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散歩中に 蝉の抜け殻を見つけた
夫が 蝉に因んだ中原中也の詩を 唐突に・・・
中原中也の未刊詩篇の中から 蝉 ( 1933年 8月 14日 )
いまどき 中原中也なんて・・・ 夫ぐらいだと思う ( 苦笑 )
上記中央の画像は ウィキペディア 中原中也
にリンクしています
蝉
蝉が鳴いてゐる、 蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!
うつらうつらと僕はする
・・・・・・風もある・・・・・・
松林を透いて空が見える
うつらうつらと僕はする。
『 いいや、 さうぢやない、 さうぢゃない! 』 と 彼が云ふ
『 ちがつてゐるよ 』 と 僕が云ふ
『 いいや、 いいや! 』 と 彼が云ふ
『 ちがつてゐるよ 』 と 僕が云ふ
と、 目が覚める、 と、 彼はとつくに死んだ奴なんだ
それから彼の永眠してゐる、 墓場のことなぞ目に浮ぶ・・・・・・
それは中国のとある田舎の、 水無河原といふ
雨の日のほか水のない
伝説付の川のほとり、
藪蔭の土砂帯の小さな墓場、
------ そこにも蝉は鳴いてゐるだろ
チラチラ夕陽も射してゐるだろ・・・・・・
蝉が鳴いてゐる、 蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかなんにもない!
僕の怠惰? 僕は 『 怠惰 』 か?
僕は僕を何とも思はぬ!
蝉が鳴いてゐる、 蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかなんにもない!
( 1933年 8月 14日 )
中原中也 全詩歌集
上 下
( 講談社文芸文庫 )
画像は 【You Tube】 亡き王女のためのパヴァーヌ ピアノソロ
にリンクしています