サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.02.27
XML
カテゴリ: スポーツ
 このブログを始めたきっかけというのが、4年前のトリノで荒川静香さんが、金メダルを取ったときの印象がとても強烈で、何度もビデオを観ているうちに、内心に沸き起こってくる感動の質を、何かに書き記しておきたい、あるいはその詳細を今のうちに書いておかないと、永久に忘れてしまうかもしれない、というのが発端だったのでした。
 考えてみれば、この4年というのは早いような遅いような、今現在しゃべり続けている「源氏1000年」シリーズは、いつ果てることもない超低空飛行で、何だかものすごく前から始めたような気もするのですが、これはまだ1年とちょっとなのですね。

 ブログを初めてから、荒川さんとそれを取り巻くファンやマスコミの動向も、しばらく注意深く見ていたのですが、彼女が凛とした表情でプロ転向の記者会見をおこなって以来、私の内部でのフィギュアスケートへの関心は、一区切りして次第に薄れて行きました。一時あれほど詳細にジャンプやスピンやスパイラルの中味を知ろうとし、新採点方式の特色についてもさまざま調べたりしたのですが、結局のところこうした事柄を知るということは、コアなフィギュアファンであれば当然のことであっても、私のような一般的なレベルのファンというのは、時間が経てばどうしようもなく関心というのは薄れていくものです。
 白状しますと、その後一度だけ浅田真央さん他のスケートについて、ブログにUPしたことがあるのですが(女性なるもの14./2007年03月25日)、自分が薄々面白味を持ってしゃべっていないことが、書いていて分かってくるので、途中で話題を変えてしまった記憶があります。これは何も彼女たちをくさしたり貶めているわけじゃくて、むしろ面白味を感じていない自分が、事知り顔に突っ込んだフィギュアの話をするのは、相手に対して失礼でしょう。

 というわけで、たぶんフィギュアの話は二度としないだろう、するまい、とも思っていたのですが、今回はやはりこのブログを始めるきっかけを与えてくれた、という意味でも敬意と感謝を表して、簡単に触れておきたいと思います。多少金メダルが取れなかったのが、残念という気分は正直残しつつ … 。

 それにしてもキム・ヨナ選手の力は突出していて、おそらく当分誰も太刀打ちできない、それほどのレベルの高さでしたね。これはじつはトリノのときの荒川さんを思い出すので、下馬評では彼女は大技を決めればメダル争いに食い込んで来るだろう、と言われていたのが、FP前日の練習を見た海外メディアでは、彼女のいわゆる「鬼の形相」の練習振りを見て、ひょっとして来るんじゃないか?というような話が、ひそかに出ていたようです。それぐらい周囲を圧倒するオーラを発して、(たしか肩を脱臼しても)練習していたので、結果金だからではなく、4年に一度の世界一になるということは、かように近づき難い異次元のムードを漂わせるものでしょう。
 私はそうした別次元の強さのムードを、我が身に引き付けなければ、4年に一度の女神は舞い降りてこない、と思うのです。今回のキム・ヨナ選手には、明らかにそれがありました。スポーツ解説者は点数の詳細をあげつらい、一般の評論家諸氏は例によって、日本のスポーツ協会その他への退屈な批判を、繰り返していますが、真央選手も含めて日本人は、そのあたりは虚心坦懐に認めたほうが好い。氷上の女神をどうやって、手繰り寄せたのか、ということを、です。

 で、荒川さんの話に戻りますが、トリノでFPの勝負を決めるのは、おそらく3回転の2回連続を跳べるかどうかだろう、ということだったのですが、フタを開けてみれば、他のメダル候補が失敗したりして、急きょ3回転2回転に切り換えた、という経緯がありました。
 私はFP当日の荒川さんの、「氷上の女神が憑依」したような、異次元の美しさに圧倒されて、ブログではそっちばかり強調しすぎて、今でも赤面してしまいますが、アスリートの勝負とすれば、これはごく冷静な判断だったのです。あとであれこれ荒川さんの過去のスケートを調べていたところが、彼女が技術的にもっとも充実していたのは、ひょっとするとトリノのたしか2年前、ドルトムントの世界選手権の時で、今見ても冒頭の3回転3回転2回転の連続ジャンプから始まって、何度最高レベルのジャンプをことごとく決めている。当時はまだ古い相対評価の採点方式の時代で、第一滑走の荒川さんはおおいに不利だった(初めにあまり高得点をつけると、あとの選手の採点がしにくくなるので、点数が抑え気味になる)のですが、それでも優勝しましたね。
 というわけで、もともと彼女はどちらかと言えば、ジャンパーとしての評価が高かったのです。今見てもトリノの荒川さんがウソのように一皮も二皮もむけて、まったくリファインされた「トゥーランドット」を見せてくれたことは、前に何度も強調してきたので、繰り返しませんが、変身するとか、別次元のオーラを獲得する、とはそういうことでしょう。

 方法やアプローチはさまざまで、要は4年に一回の勝負で世界一を獲る、というためには、とことん我が身を別次元まで変身させる、周囲から見れば「女神が憑依した」ような、一種近づき難いオーラを発するまで、自己を磨き上げないと、ついに女神は舞い降りてこない。それをどうやって引き寄せるかは、それこそ千差万別で、これこそ専門家や本人たちが判断するしかない。マスコミやコアなファンなどは、さっそくコーチが悪いだの、協会のサポートがなってないなど、いろいろ賑やかですが、要はそれらはすべて結果論で、私は今回の浅田さん始め日本の女子フィギュアのアスリートは良くやったと思う。
 良くやったと言うのは、今現在の彼女たちのパフォーマンスとしては、オリンピックの本番で個別的に最高難度の技をこなし得た、という意味において、です。これさえ成し得ずに途中でコケるアスリートが、今回もこれまでも日本にも国外にもどれだけいたことか。

 ただし、それと何が何でも金メダルを獲る、というのは、まったく別次元の力というか、一種人智を超えた変身力が必要で、荒川さんはそれを彼女以外ではあり得ない方法で、引き寄せたのです。だから荒川さんがトリノの直前にコーチを換えたからと言って、なぜ浅田さんは換えなかった、といった議論はナンセンスなので、すべては本人及び周りの選択と判断の結果、それに対して結果から、あの時「ああしたら」「こうしたら」と、外野からモノを言うのは、まったく不毛な議論という気がして仕方がない。
 はてさて、ことほどさように一度めぐり来たった金メダルのチャンスというのは、「さあ四年後!」なんてお気楽な掛け声では、絶対に巡って来ません。スケート協会も本人たちも、そのあたりをとことん詰めて行って、原因や責任や対策を明らかにし、本当にやる気なら、今すぐにでも準備に入らねばならない。でないなら責任だけはハッキリさせなければならない、勝負とはそんなものでしょう。

 それにしても、フィギュアの世界、ついこの前まで日本も含めてアジアには縁遠いスポーツだったのに、今や韓国だの日本だのアジアを抜きにしては語れない。誰かが第一歩を踏み出す、ということが、その後のスポーツの世界勢力図をすっかり変えてしまう、というのを目の当りにすると、改めて荒川さんの第一歩というのが、いかに比較を絶した偉業であったか、ということを思い知らされますね。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.02.27 14:08:09
コメント(2) | コメントを書く
[スポーツ] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


はじめまして。  
ももだよ。  さん
こんにちは、はじめまして。

まさに私の思っていたことを文章にしていただけた思いで、とても腑に落ちるものがありました。
恥ずかしながら私はフィギュアについてはまったくの無知で、けれどもあの時のみなさんの演技を見ていて『キム・ヨナ』選手の完璧なまでに美しい演技に、金メダルは当然だと感じました。
けれども点数が高すぎるだの、やはり国の力が関係しているだのキム・ヨナ選手を批判する方の多さに胸が痛みました。
確かに点数は高すぎたかもしれませんが、あの演技は素晴らしかった。高難度のジャンプが無いのにあの点はおかしい。難易度では浅田選手の演技の方が上である。。。
などと言う方もいるけれど、やはり私はフィギュアは他の競技と違ってまずは完璧でないといけないと感じるのです。あの時の荒川さんのように。。。
何者かが乗り移ってしまったかのような荒川さん、キム・ヨナ選手のような演技が観れるかと思うと今から4年後が楽しみです。

ずっともやもやとしていたものがすっきりとした嬉しさで、稚拙な文章ではありますが足跡に残してしまいました。

失礼いたしました。

(2010.03.28 22:41:09)

Re:懇切なコメントをいただき、ありがとうございます  
ももだよ。さん
 ご返事が遅れてすいません!
 昨日の世界選手権では、浅田さんが金メダルということで、メディアはさっそくリベンジ!などと、喧しいのですが、彼女自身は多分ちっとも納得していないでしょう。それくらい四年に一度の勝負というのは、得がたいものなのだと思います(だって、この先四年間は誰もそれを取ることは出来ないのですから)。
 しかし浅田さんにも、空前の偉業が今回の大会では記されたことを忘れるわけにはいきません。男子でも難儀なトリプルアクセルを大会中に三回も完璧に跳んだというのは、ひょっとすると絶後の記録となるかも知れず、これは四年どころか永久に残る記録になるかもしれないのです。荒川さんがアジア人で最初の金メダリストという栄光を永遠に保持するように。
 などと考えながら、世の楽しみを味わっているのですが … (2010.03.29 11:41:20)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: