バービカン・センターはロンドンのシティにある複合文化施設です。コンサートホール、シアター、劇場、図書館、展示場そして集合住宅が統合されたブルータリズム建築として知られています。2015年に屋上庭園部分の改修を行い、ロンドンオリンピックパークの植栽デザインを手がけたことで知られるナイジェル・ダンネットが植栽計画を担当しました。
ナイジェル・ダンネットの植栽デザインは生態系の分析に基づくもので、 ワイルドフラワー・メドー
でも紹介しましたが、維持管理を最低限に抑えつつ長期的に存続しうる植栽デザインを追求しています。そのためにはグラスの配合率はどの程度で多年草の割合はどうするべきなのか、複数の植物を混植すると年月の経過とともにそれぞれの植物の割合はどのように変化していくのか、植物の競合に勝つのはどの種類か、どの種類の組み合わせだと競合を避けて長期に渡って共存し得るのかを試験し続けて確立されてきたスタイルです。

プレーリー・ガーデンと呼ばれるスタイルで灌漑は行われておらず、水も雨水のみで賄われているため耐乾性の高い植物を中心に構成されています。上の写真は6月中旬のものでかなりグラスが多くワイルドな印象を受けると思いますが、長期的に安定する混植の割合を突き詰めた結果を形に表現した結果自然の風景に近づいてできた、ある意味デザインされた生態系なのです。
大部分を占めているのはメリカ・キリアタ (Melica ciliata) で小型のグラスですが成熟すると多くの穂をつける魅力的なグラスです。球体状の シードヘッド
の一団はアリウム・パープルセンセーション ( Allium hollandicum
'Purple Sensation'
) で、かなり多めの配合ですが球根植物は地表近くに根を張り栄養を蓄えるため、地中に根を伸ばす宿根草と競合を避けることができ高密度でも生存することができます。白色の小さな花を咲かせているのはリクニス・コロナリア・アルバ ( Lychnis coronaria
'Alba'
) で水はけの良い土壌を好みます。中央にある青い球状の花はエキノップス・リトロ・ヴェッチスブルー ( Echinops ritro
'Veitch's Blue'
) で痩せた水はけの良い土壌を好み夏にはたくさんの花を付けます。

春先から活躍しているユーフォルビア・キャラシアス・ウルフェニアイ( Euphorbia characias subsp.
wulfenii
) は地中海地域原産のため乾燥に強く、常緑であることから冬の植栽としても用いられます。赤い点のように見えているのはサウスバンクの記事でも紹介したリクニス・カルセドニカ ( Lychnis chalcedonica
) です。

中央に大きな花穂を立ち上げているのはニフォフィア・タウニーキング ( Kniphofia
'Tawny King'
) で前方にはサルビア・ネモロサ・カラドンナ ( Salvia nemorosa
'Caradonna'
) が見えます。

完成から数年が経過しそれぞれが大株になってきてかなり高密度になってきていますが、これだけ多くの植物が生存しているという点を考えると造られた生態系が正常に機能していると言えると思います。
バーベナ ボナリエンシス
フロミス ルッセリアナ
サルビア ネモローサ ‘カラドンナ’
メリカ キリアタ
ユーフォルビア ウルフェニー
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