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2024年12月04日
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カテゴリ: ハロプロ
想像もしていなかったタイミングで、世界が変わるような出会いがあるから人生は面白い。コミュニケーションアプリ「LINE」や総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」をはじめとしたさまざまなサービスを展開する日本最大級のテックカンパニー LINEヤフー株式会社。その代表取締役会長である川邊健太郎氏が、ひょんなことから出会ったのが、モーニング娘。'24やアンジュルムなどを擁するハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)だ。
リアルサウンドでは、“ハロプロとリーダーシップ”をテーマに川邊氏へインタビュー。人生を変えた出会い、ビジネスの側面から読み解くハロプロ、象徴的なメンバー達から学ぶリーダーシップまで、大企業を束ねる経営者だからこその視点で幅広く語ってもらった。部下との付き合い方に悩むリーダー層やより一層の活躍を目指す若手ビジネスマンまで、多くの学びを得られるインタビューになっているはずだ。(編集部)

■「モーニング娘。の歴史と会社経営の歴史は同一線上のもの」

ーー川邊さんが急速な勢いでハロー!プロジェクトに夢中になっていることが世間でも話題となっています。どういう経緯で沼にハマったのか、まずはその経緯からご説明いただけますか。

川邊健太郎(以下、川邊):そもそも僕自身は、推し活するとか、なにかに陶酔するようなタイプではなかったんです。大きかったのは市井紗耶香(モーニング娘。の元メンバー)さんと知り合ったことなんですよ。僕は猟師をやっているものですから、そこで獲った動物をみんなで食べようという会を開催しておりまして、市井さんもそこにお呼びしたんです。そうしたら、その場の一同が息を呑むくらいキラキラとしたオーラを放っていて。市井さんから在籍当時のモーニング娘。のお話を伺ったのですが、驚きの連続でしたし、とても面白かったんです。その中でハロプロに体育会系の精神があることも知りました。

ーー市井さんが在籍したのは、わずか2年ほど。今思えば、すさまじいスピード感でした。

川邊:会が終わるとき、市井さんに言われたんです。「でもね、川邊さん。あの頃のモーニング娘。と今のモーニング娘。はもう全然違っちゃっているんですよ。今はもっとカッコよくなってるから、ぜひそちらもご覧ください」って。

ーーすごく後輩想いのOGじゃないですか。

川邊:僕は信用できる人に言われたら、それを真面目に実行するタイプなので、帰宅する途中で早速チェックしました。「モーニング娘。 カッコいい」みたいに検索して(笑)。それでMVをいくつか観てみると、たしかにこれは完全に別物だなと。「どういうことなんだ?」と思いましたね。もちろん曲自体も素晴らしいんだけど、やっぱり僕はどこかで経営者や事業家としての目線で見てしまうところがあって、“変化”という事象に対する感度が異常に高いんです。モーニング娘。が変化したことの背景……それはビジネス的、マーケティング的なことを含めてですが……そこに注目せざるをえなかった。

ーー何かしらの戦略があるはずですからね。

川邊:最後に僕がモーニング娘。を見たのは、「女子かしまし物語」(2004年)のMVだったんです。まだ道重さゆみさんが子供っぽくて幼かった時期ですね。それが「One・Two・Three」(2012年)になると、メンバーはほとんどわからないんだけど、よく見るとリーダーになった道重さんがすっかり大人になってグループを牽引している。これは「どういうことなんだ?」と衝撃を受けました。今度は人事的な側面に興味を持ったんですよ。

ーー“ビジネス的側面”と“人事的側面”からモーニング娘。のあり方に注視したということですか。

川邊:その2点が刺激的かつ重要でした。これは個人的な話になってしまうのですが、私が(旧ヤフー株式会社の)副社長になったのが2012年。そこでスマホシフトを行って、会社の中身を変えていって、2018年には社長になった。その後も業界再編ということで、ZOZOを買収したり、LINEとの経営統合を決めたり、アイドルとは全然関係ないビジネスの世界で環境に応じて試行錯誤しながら変化していったわけです。その目線であらためて見つめてみると、モーニング娘。の変化という出来事が、自分の過去とすごく重なったんです。具体的な解決法は違うかもしれませんが、時代の変化という流れの中で同じように悩んで、変化しながらどうにか凌いでいくという歴史が。こんなにエモい話はないぞと思いました。

ーー自己投影した部分もあったと。

川邊:そうです。私のなかでは、モーニング娘。の歴史と会社経営の歴史は同一線上のものとして捉えていました。

■道重さゆみから学ぶ“マネジメントスタイルの変更”

ーーリーダーが変わると、社風やチームカラーもおのずと変わる。たしかにそれは企業でもアイドルグループでも同じかもしれません。その点でいうと、ハロプロ史の中でも劇的に組織の体質を変えたリーダーが何人かいると思うんです。たとえば先ほど名前が出た道重さゆみさんなどは、その最たる例ですが。

川邊:優れたリーダーの条件として、ビジョンを掲げられるかどうかというのはものすごく重要です。

ーーそれはビジョンをきちんと言語化するということですか?

川邊:言葉がいちばん大事ですが、“成果を見せる”というのも同様に重要だと考えます。言葉を駆使するという点に関しては、「全盛期は、一度だけとは限らない」あるいは「もっと大きな会場の光景を後輩メンバーに見せてあげたい」といったように“ビジョンの提示”が道重さんは明確にできていたように思います。その能力が傑出しているんですよね。みんな口では「ビジョン」という言葉を繰り返しますが、“そうなった暁の姿”を言語化してわかりやすく伝えられる人は意外に少ないんです。

ーーたしかに道重さんの発信力は凡百のアイドルと一線を画します。

川邊:あとリーダーに大事な要素として、「マネジメントスタイルを変更できるかどうか?」という点も見逃せません。というのも昔の道重さんはソロでバラエティ番組などに出演していて、言ってしまえば“自分が前に出ること”を最優先していたように映るところもあったように思います。ですが、トップに立ったことで指針をあらため、“グループが目立つこと”に重点を置くようになった印象を受けました。また、9期、10期と若いメンバーが8人も一気に入ってきた際は、そうした新メンバーを前面に押し出し、自分は後方支援に回るというスタイル変更を行ったように見受けられました。

ーーリーダー就任後は完全に意識が変わっていましたからね。

川邊:これは事業でも同じですが、やっぱり優れたリーダーというのは進んで変化を起こすものなんです。そして変化を起こすために、自分を変えることができる。この2つは因果関係があって、要するに自分を変えることができるリーダーは、事業を変えられる。事業を変えられたら、成果を出すことができる。どう考えても、道重さんというのはリーダーとして模範的です。

ーー当時のモーニング娘。の「これから本当の全盛期を作る」というスローガンは、裏を返せば「私たちは一度負けたんだ」ということを暗に認めているようにも受け取れます。

川邊:それも大企業に起こり得る現象なんですよ。多くのアイドルグループは結成して数年で解散していくものだと思います。つまり、ほぼすべてがスタートアップ企業なんです。そんな女性アイドルシーンのなか、その時点ではほぼ唯一の大企業となっていたのが当時のモーニング娘。であって。見方を変えると、アイドル分野において“大企業のリバイバル”みたいなことを初めて牽引した人ということになるのではないでしょうか。

ーー“伝統ある女性アイドル”という枠そのものが珍しかったのは事実です。

川邊:『巨象も踊る』(日経BPマーケティング)という有名な本があります。これはIBMを再建させたルイス・ガースナー氏によって書かれたもので、自社プロダクトにこだわっていた大企業が、他社製品も使うクライアントのためのソリューションビジネスに変化させていき、やがて再起させていく……という内容なんですね。道重さんがモーニング娘。のリーダーとして行ったことは、すごく『巨象も踊る』と重なるんですよ。

ーーモーニング娘。リーダーの系譜をたどると、初代の中澤裕子さんから始まって、6代目・高橋愛さん、7代目・新垣里沙さん、8代目・道重さんと禅譲されてきました。新垣さんは中継ぎ的なリーダーという面もありましたが、高橋さんも道重さんとは別の意味でカリスマだったことは間違いないと思います。

川邊:もちろん高橋さんも組織を変えた功労者と断言できます。その前の時代というのは、“テレビとのタイアップでCDを売る”というビジネスモデルだったと思います。それがライブ主体になっていきましたが、そうなると本格的なものを見せない限りファンはついてこない。だから徹底してパフォーマンスのクオリティを上げていった。いわゆる“プラチナ期”と呼ばれる時期ですよね。

ーー市井さんによる「今のモーニング娘。は、あの頃と全然違う」という指摘は、高橋さんがリーダーとして変えていった部分が大きいはずです。

川邊:高橋さん、新垣さん、道重さんの3人は、卒業コンサートのスピーチでそれぞれの個性がはっきり出ています。まず高橋さんは涙の量がすごく多い。スピーチのときもメンバーと話すときも、とんでもない勢いで泣いています。本質は極めてエモーショナルな表現者なのでしょう。一方、新垣さんは「モーニング娘。」という言葉を多用するのが特徴。これが意味するのは“グループ愛”です。組織貢献型リーダーということになるのかもしれません。それらの要素を完璧に押さえたうえで、道重さんは今まで応援してきたファンとか僕みたいな初見の人にもわかりやすいストーリーをスピーチとして展開しました。「感情の発露」→「組織愛」→「一般層にも届くストーリー性」という流れですね。プレイヤーが代わっても組織が完成に近づいていくという過程が、僕にはとても面白く感じられました。なぜかというと、企業に似ているからです。

ーー言われてみれば、長編の企業小説を読んでいるような物語性が随所に感じられます。

川邊:同じですね。「マイクロソフトがどう変わっていったか?」という話と本質的には変わらない気がします。
■和田彩花、譜久村聖、竹内朱莉……それぞれの異なるリーダーシップ

ーーさて、ハロプロのリーダーといえば、元アンジュルムの和田彩花さんもしばしば名前が挙がる1人です。

川邊:モーニング娘。を短期集中で猛勉強して詳しくなった頃、「川邊さん、アンジュルムも見ないとダメですよ」と信頼できるハロヲタ筋の方から指摘されたんです。みなさんが口を揃えて言うのは、「やはり和田彩花という人物は傑出したリーダーである」と。それは自分の技量もさることながら、トップとして組織を育てる力や後輩の面倒を見る姿勢がすごいということでして。要するに“完璧なリーダー”という評価が定着していたわけですが、いろんな映像を観ながらアンジュルムを勉強するにつれ、僕もまったく同じ考えに至りました。

ーー周囲が言ってることは正しかった(笑)。

川邊:またしても卒業スピーチの話になってしまうのですが、和田さんの場合は努めて冷静に話をするんですよね。しかもコミカルなエピソードも織り交ぜながら。そこがすごくいいなと思いました。「今後、心配なのは食べ残し」とか「今までは私が靴を揃えていたけど、みんなそのことにすら気づいていなかった」とか具体的な話を出すことで、観ている人も「裏でそういうことがあったのか……」と発見があるわけですよね。これはちょっとアイドルという枠を超え、マネージャーとしての有能さを痛感せざるをえないです。

ーー和田さんの特異なところは、アイドル村の住民でありながら村の掟に異議申し立てをした点にもあると思います。ジェンダーの問題や労働環境についても、かなり踏み込んだ発言をしていますよね。

川邊:そこはものすごく面白いと思います。小さい頃からハロプロエッグ(デビューを目指す研修生)という組織で純粋培養された和田さんが、ある日、社会性に目覚めて世の中に発信していくという構図。ハロプロの採用力と育成力の高さゆえに、アイドルというカテゴリーを超えるアイドルが生まれたということでもあります。

ーー同じハロプロエッグ出身でも譜久村聖さんはハロプロの保守本流、和田さんは現状打破のイデオロギーが根底にあります。この差は興味深いですよね。

川邊:同じ教育機関で同じカリキュラムを受けていても、まったく違う個性が生まれてくるわけですからね。ひとつあるのは、モーニング娘。とアンジュルムの立ち位置が違うということかもしれません。モーニング娘。というのは、プロ野球でいうと巨人軍です。エリートとしての振る舞いが求められるように思えます。一方、アンジュルムは初期に劣等生だった時代もあって、反骨精神のようなものが備わっているように見えます。そこはやっぱり和田さんが持っていて、王道を歩んできた道重さんや譜久村さんにはないところでしょうね。あと、和田さんに触れた以上、2代目リーダーの竹内朱莉さんにも言及させてもらってもいいですか?

ーーもちろんです(笑)。

川邊:先ほどの和田さんのケースと同じで、竹内さんについてもファンの方が教えてくれたんです。「和田彩花の後任としてリーダーに就任した竹内朱莉の悪戦苦闘ぶりもぜひ知ってほしい」と。そこでお薦めされたのが『ウェンズデイ・ホリデイ』というポッドキャストの番組。竹内さんがそこでお話していたのは、和田さんという偉大なリーダーから引き継いだものの、その手法を真似してマイクロマネジメントをやったら大やけどを負ったということ。それでどうしようかと悩んだ末、目線をぐっと落として若いメンバーに寄り添うことにした。一緒になって遊びながら若手の話を聞くスタイルにしたら、友達みたいになって結果的にうまくいった……おおむねこういう内容だったんです。

ーー偉大なリーダーの後継者というのは、どの世界でも苦労しますよね。

川邊:その通りです。和田さんという方は本人の才能や努力も含めてリーダーになるべくしてなったところがありますが、竹内さんはリーダーになってから「リーダーってどうしたらいいんだろう?」と、試行錯誤と努力を重ねてきた経緯があります。そして自分だけのリーダー像を確立させ、女性人気の高いアンジュルムのスタイルをさらに一段押し上げた。実に素晴らしい話だと思います。

ーー竹内さんはメンバーからの人望が圧倒的でした。

川邊:竹内さんの物語は典型的な“マネジメントスタイルの変更”と言えます。行き詰っている管理職は全員『ウェンズデイ・ホリデイ』の竹内さん登場回を聴くべきですよ。すべてのビジネスパーソンが励みになるはずですし、「マネジメントスタイルって、こうやって変えることが可能なのか!」と学びがあるはずです。またあの番組はホストの堀井美香さんというアナウンサーの方が話を引き出すのが抜群にうまくて……。なので、僕は堀井さんのこともSNSで絶賛したんですね。すると「川邊さんもぜひ出てください」とオファーをいただいて、最近、収録されたものが配信されました。もちろんそこでも竹内さんの素晴らしさを語っています(笑)。

■本田宗一郎と元アンジュルム 佐々木莉佳子の共通点

ーー竹内朱莉さんの抱えた苦悩というのは、道重さんが去ったあとの譜久村聖さんも同じだった気がします。和田さんや道重さんのようなカリスマ型のリーダーは、往々にして発想や着眼点が常人とは違う。だから、真似することができない。一方で譜久村さんは派手さこそないものの、調整型のリーダーとして卓越していた印象があります。

川邊:それは組織が大きくなったり、歴史を積み重ねていく過程で避けられないことなんです。スタートアップではなく、すでに築かれているものに調整をかけることで事業を大きくする……これはアイドルでいうと人気をもっと出すという、そういったステージの話になりますから。モーニング娘。の場合、経営用語でいうところのBS(Balance Sheet/貸借対照表)……つまり資産が大きいのです。だからアセットマネジメントをしてBSをいじるだけでも利益が出ちゃうんですよね。

ーーもはや音楽サイトのインタビューとは思えないフレーズが飛び交っています(笑)。

川邊:「アイドルと経営を一緒にするな!」とハロヲタの人たちに怒られちゃうかもしれないですね(笑)。でも、BSが大きくなると譜久村さんのようなリーダーが現れるのは自然なことですから。それはアメリカのビジネスだって同じなんです。戦前のアメリカではさまざまな起業家が出てきて、その会社がすごく大きくなったところで戦後を迎えた。ところが戦後はその創業者たちが亡くなってしまい、「じゃあ、こんな大きな会社をどうするの?」となったときにMBA(Master of Business Administration/経営学修士)が生まれて、マネジメントスクールが生まれて、そこの卒業生たちが大きな会社を切り盛りしていった。そこで求められたのは、まさに調整型の経営ですよ。プロの経営者たちが仕切る時代が到来したんです。ところが、さらにそこからインターネット時代を迎えることになって、もういちど、創業起業家たちが現れた……これがアメリカのビジネス史ですから。

ーー勉強になります。

川邊:ハロプロは歴史が長いので、調整型リーダーが現れるのは当然の話です。とはいえ、僕から言わせると譜久村さんも譜久村さんで少なからず変化は起こしていると思います。たとえば大型ロックフェスに出るようになったのも譜久村さんの時代からですよね。それでアイドルファン以外の層にも「ハロプロがすごい!」という話題が広まりました。ある種の伝説を作ったんですよ。

ーー炎天下対策のため、暖房を入れた状態でのリハーサルは語り草になっています。

川邊:ハロプロを学んだことで、経営者として自信を持ったことがあるんですよ。それは「どんな危機が訪れようとも、採用さえしっかりしていればなんとかなる」という真理。新垣さんの時代に鞘師里保さんや石田亜佑美さんを採用したからこそ、のちにフォーメーションダンスで世の中を盛り上げられたわけですしね。

ーーたしかに「ハロー!プロジェクト・キッズ」「ハロプロエッグ」「ハロプロ研修生」とプレイヤーの育成にハロプロは昔から力を入れていますね。

川邊:先日もスタートアップ系の企業経営者30人くらいと合宿していたのですが、そこでは「とにかく採用に力を入れたほうがいい」とハロプロの話を交えながら話しました。これは本当に僕自身がハロプロから学んだことでもありますから。採用をしっかりして、変化を起こせるリーダーを見出せばなんとかなる。繰り返しになりますが、企業もアイドルもそこはまったく同じなんです。

ーーハロプロのメンバーを見ていて、カリスマ経営者と共通点を感じたことはありますか?

川邊 アンジュルムを卒業した佐々木莉佳子さんが、ある媒体で質問に答えていたんです。その質問というのは「夢を叶える秘訣を教えてください」というもの。たしかに今の時代って「夢を実現させたいけど自信がない」「どんな夢を見ればいいのかもわからない」といった人も少なくないです。その質問に対する佐々木さんの回答がふるっていて、ただ一言、「夢を見ることです」と答えたんです。僕はその記事を読んで衝撃を受けました。というのも、本田宗一郎さんが言ったとされる「夢しか叶わない」という言葉と重なる部分があるんですよ。

ーー魂のレベルは本田宗一郎と同じですか!

川邊:佐々木さんは若いときから震災などで苦労もしたし、アイドルとして様々な経験をしてきました。そして23歳の今、たどり着いた境地は50歳の僕とほぼ一緒だなと感じるんです。こっちだってビジネス現場で相当いろんな経験を重ねてきたつもりなんですけれど……。

ーー存じ上げております(笑)。

川邊:正直に言うと、僕も若い頃は本田宗一郎さんの「夢しか叶わない」という言葉の意味がわからなかったんです。だけどいろんな経験を重ねていくことで、「そうか。夢を見ない限り、その夢は絶対に叶わないもんな」と腹に落ちるようになった。佐々木さんはその境地に23歳で達しているんですよ? ちょっとこれはすごいことだぞと震えました。

アンジュルム『大器晩成』 (ANGERME[A Late Bloomer]) (Promotion edit(New Ver.))

ーーさて、ここまで熱く語っていただきましたが、最後に川邊さんにとってハロプロとは何なのか、教えてください。

川邊:僕にとってハロプロは、“人生後半の生き甲斐”という感じがしますね。まさか自分が推し活するなんて想像もしていなかったですが、今はすごくいいものだなと実感しています。そして、なおかつビジネス的にも役に立っているわけですし。ハロプロに対しては、なによりも感謝の気持ちが大きいんですよ。27年にわたって作り上げてきたものを僕はひょんなことから知ることができて、本当に「ありがとうございます」という言葉しかない。正直、好きなだけであれば、X(旧Twitter)などで触れる必要はなかったんです。だけど僕はこのハロプロの世界観がずっと続き、少しでも新しい人に魅力が届けばいいなと思っています。宝塚歌劇だって100年以上続いているわけですからね。ハロプロも100年続くことを願って……いや、違いますね。100年続くことを、微力ながらお手伝いさせていただきたいです(笑)。





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最終更新日  2024年12月04日 05時30分30秒
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