久しぶりのアップ。
Bourgogne Cote d`Or の村で一番知られてない村と言えば大抵 Ladoix か St. Romain を挙げるだろうが、実は Brochon では無いかと思っている。 Fixin と Gevrey の間に位置し Dangue et Aubertin ( 1891 )では名醸村として紹介しているにも関わらずこの村の名を知らない人は多いだろう。一部は Gevrey を名乗り(これはアペラシオン策定の時に porte - drapeau として例外的に認められた制度)、残りは敗者復活として Comblachien 村と同様 Cote de Nuits Village としてのアペラシオンが付与されている。 . 私の 記憶では 90 年代に INAO が Brochon というアペラシオンを創設する事が打診されたが村全体の意思としてこのアペラシオンは要らないという結論になった。結果この村を名乗るアペラシオンはなく、これがこの村の知名度が低い事に繋がっているのだろう。
閑話休題、この米ではかなりの人気なのだが日本ではさっぱりの作り手、前に Bourgogne AC の素晴らしさを書いたがこのワインもかなり良い。フラッグシップの Charmes ( 100 年を超える超 VV だ)は元より Corbeaux (これも超 VV )も日本には僅少しか入らないが、これはまだ日本に入ってくる。 Cote de Nuits Village というとどうしてもちょっと泥っぽい Comblachien のイメージが強いがこの人は全て Brochon 、しかも Gevrey に隣接する畑から。樹齢は70年越え、完全除梗、 18 ヶ月樽熟と上のキュベと同一スペックで作られるところだろう。
果たしてワインの質だがこれは mediocre な作り手の Gevrey 1級を遥かに凌駕する。香りは黒すぐりが支配的で味わいも適度なコンポート。深み、厚みも十分あり、伸びやか。優れた Gevrey に共通するテノールのような妖艶な masculin の要素、フィネスすら感じる。 Marsannay の軽薄さ、 Nuits や Morey のような土の要素はなく、 Fixin のような粗雑さもない。勿論今流行りの酢酸のナチュールは微塵もない。 Bourgogne AC も素晴らしかったかが、これを飲んでしまうとやはり平地のワインらしく単純で(それはそれで良いのだが)このワインの素性の素晴らしさは特筆に値するのではと思ってしまう。下山にはちょっと良すぎるワインだ。
生産量は約 6000 本、米では「気楽に飲める数少ないブルゴーニュ」として既に争奪戦、値段も 70 ドルと上がってきている。日本ではこのアペラシオンと作り手の知名度の低さで 6000 円ちょっとと現在のレートで半値近い。米のファンから見るとこの宝の山が放置されているのは信じられない。
ちょっと古いけど買うなら「今でしょ」。
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