サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2010.12.25
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 「恐怖」心理というものが、生き物一般の振るまいに、どういった影響を与えているのか?この手の話は「動物行動心理学」のように専門書的に難しく考えるよりも、普段周囲で接することの出来る動物や植物などの振るまいを観察していれば、ある程度想像できるよすがになるのではないか、と思っています。

 ここからは、またしても私の妄想です。
 おそらくこれは、外部あるいは異物を検知する一つの仕方として、生き物(あるいは、生きるという行為)そのものにもともとビルトインされている必要不可欠なセンサー機能が、人間とたぶん動物の一部にあっては、「恐怖」心理という形で特異的に現れているのではないか?ということなのです。早い話、植物や微生物などであれば、外部からの刺激は「恐怖」というかたちでは受容されていないでしょう(たぶん)。
 もし、外部刺激によって観察される植物や微生物の振るまい ― 例えば「逃げる」「追いかける」「捕食する」「同化する」といった ― に「恐怖」の痕跡を認めるとすれば、彼らには我々と同様の「心理」が宿っていることになってしまいます。普通常識的には、これらを植物や微生物の「恐怖」心理から出たものとは誰も言わないでしょう。

 とはいえ、我々はそこに「化学反応」とか「作用・反作用」といった自然のたんなる物理現象とは、明らかに異なる一種の完結した「意志」を見とめるわけで、それは例によって福岡伸一さんふうに表現するなら、

 ― 外部からの絶え間ないエントロピー拡散の圧力に抗って、皮膜に覆われた個体の内部秩序を維持しようとする「意志」 ―

とでも言うべきものを、そこに感じ取らないわけにはいきません。
 そうした時の植物や微生物の振るまいに、あるいは「痛み」だの「喜び」だの「恐怖」の表象を見とめるのは、(たぶん)観察している側の心理がそうさせているのであって、人によってはそこに「愛」を感じる場合もあるでしょう(盆栽愛好家を見てごらんなさい。彼らは明らかに植物の「痛み」を感じつつ、剪定しているのです)。
 しかし対する動植物が、そのとき実際にどう感じているか、というのは結局のところ誰にも分かりません。動植物という異物(外部)の受容の仕方として、そういうふうに観察している側が、自身を納得させているに過ぎないのです。

 で、じつは同じことは人同士のあいだでも、程度の差はあってもよくあることなので、厳密に詰めていくなら結局、皮膜に覆われた個体として、外部を隔てて個体秩序を維持している私には、外部あるいは他者というのが、実際にはそれら(彼ら)が本当はどう感じているのか、ということは永遠に分からないというか、完全にそれら(彼ら)と同一化出来るということは絶対あり得ない、ということを納得せざるを得ないことになります。
 つまり「生き物」というのを、もし個体秩序維持という「意志」を持っていることで以って「生き物」と規定するのであれば、まさにそのことによって「生き物」は、個体毎でこの世界に各々「バラ撒かれて在る」ということになるのです。
 はたして、そんな理解の仕方で好いのか(ヤッパリちょっと、寂し過ぎるんじゃないか)?

 じつを言うと、その個体の秩序維持には、外部(異物)の受容というのが必要不可欠であることは、少し考えてみればすぐ分かることです。
 早い話、生き物は外部から異物を受容することによってのみ、生き長らえることが出来ているわけで、秩序維持機能(ホメオスタシス)によって、その身体を外部とは厳密に区別しながらも、呼吸や食物という形での異物の摂取なくして、それを維持することが出来ないことぐらい誰でも知っている。さらにいうと、セックスという他者(外部)との交合があって、はじめて我が種の子孫を残している(個体を超えた「生き物」という秩序を維持している)、ということなのです。
 ここには「生き物」という存在の仕方そのものに、本来的な矛盾が内包されている、と言っていいのかもしれません。

― つづく ―





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Last updated  2010.12.25 15:30:46
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ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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