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↑プラハ空港のフィンランド航空の飛行機
大事件というとわたしはいつも失敗談になってしまいます。
ともかく、方向音痴なのと、そそっかしいのとで時々とんでもない失敗をしてしまいます。
その事件はプラハ空港からヘルシンキに着いて、トランジットの手続きのために出国手続きの列に並んだときに起こりました。
フィンランドは条約で北欧諸国に入るときにまとめて出国の手続きをするらしいのですが、EU諸国への出国とそのほかの国への出国とに分けて手続きをします。
ところが近年フィンエアが航空運賃を他社より安く設定している、機材がよい、などの理由からヘルシンキの乗り継ぎ客が殺人的に多くなってきたらしく、乗り継ぎの手続きが非常に混みあうらしいのです。
長い列を作って待っているのですが、係官がていねいすぎるというか、異様に厳しいというか、細かくパスポートをチェックされるのですね。
それで乗り継ぎ便に間に合わないくなってイライラする人や、困りはてている添乗員もいました。ネットで調べると、いつもこんな具合のようです。
わたしは以前ドイツとスウェーデンで手続きしたときはこんなに厳しくなかったので不思議な感じがしましたが、9.11以前と以後とでは雲泥の差があるのかも知れませんね。
とにかく、係官の目つきが「お前は犯罪者」と言う目なんです。怖いです。
わたしたちは2列で手続きを待っていたのですが、わたしの横の中国系らしきおばさんが、とてもイライラしていたので、おそらく乗り継ぎ時刻が迫っていたのでないかと思います。連れの夫らしき男性としきりに話していました。
並び方はフォーク並びで、順番が来るまでどこの窓口に並ぶのかわからない方式でした。おばさんはフォーク並びのシステムがわからないらしく、しきりにわたしをおしのけて自分が前に出ようとするのです。どうしてそんなことをするのかと思いましたがとにかく焦っていたのでしょう。
そのおばさんに気をとられていると、前に並んでいた連れ合いが別の窓口に行きました。そのあと、わたしは別の窓口に。
行き先を確認したあと、係官はパスポートにスタンプを押したのですが、問題はそれからでした。
トランジット側に出ていく出口が金属製の腰の高さのゲートで仕切られているのですが、それが空いていないのです。いったいどこから出ていいかわからない。
たしか、さっき連れ合いが手続きをしたらゲートががちゃんと音をたてて空いたのに、わたしの前のゲートは空いていない。
迷っていると、わたしのいた場所にさっきのおばさんが進んで来ました。
(邪魔になってしまう)とわたしは一瞬焦って、あたりを見回しました。今まで出国手続きをした空港にはこんなゲートはありませんでしたから、
(どこかに出口があるのかしら)と思ってしまいました。ほんとうはこの時に係官のところにもどり聞き返すべきだったのでしょう。
が、とにかく焦ってしまったわたしは、あたりを見回しました。
すると、EU側の出口との境目にゲートのない場所が目に入ったので、そこを通りかけると、
「ヘイ、ヘイ!!」と大声で叫ぶ声が聞こえたのです。
(何だろう?)と思い振り返ると、
さっき手続きをした窓口とは違う、別の窓口から男性が厳しい顔をして怒鳴っています。
(なんで怒鳴るの?手続きはすんだのよ。 ゲートを空けなかったのはそっちでしょう?)
わたしは頭にきたのと、怒鳴られて恥ずかしいのと両方で、
「わたしは出口を間違えただけで、手続きは終わりました」と何回も主張しました。ところが奴はガンコで、ぶすっとわたしをにらみつけたままで、
「パスポートを見せなさい」の一点張り。
まるで密入国者かなにかのようににらんでいます。これ以上ごちゃごちゃ言ったら余計に疑われるし、時間も食うだろう、と考え、もう一度文句を言いながらパスポートを見せました。
奴はパスポートを端から端までチェックして、「ともかくあなたは日本人で、成田に行くんですね」といいます。
「それはさっき言いましたし、スタンプももらいました。手続きはすんでるんです」と言ってやりました。
「でもとにかく、あなたは北欧諸国のゲートから出るべきではない」などと言います。
あそこが北欧のゲートなら、なんでわたしの前のゲートを開けてくれなかったの、といいたかったですが、それ以上ごたついても次の人がまたイライラして待ってるわけだし、ま、いっか、と再びスタンプを押されたパスポートを引き取り退散しました。
わたしの前のゲートが開き、やっと自由の身に。
このことからちょっと気になってネットで調べてみると、やはりヘルシンキはトランジットの手続きが厳しすぎる、とか東洋人に対して胡散臭い目で見られた、という手記が目立ちます。密入国が多いのでしょうか。
あとで成田で、「近年入国管理を走ってすり抜けて密入国するケースが急増しておりますので手続きにご協力ください」と張り紙があったので、そういうケースと間違えられたのかもしれません。
わたしの日本人としてのプライドがずたずたになった事件でした。
一度日本を出てしまうと、パスポート1冊でしか見てもらえない。テロリストだ、密入国者だ、といわれても何もできない外国人なんだ、と思い知らされました。
万が一不法に逮捕されたり、拘束されても、日本はどれだけわたしを守ってくれるのか。9.11以来、空の世界というのはこんなに殺伐としてきているのか、とさびしく思いました。
ヘルシンキ空港の仏頂面係官にテロリスト扱いされ、どん底まで落ち込んだわたしも、機上の人になると早速好きな白ワインでご機嫌となり、簡単にリラックス。機内食をたいらげると、酔いもあり大好きなジェイク・ギレンホール君が主演のビデオの「プリンスオブペルシャ」を楽しみつつ爆睡。(フィンエアはエコノミーでもビデオのモニターが個人席にセットされています)さっさと立ち直りました。
早朝成田着くと、3人ですぐそば屋に直行。お昼はざるそばをすすりました。帰りはセントレアへの直行便がとれなかったのです。成田から中部国際まではJALでした。機材は小型でしたが、CAの日本語がすばらしく美しく、さすがに天下のJALと感心しました。これだけの会社だからなんとか立ち直ってほしいものです。
いろいろあった1日だったけど、なんとか日本に帰って来ました。
入国審査の係官がにこやかに笑ってくれたのが、日本に帰ってきた実感でした。
ヘルシンキ空港のアイツの仏頂面と、なんという違いでしょう!
微笑の国、ニッポン。やっぱり祖国って暖かいな~とつくづく感じたのでした。