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私
:先週のブログで、 ISO9001の適用除外の問題
にふれたが、実は、これは ISO9001の歴史
が背景にあるね。
ISO9001
は 2000年の改訂前
には、 ISO9001
、 ISO9002
, ISO9003
という 3つの選択規格
だった。
設計のある会社はISO9001
、 設計のない会社はISO9002,製品検査だけの会社はISO9003を選択するわけだ。
この3つを中心に関連する規格を ISO9000シリーズ
と言っていた。
ところが、問題が出た。
3つの規格の選択は 企業の自由
だから、設計のある会社でも ISO9002
を選択できる。
そして、 ISO
をとったといえる。
ひどい例は イギリス
である 設計事務所
で ISO9002
を選択して認証したことだね。
A氏 : 設計事務所 と言えば、 設計業務 しか無いではないの?
私
:図面のコピーや製本を 作業
として ISO9002
でとったようだね。
これで イギリス
のISO9000シリーズの 監督部署の長
が頭に来たそうだね。
こういう 悪用
を防止するために、 2000年改訂
では ISO9001に一本化
し、設計のない会社は 設計の「 除外
」を宣言
するということになったわけだね。
この「 除外
」という 新語
が出て、その解釈でもめたわけだ。
A氏
:なるほど、それで「 除外
」は「 7.3 設計・開発
」 だけ
だという審査員が出るわけだね。
そして、「 悪用
」で「 除外
」できないように、「 除外は正当で、詳細な理由が必要
」となったわけなんだね。
私
:ところが、2000年版前の 87年版でも94年版
でも、企業側に実態のない業務については「 適用除外
」を認めていた。
「 ときには、契約によって要求事項の一部を追加又は削除して『 修正tailoring
』することが必要なこともある
」とあった。
この「 修正
」が 2000年版
で、ISO9001への統一のための新語「 除外
」に変わったんだね。
A氏 :そこで、「 修正 」と「 除外 」に違いがあるか、 解釈の問題 になったわけか。
私
: 2000年版
以降の 規格本文
を素直に読めば「 適用不可能
」としか書いてないから「 修正
」と「 除外
」は同じと考えられるね。
ISO編「 中小企業のためのISO9001何をなすべきか・ISO/TC176からの助言
」の「 除外
」の解説例を読むとそれが当たっているね。
設計以外の例として、次があげられる。
・測定機器を使っていないときは、 校正の要求(7.6)
は「 除外
」となる。
・顧客支給品がないときは、 7.5.4
は「 除外
」となる。
・ 7.5.3
の項目中で、 トレーサビリティ
が「 除外
」で、 識別
が「 除外
」できない場合がある
別の解説に、2002年に TC176
の日本メンバー 4名
が ワークショップ
を開き、当時 JABのHP
に載ったものがあるね。
この ワークショップ
は、 2000年版
ができ、規格の解釈上でいろいろ問題が出たので開いたものだね。
その中で「 除外」
という新語登場でいろいろ疑問が出たことにふれ、「『 除外
』という言葉の意味を『 該当しないと宣言する
』と読み替えるようにすすめる」とあるね。
すなわち、「 除外
」と「 該当しない
」=「 適用除外
」は同じだね。
「 実際にその業務・機能がないのに、「 除外
」せず特にそのことにふれず、結果としてあたかもあるかのように誤認させることは問題である
」としているね。
A氏 :しかし、「 ない 」業務の「 ない」の正当性 を詳細に説明できるのかね。
私 :設計のない 部品メーカー は「 顧客が設計を行うから 」くらいしか書けないね。
養老孟司
氏が 「『 ある
』の証明は簡単だが『 ない
』の証明は困難だ
」と言っているね。
この2つの証明は 対等
ではない。
筑波山麓
に「 ある虫がいる
」は、1匹で捕まえれば証明できるが、「 ある虫はいない
」は広い山麓を虱潰しに調査しないといけない。
そういう 健全な教養 が審査員にないと「『 除外 』 理由 をもっと 詳細に書け 」ともめるだろうね。