フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

フィギュアスケート時々バレエ~浅田真央とパトリック・チャン応援記

2014年02月16日
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運命のフリー。最高レベルの一騎打ちを期待していたというのに、結局2人ともミスを重ね、相討ちのような結果になってしまった。羽生選手は冒頭4Sはともかく、3Fでのミスは痛かった。直前に4Tを見事に決め、これで乗って行けるかと思った矢先にまさかの転倒。正直、もう彼の金メダルは無いと思いました。しかしその後の粘りは凄かったですね。19歳になったばかりの若い選手です。崩れてしまってもおかしくありませんが、やはり羽生選手は強いです。絶対に諦めない、絶対に勝つんだという強い想い。執念と言ってもいいでしょう。それだけで演じきったような印象を受けました。「強い」羽生結弦が全面展開されたかのような「ロミオとジュリエット」。その姿は、運命に負けない、どこまでも過酷な運命に逆らって自分の道を切り拓いて行こうとする、若いロミオそのもののようで、私は感動しました。今季見た彼の「ロミジュリ」の中で一番良かったと思いました。激情迸る、気迫に満ちた彼の演技は、演技と言うより殆ど「素」だったんでしょうね。2年前の「ロミオとジュリエット」は、あれは完全にプログラム名「羽生結弦」だったと思うけど(それは最高の賛辞でもあります)、今季の「ロミジュリ」ではロミオに見えると私は思っていました。丁寧にロミオを演じているな、と思っていました。けど五輪という場、しかも金メダルが掛かった極限の状況ではやはり「素」の羽生結弦が出てきて、出てきてどころか全開で、けどそれがマイナスとして作用するのではなく、羽生選手の置かれた状況とロミオの状況とがオーバーラップして、不思議な相乗効果を発揮しているように思われました。極限に追い詰められた青年、という意味においては正に羽生選手とロミオは同じな訳です。追い詰められながらも、でも絶対に運命に負けない、自分の手で運命を変えてみせると悲壮な決意をしながらも、結局不幸な行き違いにより命を失うことになってしまった若い恋人たちの悲劇、その物語と羽生選手の姿とは本当に不思議なほどぴったり重なるんですよね。五輪シーズンのFPに再び(と言っても勿論曲は違いますけど)この「ロミジュリ」を選曲したのは大当たりだったと言えるのではないでしょうか。羽生選手も演じやすかったろうと想像しますし、とにかく最後まで気迫のこもった、情熱迸る強い演技で実に感動的な「ロミオ」を見せてくれたと思います。正に「炎のような」ロミオでした。

思うに幾つかのミスは、緊張からと言うよりは(勿論それもあるでしょうが)、気負いから来たものと考えた方が適切のような気がします。金メダルを前にして萎縮する、のではなく益々気持ちが逸った、と考えるのが自然なような気がしますね。絶対に金メダルを獲ってやる!と殆どそれしか考えていなかったのではないでしょうか。恐れを知らない若さから来るものなのかも知れませんが、それにしても天晴れとしか言いようがありません。羽生選手は実にアスリートに向いた性分と言えるでしょうね。結果的に彼は金メダルを手にしました。逃しかけた筈の金メダルを手にしたのは、最後の最後まで絶対に諦めない、攻める!という彼の強い気持ち、執念、あってこそ、だと思います。あの大舞台で、萎縮することなく攻める気持ちを持ち続け、攻める演技をやり抜いたこと、それこそが、彼を五輪金メダリストにしたのでしょう。羽生選手の「強さ」が、彼を金メダリストにしたのだと、そう思います。

対するパトリックの方は・・う~ん、どうしてしまったのでしょうか・・私は羽生選手のFSが終わった時点で、もしかしたらエリック杯の再現があるかも知れない、と密かに期待してしまいました。あの時と、状況が同じでしたもん。勿論あの試合では羽生選手は4Sは勿論4Tまで転倒してしまい、今回と全く同じ状況ではないし、そもそもエリック杯と五輪とを同列には論じられません。それは分かっています。けど、これでパトリックは「楽に」滑れるんじゃないかなぁ、と思ってしまいました。別に「神演技」などしなくてよいのです。彼が彼の演技さえ出来れば、普通にいつも通りの演技さえすれば、それでよかった訳です。冒頭4Tー3Tの見事だった事!目の覚めるような美しさでした。あれを見て行ける!って確信したのですが・・・
五輪の魔物が牙をむいたと、そう表現するしかないのでしょうか。羽生選手のミスが、却ってパトリックには仇となってしまったのか。羽生選手が完璧な演技をしてくれていた方が却って良かったのか。「金メダルが見えてしまった」のでしょうね・・いつも通り、良く滑っていたと思いますし、やはりこの「四季」は良いプログラムだなぁとしみじみ思いはしましたけど、とにかく残念としか言いようがありません。結局この五輪では、一度もパーフェクトには3Aが決まらなかった。彼の最大の不安材料、懸案でしたが、結局この問題が一番大きいようにも思います。五輪で3A3回もミスしていたのでは金メダルは獲れないよ・・最後には2Aにまでミスが出る始末で・・
「四季」は彼のスケーターとしての素晴らしさを存分に味わわせてくれる素晴らしいプログラムであるだけに、本当に残念でならない。この「四季」を演じるパトリックの姿を、世界中が称賛するであろうことを信じていたし、願っていた。勿論今回の演技だって悪くはない。悪くはないけれど「勝てる」演技ではなかった。恐らく彼に掛かる重圧は、羽生選手とは比較にならない位重いものだったろうと思うし、ワールド3連覇を果たした世界王者が、ここで負ける訳には絶対に行かないと、どれだけ自分自身と闘っていたのだろうと思うと、想像するだけで胸が痛くなる。精一杯やった結果だと、これが勝負というものなんだと、そう思うし、フラワーセレモニーでの笑顔一杯の彼を見ていると満足いく演技ではなかったろうけれど、彼自身としては「出し尽くした」演技だったのかな、とも思う(彼はいつも笑顔一杯だから胸中は分からない・・)。彼の本当の想いなんて、一ファンの身には絶対に分からないから何とも言えないけれど、「銀メダルおめでとう」とは私は言えないよ、パトリック。「金メダルおめでとう!」そう言いたかったと、今心から思う。

それにしても今シーズンは、羽生選手とパトリックとの直接対決が多く、この二人が大好きな私としては本当に楽しめたシーズンでした。当初は圧倒的にパトリックが強かったのに、徐々に彼を脅かすまでに成長し、勢いに乗って行く羽生選手の姿をリアルタイムで見られた事、こんなにも「強く」なって行く羽生選手の姿をシーズン通して見られた事は、本当に望外の幸せでした。相手がパトリックだったからこそ、彼はここまで強くなれたのだと思う。羽生選手がパトリック、あなたの事をどれだけリスペクトしているか知ってる?羽生選手に金メダルをもたらしたのは、あらゆる意味でパトリック、あなたのお蔭だったんだと思うよ・・何の慰めにもならないと思うけど・・・
それにしてもだ、五輪でまさか羽生選手が金メダリストになるだなんて、今季始まった時、予想していた人がどれだけいるのだろう?あ、予想していた人が最低一人はいるね。羽生選手本人(笑)。彼はそういうタイプでしょ?





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最終更新日  2014年02月17日 07時07分21秒
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