ちょっと話が逸れるが稀代の贋作作りとして知られる RP 氏について少し前に書いた。彼が行った事は紛れも無く犯罪で有るが、同時に彼が類稀なるワインの味覚を持つ事は異論の余地がない。彼の初期のエピソードを見ると周囲の人が彼の常人離れしたテースティング能力に感嘆している様子が手に取るように分かる。そして彼のテースティング能力が単に官能評価に留まらず自分のデータベースから他のワインを何本か組み合わせて再構築出来るという所まで到達していたのだろう。これは最高の批評家とされる RP 氏を遥かに超えた才能で有る。彼は贋作に当たりどう言うワインを混ぜ合わせるか詳細な「レシピ」を作っていたが、そのレシピを見ると大抵ベースになるワインに少量、アクセント、深みを出す別のワインを入れている。このコンセプトはラーメンや蕎麦の出汁に見られるような「出汁と返し」だ。因みに表向きは彼の事を非難する一方で、表立っては言わないがやはり彼の才能を認める人もいるようで、彼が使った「返し」のワイン(多くは西海岸のワインだ)は密かに人気が沸騰している。まあ、 DRC の共同所有者も見抜けなかった、本物を超えた贋作に作われたワインと言えば興味を覚える人は多いだろう。私もその一人だが(笑)。
閑話休題、その彼が逮捕されていた時の所持ワインの中に数多い Clos de Goisset があった。 VT は忘れたが多分 2000 年代初頭だったと思う。同時に Christal のマグナムの空ビンが有ったので彼が Christal を作る積もりだった事は間違いない。また彼は 73 Meursault Charmes
を数十本を所持していただが、これは D 悶か Vogue のブランのベースにしたのだろうと思っていた。
まあ、ここからが本題なのだが、この所シャンパーニュとブル白を混ぜて楽しんでいて、彼は実は Goisset とこの古い Charmes を混ぜて Christal を作る積りだったのではないかとふと気が付いた。実際混ぜるに当たってはスープとなるシャンパーニュの質は大事で(本末転倒で有るが)、一流どころを使うと出汁が適当でもグンと美味しく感じていた。その逆、安シャンパーニュだとタレにグランクリュを使ってもそれなりのところまでしか行かない。なんて言う事を考えていたからだ。 本当の所はどうか分からないが、何と無く彼の真髄の一片に到達したようで嬉しかった。
本当の所はどうなのだろう。そう言えば RK 氏は模範囚で後半年で出所してくるとの事。機会が有れば是非聞いてみたいものだ。
(この項続く)
Vosne Romanee Gaudichot 2004 (Forey) 2023/10/30
Saumur Champigny Poyeux 2012 (Clos Roug… 2023/10/28
Puligny Montrachet Pucelle 2018 (Morey-… 2023/10/23
PR
Calendar
Free Space
Comments
Keyword Search