前に書いたが今のブルゴーニュ、特に CdN 、 VR には大別して三つのグループに分かれるように思う。一つは Jayer や Rouget のような赤果実中心で高いトーン、官能美に訴える所謂妖艶系、二つ目は Cathiard 、往年の Leroy 、 DRC のような重厚で緻密なゴシック様式のような構造を感じさせる系統、荘厳系とでも言うべきか。そして第三の系統、 Bizot に代表されるような酢酸を感じさせる軽やかなナチュール、軽快系。そして私的にはこの三つの系統は三原色のように混じり合って大抵のドメーヌのスタイルを説明できるように思える。例えば Lamarche は妖艶系と荘厳系が 50/50 、 George Mugneret は妖艶系と荘厳系が 10/90 とかだ。
問題なのはこの第三の系統で酢酸のニュアンスが入るとどうしてもそれが支配的になってしまい、クリマの特徴は勿論、酷い時にはセパージュも分からない事も多い。全房発酵、 SO2 添加極小化により酢酸菌等混入がコントロール出来ない事による可能性も高い。残念ながら(とはっきり書いてしまうが)この路線で大ブレークした Arnaud Lachaut に続けとばかり幾つかの作り手が個々のドメーヌの伝統的なスタイルから離れてこの系統にスタイルを変えている。
さて前置きが長くなってしまったが今日のこの作り手。昔から中庸で燻銀的な地味な作りだが時折きらりと光りで、上に書いた比率で言うと 40/40 (基本的に薄いので合計が 100 %にはならない)という感じだった。久しぶりにこの作り手を飲んだのだが、なんと完全的に第三の酢酸系に変節してしまっていた。クリマも不明、セパージュも不明、と素性不明だが酢酸だけは解る。個人的には1杯でダウン。細かいコメントもする気も起きない。
この Precolumbiere とは三つの畑、 Pre de la Folie 、 Commune 、 Columbiere の頭文字を取ったとの事だが Pre-Columbian に掛けていることは明白だ。ナチュールを作る人は往々にしてこういう言葉遊びをするが個人的にはこう言う歴史あるドメーヌは言葉遊びの前に伝統的な作りを保ってもう少し良いワインを作って欲しいと思う。
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