね。
私
:君の会社は、 高度成長期
に伸びたから、現在はほとんど 中高年の人が現場で活躍
しているし、 職場異動
もほとんどないから、 企業の体質からしてベテラン中心の職場
だね。
「 訓練」システム
も 企業の特質
にそって設計すべきだね。
ISO9001
はその 企業別の特徴の配慮
を要求しているね。
A氏
:なんで、俺の後輩たちは、そういう 誤解
をしたんだろうね。
頭のいい連中
が考えたシステムなのにね。
私
:自分たちの 足元
を見て考えず、「 知的体力
」を働かせず、 ISO9001規格
を鵜呑みにしたせいだろうね。
学校の成績が優秀な者ほど要注意
だね。
それと 原因の一つは
、 ISO9001規格の 日本語訳
にあるようだね。
ISO9001
は数年ごとに改訂されているが、 初版は 1987
年
だ。
その最初から、「 教育・訓練
」の要求がある。
英語は トレーニング
(
Training
)だ。
だから、本来なら、「 訓練」重視
だね。
これを「 教育・訓練
」と訳した。
このため、当時、 誤解した多くの日本企業
では、 外部の品質管理に関するセミナー
をずらりとリストアップして、 これに参加する研修システム
を作って実施していたケースがあったようだね。
「教育」重視
になってしまった。
だから、この場合、「 教育・訓練
」は 総務や人事部の仕事
になる。
ある大企業では、「 訓練
」を 勤労課
が 現場作業者の教育
を残業で 座学
で「 作業標準書
」でやっていた。
ところが、 新製品
が流れると、 勤労課への情報
は遅いから、その教育はない。
それなのに、 現場では新製品が流れているという矛盾
した状態が出たね。
だから、 現場でのトレーニング・システムは、甘くなるという アンバランス
が発生。
A氏
:そうか。
常識で考えれば、 職長
などが行う 現場作業のトレーニング
が、 一番、製品の品質に影響をあたえる
はずだね。
ところで、後輩に、今まで、 ベテランの「教育・訓練」
として、実際に何をしていたのかと聞いたら、「 ちょっと休み時間に世間話をして、それで『教育・訓練』をしたということにして記録していた
」と言っていたよ。
私
: ISO9001
では、「 教育・訓練
」を実施したら、 その記録の要求
があるからね。
しかし、 そのベテランの記録
は 意味のないムダな記録
だね。
だから、 ムダな紙
が増え、さらに 本当の品質から目をそらす現場ムード
となるね。
A氏 :早速、やめさせよう。
私 :どうも、それは 氷山の一角 のようだから、これを機会に、「 知的知力 」で全面見直しだね。