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2021.09.08
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​​  茨木のり子「倚りかからず」(ちくま文庫)​  先日 「案内」 した 谷川俊太郎の「夜のミッキー・マウス」 があった棚の横に並んでいた詩集です。
 ​茨木のり子「倚りかからず」(ちくまぶんこ)​
谷川俊太郎 は、 茨木のり子 川崎洋 1953年 に始めた 「櫂」 という詩の同人誌のグループの一人です。このグループには 吉野弘 大岡信 岸田衿子 という、今となっては名だたる詩人が集いましたが、最初は 茨木のり子と川崎洋のお二人 で、その次が 谷川俊太郎 のようです。
 どなたも、高校とかの教科書でおなじみです。高校では出会わない 川崎洋 は小学校から、すでに、おなじみです。
「とる」   かわさきひろし

はっけよい すもうとる
こんにちは ぼうしとる
てんどんの でまえとる
せーたーの ごみをとる
​(以下略)​
​  岸田衿子 は、絵本ですが 「ジオジオの冠」 のひとです。まあ、女優の 岸田今日子さん のおねえさんで、 谷川俊太郎 田村隆一 「奥さん(?)」 だったことのある人というのもあります。
 大岡信は言う必要はないでしょうが 「折々のうた」(岩波新書) ですね。 吉野弘 は散文詩 「I was born」 の人ですね。

茨木のり子 の詩に 「わたしが一番きれいだったとき」 というのがありますが、これも教科書に出てきますが、まあ、とても有名なのは間違いありません。
わたしが一番きれいだったとき
街々はがらがらと崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした
​(中略)​
わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた
​(以下略)( 「わたしが一番きれいだったとき」 )​
 もう、ずっと以前のことですが、この詩を初めて読んだ時に気づきました。 「櫂」 の詩人に限らず、20代で読んだ人たちって 「親」 の世代の人なのです。 茨木のり子 も、ぼくの母親と、ほぼ、同世代の人です。
 ぼくは山陽本線の 土山駅 を電車で通るたびに母親を思い出します。田舎の女学校の生徒だった彼女は 「学徒動員」 土山 に来ていて、休日には、なんと 新開地 「聚楽館」 で映画を観たりしたそうです。
 その時一番怖かった思い出は、 1945年3月 神戸の空襲 だったそうで、 土山 の宿舎で友達と抱き合って、東の空が真っ赤に焼け染まるのを見ていたそうです。
​  茨木のり子 の詩とかに、そういう世代を感じながら読むことにどんな意味があるのかわかりませんが、そのことに気づいて以来、 ​「自分の感受性ぐらい」​ とか ​「倚りかからず」​ とかに、その世代の女性の 「意地」 のようなものを感じてきました。
「一番きれいだったとき」 「空襲」 や兄たちの 「出征」・「戦死」 、呆然とした 「敗戦」 の経験なくして、この 「意地」 は生まれなかったのではないでしょうか。​

 この詩集は2006年に亡くなった、彼女のラストメッセージだそうです。有名なのは 「倚りかからず」 ですが、今日はこれです。 「意地」 を張り通した、 昭和の女 の笑う力です。
  笑う能力 茨木のり子

「先生 お元気ですか
我が家の姉もそろそろ色づいてまいりました」
他家の姉が色づいたとて知ったことか
手紙を受けとった教授は
柿の書き間違いと気づくまで何秒くらいかかったか

「次の会にはぜひお越し下さい

枯木も山の賑わいですから」
おっとっと それは老人の謙遜語で
若者が年上のひとを誘う言葉ではない

着飾った夫人たちの集うレストランの一角

ウエーターがうやうやしくデザートの説明
「洋梨のパパロワでございます」
「なに 洋梨のパパア?」

若い娘がだるそうに喋っていた

あたしねぇ ポエムをひとつ作って
彼に贈ったの 虫っていう題
「あたし 蚤かダニになりたいの
そうすれば二十四時間あなたにくっついていられる」
はちゃめちゃな幅の広さよ ポエムとは

言葉の脱臼 骨折 捻挫のさま

いとをかしくて
深夜 ひとり声たてて笑えば
われながら鬼気迫るものあり
ひやりともするのだが そんな時
もう一人の私が耳もとで囁く
「よろしい
お前にはまだ笑う能力が残っている
乏しい能力のひとつとして
いまわのきわまで保つように」
はィ 出来ますれば

山笑う

という日本語もいい
春の微笑を通りすぎ
山よ 新緑どよもして
大いに笑え!

気がつけば いつのまにか
我が膝までが笑うようになっていた
​​​ ちょっとエラそうで、申し訳ないのですが、そんなにお上手(?)な詩だとは思いません。でも、ふと笑えて、いいなあと思いました。 80歳 になろうかという ばあさん が、結構、ガンバって 意地 張っておられるような気がします。
追記2021・09・08
 話題に出した 「倚りかからず」 茨木のり子73歳 のときの詩です。彼女は50歳になるかならないかの頃夫を失い、その後、独りぼっちになったことに向かい合う生活を 詩のことば に昇華したおもむきのある人だと思いますが、たどり着いた境地がこの詩なのではないでしょうか。
 発表当時、 朝日新聞 天声人語 に紹介されたそうで、多くの方が、よくご存じの詩ですが、引用しておきたいと思います。   ​
  もはや
   できあいの思想には倚りかかりたくない
   もはや
   できあいの宗教には倚りかかりたくない
   もはや
   できあいの学問には倚りかかりたくない
   もはや
   いかなる権威にも倚りかかりたくはない
   ながく生きて
   心底学んだのはそれぐらい
   じぶんの耳目
   じぶんの二本足のみで立っていて
   なに不都合のことやある

   倚りかかるとすれば
   それは
   椅子の背もたれだけ
(「倚りかからず」ちくま文庫 所収)​

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最終更新日  2023.05.10 00:58:45
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