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2023.07.21
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​​ 丸谷才一「猫のつもりが虎」(文春文庫)
 表紙の絵が、なかなかいいとお思いになりませんか? 丸谷才一 のエッセイ集、 「猫のつもりが虎」(文春文庫) ですが、もともとは 「ジャパン・アヴェニュー」 という、どこかの会社の広告誌に連載されていたエッセイを、 マガジンハウス 2004年 に書籍化した本で、 文春文庫 になったのは 2009年 ですね。
 表紙をご覧になれば、すぐにお気づきだと思いますが、1章で1話、章ごとに 和田誠のイラスト の表紙絵と挿絵があって、400字の原稿用紙にして 12枚程度 、5000字弱の一話完結のエッセイが、全部で 18作 収められています。イラスト一つに原稿用紙6枚という釣り合いのようですが、これが、某所のお供にぴったりなんですね(笑)。
 で、表紙は、本書の前口上というか、 はじめに に当たるエッセイの挿絵です。​
 虎を描いて猫に堕す、とおぼえてゐたけれど、本当は、虎を描いてお犬に類す、らしい。とにかく絵が下手なことの喩へ。でもそれなら、ネコを描いたのに虎に見えたら、これは名人なのか。やはり下手なんでせうね。
 しかしわたしの友達に言はせると、江戸時代は日本に虎はゐなかつたから、圓山應擧の虎の絵は自分の家の飼猫を見て写生したにちがひないさうである。そのせいで、猛獣でありながらどこか優しい風情があつてよろしいとのことであつた。
 本当かしら。
 ​​​​​今更いうのも気が引けますが、うまいものですね。こういうウィットというか、ユーモアというかが 丸谷エッセイ の持ち味ですが、一つだけ注意事項をあげれば、 旧仮名遣い なのです。英文学、ジェームス・ジョイスの研究あたりから出発した、結構、バタ臭い世界の人なのですが、 2012年に87歳で亡くなる まで、日本語表記に関しては、最後まで 旧仮名遣い、歴史的仮名遣い を貫いた人なのですね。まあ、そこを、めんどくさいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね(笑)。​​​​
 でも、まあ、お読みになれば慣れてしまうものです。試しに、最後に収められている 「日本デザイン論序説」 を引用してみますね。
和田誠さん とお話してゐて、わたしが、日本美には 単純美 ゴチャゴチャ美 と二種類あるらしい、といふことを言つた。
 その典型的なものは、能の舞台面の単純簡素と、歌舞伎のそれの複雑繚乱ですね。まるで違ふ。殊に対立が顕著なのは、能の橋かかりがすつきりしてゐるのに対して、歌舞伎の花道は役者(何人もの役者の場合もある)の向うに見物席があつて、そのまた向うに一段高く桟敷があつて、見物の女の人たちが着飾つてゐて、その上には桜の枝や赤い提燈と、じつににぎやかなことである。
 すると 和田さん が、思ひがけないことを言ひだした。
その対立を最も極端な形で示すのは家紋だ、 といふのですね。一方には黒い丸を一つなんて、無愛想なくらゐあつけないものがある。他方には竹藪のなかに雀が二羽なんてものがある。さう言つたんです。
 なるほど。いい着眼だなあ。
​ まあ、ここまでが枕ですね。ここからのうんちくの展開が 丸谷才一 ですね。
​ 事典で調べてみますと、たとへば 井伊家 井筒 なんてのは井の字を太く書いたけ。まことにそつけない。 加藤家の一蛇目 は黒丸のまんなかが 抜いてある、ただそれだけ。 毛利家の一本矢羽 なんてのも、黒い輪のなかに黒く塗りつぶした矢羽が一つ。御存じ 島津家の十文字 は丸に十。黒い丸といふのは 黒田家のその名も黒餅 でした。​
​​ 得意の展開です。まず単純な家紋が出てきましたから、当然、複雑な方は?と気になります。で、お好きな方は、ネット上に 「家紋一覧」 とかいうサイトがないか探し始めて、見つけ出します。​

​ああ、 一蛇目 って、こういうのだ。​
 とかなんとか寄り道しながら、次に進むとこんな感じです。​​​
 そしてこれに対するものは、まづ 伊達家の竹の丸に二羽雀 。二本の竹の輪のなかで雀たちも窮屈さうだし、笹の葉をたくさん描き添えなくちやならないからじつに厄介だ。 鳥居家の二本竹に宿り雀 といふのも面倒ですね。でも、こっちのほうが雀がのんびりしているか。
​ こうなると、 ​​「こっちが 伊達 でしょう。」​​

「で、こっちが 鳥居 ですね」​​
としばし夢中ですね(笑)。

 ​​で、読んでいた本のほうでは、話が 家紋 から、社会全般に進んで結論に向かうようです。 単純と複雑 が対比して並べられます。笑えます。​
伊勢神宮 対 日光東照宮
小津安二郎の後期の映画に出てくる山の手の邸の室内 対 帰ってきた寅さんが訪ねる柴又の家の室内
日本橋榛原の封筒 対 三条新京極さくら井屋の封筒
五十円や八十円の普通の切手 対 日本画の名作を使った記念切手
「週刊朝日」「週刊文春」の表紙 対 女性週刊誌の表紙
​​​​ いろんな分野の デザイン に表れている、 ​単純と複雑​ 、棲み分けの妙ですね。 丸谷さん 、お暇ですね。でも、ナルホド、ナルホド、で、面白いでしょ。
 でね、棲み分けられないデザインが一つあるんですね。なんだと思います?どっちか一つに決めなければならない場合ですね、困るのは。 
 で、最後のうんちくは 「日の丸」 です。​​​​

​​​​ まあ、ボクは、 日の丸 を見ると、ちょっとうんざりするタイプなのですが、 金屏風からクリムトの例の絵 まで持ち出して語る 丸谷才一 の結論(?)には、ちょっと、笑いましたね。気になるでしょ。お暇な方にはピッタリの 「遊び時間」 になりますよ。​​​​
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最終更新日  2023.07.21 01:05:47
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