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Dec 14, 2008

『その木戸を通って』　　　市川崑：1993年『細雪』の頃の未公開作品。

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テーマ：映画館で観た映画(8434)

カテゴリ：日本映画

2008年2月13日に他界した市川崑監督。92歳。
（ヘビー・スモーカーであったけれど、92歳である）。
映画監督デビューは1948年。
ウォルト・ディズニーのアニメが大好きだった青年は、最初アニメ映画の製作を手がけ、やがて映画監督となった。

生涯にのこした作品は70数本におよぶ。

その市川崑監督が、1983年8月に完成した本作『その木戸を通って』は、
フジテレビの制作のもと、ハイビジョン・ドラマとして、手がけた時代劇である。
市川崑監督の作品暦の中では、佐久間良子、吉永小百合、古手川裕子、岸恵子の華麗なる女優共演作品『細雪』の頃の作品である。
その後、35ミリフィルムに変換され、海外の映画祭にて上映もされが、
日本ではＢＳ放送で１度オンエアされたきりで長らく幻の作品となっていた。
様々な事情があったのだろうが、市川崑監督の劇場未公開作品が公開された。
この作品の助監督は、佐々部清。

1959年に発表された山本周五郎の短編小説が原作である。
城勤めの武士・平松正太郎（中井貴一）のもとに現れた記憶喪失の娘・ふさ（浅野ゆう子）との関係を描く。

むらさきに煙る雨、竹林の緑の輝きとゆらめき、日本家屋の室内のほの暗い陰影など、市川崑監督独得の映像美が鮮烈だ。
今は亡き、フランキー堺、岸田今日子の出演もなつかしい。
市川崑は、日本家屋をしっとりと情感豊かに撮る名監督であった。
女優をきれいに撮る名人でもあった。
『ぼんち』や『細雪』の、うっすらとした頽廃美を思い出す。
『細雪』をもういちど、銀幕で観たくなった。