《 幸せのひろいかた 》  フェルトアート・カントリー木工 by WOODYPAPA

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2012年06月22日
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カテゴリ: 栄養とはなんだ!

人間の"味覚(甘味・酸味・苦味・辛味・塩味・旨味)"は何のためにあるのでしょうか。

食べ物が、食するのに適しているか否かを判断するための、生きるために備わった必須機能です。

アミノ酸やでんぷんに対して、舌は"旨い""甘い"という味覚によって、おいしいと感じます。

これは身体にとって必要な栄養素であるから、食べても良いというメッセージです。

"酸っぱい""辛い""苦い"はもともと腐敗や毒を判別するための"警告味覚"ですが、その中で身体に必要なものは徐々に経験を通じ、おいしいに転化します。

子供の頃苦手だった味が、成長するにつれ体力が整い、身体が要請するに従っておいしいの感覚に変わってゆくのはそのためです。

では、"塩味"はどうでしょう。

しょっぱすぎる料理は食べられたものではありませんが、ちょうどよい塩加減は、調味料として欠かせないものです。

人間の身体は血中塩分濃度0.8%になっているので、その近辺のスープが一番おいしく感じられるようになっています。

これは、一杯150mlの味噌汁に換算すると、1.2グラムの塩分になります。

塩味は料理にとって欠かせないものであり、身体がおいしいと感じることは、必要としているものという証明なのです。

にもかかわらず、世の中は"減塩"が賞賛されています。

減塩することによって、高血圧を予防し、脳卒中を防ぐのだと言われているからです。

高血圧については、異論を紹介しました。

http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/201106110000/

では、塩分と高血圧の関係はどうなっているのでしょうか。

当然、塩分を多く取ると高血圧になるという基本的なデータがあると思っていましたが、実はどこにもないのです。

それどころか、塩分と高血圧は関係ないという調査結果があります。

それが「インターソルト・スタディ」という、世界的に有名な調査報告書です。

「インターソルト・スタディ(1988年)」とは32カ国、52センター、10,079人を対象者として国際的に行われた食塩摂取量と血圧に関する疫学調査研究です。

具体的には各センターとも20~59歳までの男女200人以上を性別、年齢層から無作為に選び、血圧測定、採尿、問診などにより調査を行いました。

その結果、解ったことは次の通りです。

1)文明社会では食塩の摂取量に関係なく10~15%の高血圧患者がいる。

2)食塩によって血圧が上がるかどうかは、遺伝によって決まる傾向がある。

3)1日3グラム以下くらいの極端に食塩摂取の少ない民族では高血圧がほとんどないこと、1日30グラム以上のような極端に食塩摂取の多い民族では高血圧が多いことは明らかになったが、その中間に属する大多数の民族については、食塩摂取量と血圧の相関関係は認められなかった。

つまり、食塩摂取量と高血圧有病率との間には相関関係がないという結論がでたのでした。

これだけ減塩が騒がれているにもかかわらず、高血圧患者は減らないし、むしろ増えています。

僕の知る範囲でも、減塩の食事にして血圧が下がったという人は、ひとりもいません。

では何故、塩分制限がまことしやかに推奨されるのでしょうか。

塩に対する攻撃は、1972年のラットの実験に関する論文から始まりました。

ラットのえさに塩で味付けした場合、ラットの血圧が上昇したという内容でした。

このデータが世界的に受け入れられて、塩を減らす運動が広がりました。

たぶん、タバコを辞めたり、毎日欠かさず運動をするよりも簡単だという理由で。

しかし、そのラットは塩分に特に敏感な種類であり、しかもラットが摂取した塩分量は、人間に換算すると、1日500グラム相当だったのです。

この大量の塩によるストレスが原因で、血圧が上がったのではないでしょうか。

ですが、多くの栄養学者はこの研究の成果を歓迎し、「塩に注意!」と消費者にアドバイスするようになったのです。

しかしその後徹底した科学調査が行われた結果、「塩を少なくしても、多くの国民層の血圧は下がらないし、長生きすることもない」ことが明らかになりました。

高血圧の人ですらメリットはほとんどありませんでしたし、塩分を大幅に減らしても同様でした。

「命を奪う塩」という作り話は、以前にも増して疑問視されるようになりました。

近頃は学者たちも、「塩分を少なくするようにとアドバイスすれば、人によっては害になる可能性があるかもしれない」と考え始めています。

老人の場合、塩を控えるのは危険です。

精神能力にも有害ですし、喉があまり渇かなくなって極度に液体を飲まなくなってしまうからです。

最近の二つの研究によりますと、「塩の摂取を制限すれば、一般的に死亡率が高くなり、心臓・循環器病を引き起こすことになる」という結論が出ています。

しかも「塩分摂取量が少なくなればなるほど、危険率は高くなる」というのです。

また、塩分摂取量を減らすとコレステロール値、それも特に悪玉とされるLDLコレステロール値が上昇することが確認されています。

研究データを引っ張り出すまでもなく、冷静に考えてみれば"減塩"はまずい料理を我慢するというストレスを生む割には、何の効果も望めないのが数字で証明されています。

そもそも、人間の体には約200グラムの塩が含まれています(正確にはナトリウム100グラム、塩素100グラム。塩はナトリウムと塩素の化合物であって体内でイオン分解します)。

血液を舐めると塩味がするのはこのためです。

すべてを食品から摂取して、余剰分は常に尿と汗で排出します。

(そういえば、"尿療法"という自分の朝一番の尿を飲む健康法の本を読んでいたら、尿はかなり塩っぱいと書いてあったと思います)

1日の塩の摂取量を2グラム制限したところで、全体のわずか1%でしかなく、十分調整範囲内です。

毎日10グラム摂取すれば10グラム排出するし、15グラム摂取すれば15グラム排出します。

逆に5グラムしか摂取しなければ5グラムしか排出しません。

0の場合は排出量も0です。

塩分を多く取る分には多く出せばいいので問題無いのですが、夏の暑い盛りや、激しいスポーツをした時などに、汗で流れでた塩分を補給しないと熱中症や痙攣を起こします。

ひどい場合は死に至ります。

また、塩分不足は低体温を招き、うつ症・不安症など精神疾患に大きな影響を与えます。

塩分は取りすぎが問題となるのではなく、取らなすぎが問題なのです。

1970年代に秋田県の脳卒中死亡率が多いのは、30~40グラムも摂取している塩分が原因と問題視されました。

しかし後の調査で、同じ秋田県内で、同じような塩分摂取をしていても、沿岸部に住む住民の脳卒中死亡率は全国平均値だと判りました。

この違いは、タンパク質摂取量の違いでした。

脳卒中死亡率の高い山間部の住民は、沿岸部に比べて極端にタンパク質摂取量が少なかったのです。

タンパク質が少ないということは、血管が弱くなっていたということが考えられます。

東京都老人総合研究所が1990年代から秋田県で「食べ物と健康の調査」を行なったところ、栄養状態が改善し、タンパク質の摂取が高まると、脳卒中は減っていくことが分かりました。

ちなみに、この調査では、コレステロール摂取が増すと脳卒中が減ることも明らかになっています。

100歳以上の老人が多いことで世界的に有名なグルジアをはじめ、長寿を誇る地域は、どこも例外なく、肉屋乳製品などから良質のたんぱく質をたっぷりとっているのが特徴でした。

アメリカ上院・マクガバンレポートでは、最も理想的な食事は元禄時代前の日本人の食事だと明記されています。

精製されていない穀類、野菜、豆類、海藻、小魚、貝類、そして味噌・醤油、漬物・納豆等発酵食品。

日本人の食事には塩分が必要でした。

現在も、世界の中で日本人の塩分摂取量は多いままです(欧米人8~10グラムに対し、日本人11~13グラム)。

しかし、平均寿命は女性1位、男性4位の、堂々とした長寿国。

僕は料理人として、「塩を使うな」という厚生省の方針に素直になれませんでした。

人間は"おいしい"と感じるものを食べることが、DNA的に正しい食べ方です。

塩を減らして、まずくした料理は正しい料理とは言えません。

(だしや酢を使って塩分を抑える手法は認めますが)

お味噌汁を飲んで、ほっとする心地よさを感じませんか?

大切なのは、偏らずに食べることです。

いくらおいしくて好きだからといって、偏った食べ方はいけません。

同じように偏って食べないのも良くありません。

いろいろな食材をバランス良く食べることが重要です。

そして、食べ過ぎをしない。

腹八分目なら、何を食べたって構わない。

おいしく食べて、幸せだなぁ~と感じることが一番大事なことです。

塩分を気にして、耐え難い薄味を我慢するのは、全く不健康な食事なのです。

参考文献:橋本壽夫『インターソルト・スタディとその結果を巡る論議』・タケヤみそ『みそ健康レポート』・ウード・ポルマー&ズザンネ・ヴァルムート『健康と食べ物 あっと驚く常識のウソ』・伊藤敬一『食塩と健康の科学』・高田明和『長生きする食早死する食』






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最終更新日  2013年05月11日 10時09分49秒
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