フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

2005年06月13日
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「マノン」のヒロインって、バレエ作品の中においてはものすごい異色の存在だと思うんですよね。古典の演目のヒロインは、まあこれはおとぎ話の世界の住人だからちょっと同列には論じられないところはあるとしても、現代作品においてもバレエの世界のヒロインっていうのはその殆どが「愛」を求め「愛」に生きる、っていうのが普通だと思うんですよね。ジゼルやジュリエットなんかはその典型だし、オデットやニキヤだってそうでしょう?キトリやライモンダだってそうだしオーロラ姫だってそう言っていいと思う。クラシックバレエのヒロインは殆ど皆、その「型」に当てはまると言っていいと思うし、現代作品においても基本的にそれは変わらないと思う。(と言っても私はまだ観たことない作品の方が多いからあくまで推量)でも「マノン」のヒロインは違う。彼女には「愛」よりも心惹かれるものがある。そしてそのものの為なら平気で愛だって捨ててしまえる。彼女がこの世でなによりも好きなもの、それは「富」。はっきりお金と言ってしまってもいいと思う。「愛」よりも「お金」が好きで、贅沢が好きで好きでたまらない・・・富豪の愛人となってパーティーに出席し男達によって空を運ばれていくときのマノンは、おそらく幸福の絶頂にいるんだろう、と私には思われます。虚飾の世界の女王でいるとき、そのときこそがマノンにとっては至福のときであるはずなんですね。そしてそうしたマノンの性質がものすごくリアリティを持った存在として、私には映るんですね。愛だの恋だのにうつつを抜かしているヒロインよりも、はるかに現実味のある存在として私には捉えられるんです。こんなにも現実味を持って捉えられるヒロインというのは、私にはマノンしかいない、と断言してもいいくらい。美しい「バレエ」の世界に、こんな「現実的」「世俗的」なヒロインもいたんだ、という驚き。
またそのこととは全く別に、マノンというヒロインの「お子様度」の高さ。これもまたお利口さん揃いの他の作品のヒロインとは一線を画する、非常にユニークなところだと思います。彼女はあくまで自分の欲望に忠実です。自らの心の欲するままに行動するマノン。
そこでは世間的な常識とか倫理とか罪の意識とか、そうしたものはマノンの心になんら影響を及ぼすことはありません。それらのものはマノンが意識的に切り捨てたというのではなく、そもそも最初から身に付いてはいないのです。だから恋人を裏切るのだって平気。そのことによって相手をどんなに傷つけることになるか、などとは考えてもみない。
自分のことしか考えていない自己中心的なマノン。マノンを観ていて終始感じるのは、彼女は本当に「子供」のままなんだなぁ、ということです。躾を受けていない「子供」そのもの。我がままで自己中心的で欲しいものはとにかく手に入れたい。「大人」だったら常識(良識)、倫理によって自らを律することができるけれど「子供」のままのマノンにそれを求めたって無理な話。終始一貫「子供」として変わることはない。でもそのことがマノンをマノンたらしめている。マノンの「個性」そのものなわけです。そしてこういう類の「個性」を持ったヒロインというのは他の作品ではまず見ることはできないでしょう。そうした意味からも「マノン」というヒロインには関心を抱かずにはいられないわけです、私としては。





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最終更新日  2005年06月13日 15時18分54秒
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