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2010.06.09
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カテゴリ: 心理・教育
BH_574.GIF

 日曜日、テレビを見ていたら、公立学校に、教室の仕切りのない校舎を作るといった取り組みについてのドキュメンタリーをやっていました。
 この番組の「エンターテイメント」としての部分に、私の中でちょっぴり疑問符がつきました。それについて。

 この番組の作りは、「常識を破ろうとする設計者」と、「今まで通りを望む教師」の対立という構図を中心に描いています。「まわりの音が気になって子どもが落ち着かないのではないか」と懸念する教師を、実際に壁を取り払った学校をじかに見る機会を設け、「なんだ、それほどでもないね。」というつぶやきでエンディングをむかえます。
 常識を破ろうとする新しい試みが、苦難の末に理解を得、前進するという「ストーリー」に構成されています。
 しかし、物事そんな単純な物ではありません。見る人がすっきりするように、一方向の筋書き以外の物をそぎ落としてしまっているのを感じました。テレビはしばしばニュース報道をする時にこういうことを露骨にやります。ぼくに言わせると、「エンターテイメント」です。

 教室の壁を取り去るという試み、これは、メリットもあればディメリットもあります。
 実際にこういった学校はすでにいくつも作られています。ぼくも何度かこういう学校に見学に行ったことがあります。ぼくはどちらかというとあまりいい印象を持ちませんでした。
 隣のクラスの声はあまり気にならないといえば気にならないかもしれません。ただし、音楽を始めたら別です。音楽の授業をやる時は、学年で合わせるとか工夫するという話を聞きました。

 番組の中で、教室の壁を取り去ることが、「閉鎖的でない開かれた教育」というイメージを喚起させ、政治の改革や情報公開などとイメージをダブらせ、「いいぞいいぞ」と心の中で喝采を送った視聴者も多いのではないかと思います。
 でも、「開く」ことにも、メリットとディメリットがあります。ただ開けばいい教育ができるとか、子どもが良くなるとかいうものではありません。
 閉じられた学級、壁に仕切られた学級は、ある意味、子どもを伸ばし、育てる可能性を無限に持っています。
 閉じられた学級の中には、独自の規範があり、その学級だけの独自の空気、独自の共有意識、共感が作られます。その中でだから自分を出せる子、その中だから安心してバカがやれる子、教室は日常と切り離されている分、一種独特の「世界」ができあがるのです。
 普通だったらしらけることが、その学級の中で、先生といっしょだとなんか夢中になってやれるみたいな物を提供してくれるのは、閉じられた学級なのです。
 たとえば、学級対抗球技大会で、学級の作戦を立てたり、または意見が食い違ったりもめたり、けんかになったりで学級がぐちゃぐちゃになって、泣きながらなじり合い、やがて相手が自分と違うことに気づいて、少しずつ思いやる気持ちを持てるようになり・・・共感し・・・気持ちがひとつになる一体感を学級みんなでもって、だれかが「応援団を作ろう」なんて言い出して・・・といったドラマチックな盛り上がりは、閉ざされた「世界」の中だからこそ作られる物ではないでしょうか。
 この報道番組に出てきた人は、この設計者も教師もそのまわりの人も、子どもが落ち着く落ち着かないだとか、学力がどうのとか、そういうことしか意見しないように見えます。(たぶん、それ以外のつぶやきは、番組編集の段階でカットされてしまっているのでしょうけど)

 ぼくは、壁のある、閉じられた教室の良さをここでは主張しました。しかし、公平な目でという意味で、「閉じられたスペース」にも、たいへんなディメリットがあるということも最後に付け加えておかなければなりません。
 ひとりの教師と閉じられた「世界」を作る従来の学級は、もしもその教師が極端に偏った性格で、その人が子どもを強力に支配したりしたら、この閉ざされた世界は子どもにとって、「地獄」になります。
 何でもそう単純じゃない。両面あるでしょう。

 不登校気味の子のことを考えると、オープンスペースって、あんまりよくない気がします。こういういろいろな人の視線にさらされるような環境は、登校しにくいのではないでしょうか。
 また、子ども達は、まわりで授業をやっていても、なれればそれほど気にはならないと言っていましたが、ADHD(注意欠陥多動性症候群)の子は、そうはいかないでしょう。






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Last updated  2010.06.09 21:14:08
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