フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

2008年02月22日
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「エスメラルダ」「ドン・キ」を踊ったサレンコ、事前の期待が大き過ぎたせいもあるかとは思うのですが、私にはいまいちでした。なにしろ彼女の踊る演目は、全てテクニックの炸裂が要求される作品ばかり(「ゼンツァーノ~」は別として)、こんな演目ばかり選ぶくらいだから、相当自信があるんだろうな~、じゃなきゃ絶対こんな演目ばかり選ばないだろ、しかもアレクサンドローワやドヴォロヴェンコやセミオノワを向こうに回して、なんて思っていたので、いやが上にも期待は高まっていました(自分自身の意思で選んでるのかどうか知りませんが・・)。ので、観る前からダンサーへの要求水準が高くなっていた、というこちら側の勝手な事情もあったのですが・・う~ん、なんというか、こういう場で、古典のパ・ド・ドゥ(それも思いっきりテクニック満載の)を踊るというのがいかに難しいことか、改めて思い知らされた感じです。
先ずとにかく古典は「ごまかし」が効かないんですよね。残酷なまでにダンサーが今現在持っているものを見られてしまう。それは単にテクニックに関してのみの事ではなく、ダンサーとしての輝きとか美しさとか、このパ・ド・ドゥを踊るに相応しい「器量」を持っているかとか、とにかく「全て」が露わになってしまうんですよね。サレンコ自身、相当緊張もしていたでしょうし、プレッシャーとかもあったことでしょう。彼女が頑張っていたことははっきりわかりました。精一杯自分をアピールしようと、今現在持てる力の殆ど全てを出し切って、観客、そして彼女をこの公演のメンバーに抜擢したマラーホフ芸術監督の期待に応えようと、必死に頑張っていたことはよく分かります。そして実際彼女は、本当にかなりのテクニシャンであることもよく分かりました。けど、あまりに彼女の「頑張ってます」感が強すぎて、彼女の必死さが伝わり過ぎてきてしまって、上手だけれどちっとも「余裕」を感じられないのです。この手のパ・ド・ドゥというのはダンサーが難しいテクニックをいとも簡単に決めてこそ、勿論どんな名ダンサーにとっても「簡単」などということはあり得ないのでしょうが、観客には「そのように見える」、それが大事なのであり、常に「余裕を持って」踊れてこそ、はじめて観客はバレエの世界に浸ることが出来る、それが先ず大前提にあってこそ、だと思うのですよね。勿論それは至難の事なのでしょうが、それであってこそはじめて「プロ」だ、と言えるのではないでしょうか?こちらの要求水準が高過ぎる、それも事実だと思います。現に私自身、観ている最中には「あ~、私ってもうこの程度のレベルのダンサーでは満足出来なくなってしまったんだな・・」としみじみ思ってしまったものです。バレエ観始めたばかりの頃は、どんなパフォーマンスを観ても感動出来たのに、満足出来たのに、いつの間にかそれが「当たり前」になってしまっていたんだな、って。「良くて当たり前」、そんなとてつもなく傲慢で贅沢極まりない心境になってしまっていたんだな、って。日本のバレエファンというのは本当に恵まれていて、世界最高レベルのダンサーを観ることが「日常」であり、極々普通のことになってしまっている。そういう状態にいつの間にか慣れてしまっているから、普通に考えれば観られるだけでも有難いことの筈なのに、何とも思わない、良くて当たり前だから、みたいな心境になってしまってるんだと思う。「贅沢にはすぐに慣れる」まさにその典型的パターンに陥ってしまっているんだと思います、少なくとも私はそうです。そうであったということを、サレンコを観たことによって痛切に感じさせられました。そんな、観ている私の方にも大きな問題があった、それは事実です。だから、サレンコが良くないわけでは決してない。
けどそういう諸々の事情によって、私には彼女が良いとは思えなかった。このパ・ド・ドゥをこのような場で踊るのって、上手なだけじゃあダメなんだよね、それを超える「何か」を持っていてくれなければ、それを観客に「感じさせて」くれなければ。
アレクサンドローワやドヴォロヴェンコと比較すること自体、ナンセンスだと思うのですが、彼女たちの踊りにはまさしくそういう「何か」があった、と思うのです。「上手なだけ」を超える「何か」が。まぁそういう「何か」は、経験を積むことによって身に付けていく部分も大きいのでしょうから、これからに期待、と思えばよいことなのですよね。っていうか、そんなこと思ってるのは私だけで、他の人はサレンコ凄く良かった!と思ってらっしゃるかも知れないのですが。
サレンコはかなり小柄でなかなか可愛らしく、足の甲のラインは美しかったです。一生懸命頑張っているのだけど、もう少し「余裕」を持って、自分に自信を持って踊ってもよいのではないかな?「余裕」が出てくるようになれば、もっと「バレエらしく」、美しく優雅に、踊れるようになるのではないか?と思います。まぁど素人の戯言ではありますけど。
長いバランスは、かなりぐらついていた部分もあったけれど、見事ではあったし、「ドン・キ」のグラン・フェッテは、かなり緩めのテンポで一度に4回転くらい(断定は出来ませんが、最低でも3回転はしていたように見えた)を何度か見せるなど、テクニシャンらしきところを見せてくれましたが、やっぱりそれだけでは私は魅了されませんでした。テクニックが優れていることなんて、プロのダンサーである以上当たり前、それを超える「何か」が必要なんだよね。今回は残念ながら、振付(テクニック)をこなすだけで精一杯、という風にしか私には感じられず、非常に煮え切らないというか、なんとももどかしい思いに駆られてしまいました。ドムラチョワちゃんの、輝かしい生命の迸りに魅了されたばかり(といってももう2ヶ月経っていますが)の私には、今回のサレンコの踊りは全く魅力的には映らず、観ている私の方にも原因があることはわかっているのですが、非常に残念でした(期待が大きかっただけに)。





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最終更新日  2008年02月22日 22時18分09秒
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