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2008.01.10
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カテゴリ: その他
つばき.GIF


 先日、僕の父親が他界しました。
 入院して1ヶ月足らず、二月ほど前は、庭の仕事などもよくやっていたことを思えば、突然の死と言えるでしょう。
 はじめは検査入院だといっていたはずなのに、急に「ちょっと腫瘍が・・・」「もしかしたら悪性かもしれない・・」という話になって、その次には、「もう長くは生きられません。」になってしまいました。

毎日見舞うたびに父の病状は目に見えて悪くなっていきました。
 最初は起きあがって対応してくれていたのに、そのうち起きあがることができなくなってしまいました。絶えず点滴の管が体の中に入れられ、しゃべるのも苦しそうでした。
 そのうち寝ていることが多くなり、反応もうつろになってきました。
 もはや治す治療ではなく、痛みを抑える治療というはっきりとした方針でやってくれていたので、七転八倒して苦しむことがなかったのはせめてもの救いです。

 「ああ、もうすぐ父は死ぬんだなあ」と思うと、なんともいえず重苦しい思いに胸をしめつけられるようでした。でも、毎日泊まりで看病している母のことを思うと、そんなことを思うより、今何をしなければならないのか、そればかり頭にありました。
 なんとか新年を迎えられたとホッとしていた矢先、父の容態が急変したので、家族に来てほしいという連絡が夜に入りました。
 あわてて駆けつけると、父はぜーぜー苦しそうにしていましたが、酸素量、血圧など、少しずつ落ちてきました。
 まだ意識があり、「おじいちゃん、おじいちゃん」と孫の呼びかける声にも反応していました。自分からはもはやなにも話すことができなくなっていましたが、みんながいっしょうけんめい語りかけるのは、聞こえていたみたいです。

 「ねえ、おじいちゃん、なにか言いたいみたいだよ。」
と子どもがいいました。
 たしかになにか必死になにかを言おうとしているみたいでした。でも、もちろん言葉にはなりません。
 「おじいちゃん、なんか言いたいんだね。感じ取ってあげようよ。」
 子ども達と、父の顔のそばで、父の表情を追いました。
 「お父さん、おじいちゃん、なんか、ありがとうって言いたいみたいだよ。」子どもは父の様子をそう読み取りました。
 「うん、そうだよ、きっとそうだね。」
 私も、息子の読みは正しいと思いました。
「おじいちゃん、ありがとうって言いたいんだね。」
 息子は父の耳元でそういいました。
 父はうなずいたかどうか、はっきりはわかりませんでした。
 でも、それから父の容態は急激に悪くなりました。酸素量も心拍数も血圧も、みるみる落ちていき、間もなく父はかすかに目を見開いたまま、静かに息を引き取りました。
 おそらく、父は、最後に言いたいことが伝わって、安心したのだと思います。

 「ありがとう」

 父らしい最後の言葉だと思いました。まさにそんな風に生きてきた人だったのです。
 1人の人生の終わりのドラマ、それを今見届けました。

 でも、そんな静かな悲しみに浸っていられるのはほんの数十分でした。
 ここから、まるで公開研究会の前日のようなドタバタと緊張感の日々が始まりました。
 悲しいはずの者が「それどころじゃないよ」という状態にされてしまう「葬式」という儀式、考えてみるとちょっと滑稽なものですね。





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Last updated  2008.01.10 22:00:55
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謹んで…  
18代目 天影 さん
ご冥福をお祈り致します。

連絡がご無沙汰で、知らずの内にお年賀を
出してしまい申し訳有りませんでした。

葬儀、法要とお忙しいとは思いますが、
寒い時期ですので、ご慈愛くださいませ。 (2008.01.11 13:51:00)

Re:父が言いたかったこと(01/10)  
りぃー子  さん
ご冥福をお祈りいたします。

実は私の父もここ数年ですっかり衰弱してしまい、
一番の心配事です。
健康なのに、アル中で自ら死へと急いでいるかのような父。
でも本人は勿論死にたくは無いのですけど・・・

中毒とは恐ろしいものだと思います。


tot23さんのお父様は突然のことで
ご家族もお心が追いつかなかったのではないでしょうか。

最期に「ありがとう」と、私も言える人生をおくりたいと思います。
そして、家族にその思いを汲み取ってもらえたら、きっと嬉しいと思いました。



(2008.01.11 21:29:10)

失礼いたしました  
tot23  さん
天影さん、
ごていねいにどうもありがとうございます。
個人的にはめったにない体験でした。そう何度もしたくない体験でもあります。
人間、「別れ」は避けて通れないことですね。

お葉書お返ししませんが、ご容赦願います。 (2008.01.12 00:26:27)

りぃー子さんへ  
tot23  さん
いつもありがとうございます。

身内との別れ、それは突然来ても、じわじわ来ても、それぞれつらいものだと思います。
母は「お父さんは、あんまり長引かせると私がつらいだろうと思って早く逝ったのかもしれないね。」なんて言います。
死という事実をどう受け止めるか、心の中でいろいろにとらえ直しながらなぐさめているのかもしれません。

りぃー子さんのお父様もちょっとずつでも健康を回復されるといいですね。 (2008.01.12 00:32:28)

Re:父が言いたかったこと(01/10)  
長くは苦しまれずに眠るように逝かれたのですね。
最期がご家族の皆さんとご一緒で、お父様も安心されたのでしょうね。
ご冥福をお祈りいたします。

私の父も今、腫瘍と闘っています。
数年前には肺ガンの手術を受け、大好きだった煙草もすえなくなりました。
それからすぐにリンパ腫が見つかり、治療をするかどうかで悩みましたが、高齢ということもあり、治療を拒否。これまた大好きなお酒を控えめにして細々と生活していましたが
このところ急にリンパ腫が増え、またも治療の選択を迫られています。
父には入院が苦痛でしかなく、残り少ない余生を病院でなんか過ごしたくないとこぼしていますが、体調の急な悪化には困りきっているようで、その間で激しく葛藤しています。
ワガママな娘としては長生きしてほしい、でも治療には副作用もあるし、怖い、また入院したらしたで母も大変、と、答えを出せないでいます。
両親の死などこれっぽっちも考えていませんでしたが、この頃はそればかり気になっています。 (2008.01.16 10:35:01)

Re[1]:父が言いたかったこと(01/10)  
tot23  さん
どんどこ母さんさん
ありがとうございます。

おっしゃるとおり、ある意味父は幸せな死に方だったとも思います。

どんどこ母さんのお父様、ご病気が少しでもよくなりますように・・・と、月並みにお祈りするばかりですが・・・

ガンの治療については、すごく判断が難しいものがあると思います。
うちの父の場合は、抗ガン剤の点滴を始めてから、体にものすごい負担が来て、急激に衰弱しました。そして結局抗ガン剤治療は中止、ひたすら痛み止めだけになりました。
結果から見ると、抗ガン剤治療はかえって寿命をちぢめたのでは?とも思えます。もっとも、もう少し体力があれば違ったのかもしれませんが。

ラジオで、「未病医学研究センター」のことをやっていました。ガン末期の患者が、体の養生を考えた食事と漢方薬で、なおってしまったという話を放送していました。

実際のところ、どうなんでしょうね。 (2008.01.17 21:45:47)

Re:父が言いたかったこと(01/10)  
sugi さん
良く生きること良く逝くこと。
そんな言葉がずっと前から心に残っているのですが
どういうことなんだろうか、と。
私は子ども達によい死にざまを見せて逝きたいと思ってもいます。よい生き方なんぞはとても見せられないけから、と。でも、どっちが難しいのだろうか、とも。
お父様は、お子さんにもお孫さんにもよき逝き方だったのだと思いました。
私の父は60歳で亡くなりました。早すぎる、と誰もが言いました。母は今年80、老人性の鬱になり足腰も弱って、このごろは少しちぐはぐな言動があります。そういう両親を見て天命と言うのも感じています。
ご冥福をお祈りいたします。
(2008.01.19 00:43:38)

ありがとうございます  
tot23  さん
sugiさんコメントありがとうございます。

子ども達にとって、父はいい逝き方だったと思います。あまり長く悲惨な姿を見せるのも残酷ですし、かといっていきなり死んでしまうのもまたきついものがあります。子ども達も、心の準備はできてきていました。

僕自身も、いい生き方をして、そしていい逝き方をしたいと思います。

お母様のご健康をお祈りしております。 (2008.01.19 20:16:40)

遅くなりましたが・・・  
しっかかもっかか さん
コメント遅くなってすみません。
心からお悔やみ申し上げます。
夫の父も昨年亡くなりましたが、本当に悲しんでいられないままお別れしてしまいました。
でも、もしかしたら悲しみすぎない為に、忙しくしなくちゃいけないようになっているのかなって、ちらっと思いました。

最後のお別れが出来て、家族に見守られ逝くことができ、お父様はきっとお幸せですね。
ご冥福をお祈り致します。
お母様も先生も、お体ご自愛下さいね。 (2008.01.21 15:41:04)

しっかかもっかかさんへ  
tot23  さん
コメントありがとうございます。

父のことにみなさんにたくさんコメントをいただいて、とてもありがたいです。
しっかかもっかかさんに書いていただいたのですが、父は、みんなに見守られて逝けたということも、本当に幸せだったんだなあと思います。
「悲しみすぎないよう・・・」
僕も実はおんなじことを考えてしまいました。たしかにそんなものかもしれませんね。
もしも、あのときヒマにしていたらどんな感じなのでしょうか?

ごていねいにどうもありがとうございます。 (2008.01.21 23:18:00)

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