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2013.08.20
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カテゴリ: 教養書
ギャンブラー、海兵隊、証券アナリストを経て先物デイトレーダーになって大金持ちになったマーティン・シュワルツの自伝。
含み益を確定させるべし、自分の性格にあった手法を見つけるべし、取引ルールを守るべし、エゴを捨てて損切りすべし、最悪の事態を想定して計画をたてるべし、などの教訓は他の株の本でも見れるので特に目新しさはないものの、それだけどのトレーダーにとっても重要事項なのだろう。シュワルツの実体験の失敗から学んだこととして書かれているので説得力がある。ギャンブルや海兵隊での経験を総動員して、失敗を重ねつつ相場に挑むあたりが泥臭くてよい。お金を失っても自分自身という財産を失うことはない、自分のための仕事をするべきと言った奥さんがいたのも成功の鍵だろう。この伝記からは投資家の孤独だの苦悩だのという暗さがなく、莫大な損を出した失敗を笑えるドジ話みたいに書くあたりが物語として読みやすい。
この本で面白いのはNYSEとCMEの売買方式の違いとか、1980年代の立会い取引の様子が書かれている点。NYSEではブローカーに口頭で注文するのに対して、CMEでは手信号を使って売買していたという。CMEではブローカーが客の注文を食って仲間内で利益を上げたり、仲間が損しそうになると取引をなかったことにするのがまかり通っていたらしい。シュワルツはニューヨークで取引されてなかった先物の売買のためにシカゴで取引を始めたらしいけど、シカゴのアンフェアなやり方に対してはかなり愚痴っている。今でもアメリカは暴落したらHFTのせいにして取引を全部取り消ししたりするけど、偉い人が損しそうになると取引をなかったことにするのは昨日今日始まったことじゃないのだった。
1980年代に株取引がどの程度近代化していたのかというと、取引所の株価表示に電光掲示板が使われていて、ティッカーテープは70年代ころにはもう使われなくなっていたらしい。シュワルツはメトリプレックスという情報端末やページャーで株価データを表示して、モニタにはチャートが表示され、巨大な箱型携帯電話も当時の新製品でさっそく使っていた。当時すでにプログラム売買もあったらしい。注文に電話を使う以外は現代のデイトレードに近い生活ができていたようだ。
そのほかにはサザビーズでの絵画オークションの様子や、1987年のブラックマンデーの様子や、自身のファンドを立ち上げけど病気になってやめた苦労話が書いてあるけれども、ジェシー・リバモアとかに比べて波乱万丈の人生というわけでもなく、中盤以降は同じ調子で成功譚が続いてだれる。
投資家の自伝に書いてあることは似たり寄ったりで、買った売った儲けた損したの話が中心で、投資に興味がない人には面白くないだろう。投資に興味がある人にとっても時代遅れな話なので面白くないかもしれない。80年代のアメリカの証券業界を知りたい人には面白いかもしれない。

★★★☆☆






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最終更新日  2013.08.20 23:19:31
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