サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.02.18
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カテゴリ: カーネーション
「裸眼の心」と、異物(他者)の検知力
 ― 「言うてる中味はぜんぜん分らへんけど、その人たち同士で意味が通じてるいうことは分かる。それと中味が分からへんでも、それが本気なもんかどうかは、何となくウチには分かるんや」 ―

 若者たちの語る「夢」や「作品」を前にして、糸子は「その中味は、まるきり理解出来ない」けれども、それが自分の美学や価値観とは違った、別の「明示性」を放っている、ということは分かる。そして肝心なのは、内容が理解出来なくても、それが「本気なものかどうか」という、若者(他者)たちの「構え」だけは、ハッキリ分かる感性を持っているというのです。
 それを糸子は「外国語みたいなもんやね」と、いつもながら卓抜な例えで語っていますね。

 その意味するところは、異物(他者)はまさしくその異物(他者)性であるによって、「理解不能」なものとして目の前に在るけれども、私はその真贋を「見極める仕方は、知っている」ということなのでしょう。これは人生のすべての局面で、彼女が外部との対し方において、「王様が裸であることを指摘した子ども」のような「裸眼の心」を、常に示してきた結果出来ることなのです。
 もともと「先入観」を抱かない気質だったというより、内心に沸き上がる先入観を「いったん、棚に上げる」あるいは「カッコに入れて」相手(他者・異物)と対してみるという「構え」は、やはり彼女のこれまでの人生経験から来たものでしょう。「信じるに価するものか否か」は、結局「我が身をサラで、取りあえずそこに差し出して」判断するのが、一番確かで間違いが少ない。否、仮に間違ったとしても、そういう仕方での間違いなら、「自ら引き受けることが出来る」ということなのでしょう。

 そのあたりの経緯は、これまでのさまざまなエピソードで語られて来たことでした。とは言え、その継起となったものが何だったのか?ということは、やはり気になりますね。
 ということで、またまた父善作の指し示していたものが、問題になって来るのです。先日、はなはだ晦渋な物言いで触れた「父性」性の話なのです。

 繰り返しになりますが、― 「同じような仕方では、聞いてはいけない」事柄の聞きかた(対し方)というのは、要は「自力で、体得する」しかなく、そしてそれは「絶対、他人から教わることが出来ない」境域のもの…で、「父性」性とは、このまさしく「自力で、体得する仕方」に子どもを導く(つまり、大人にする)、その在りようそのものを指す ―
といった内容でした(スルーしてもらって、いいですよ)。
 糸子は物事への「対し方」だけを、父善作から文字通り「叩き込まれた」のであり、中味の方はすべて「自力で調達」して来た、ということなのです。

 今回のエピソードで面白いのは、いつでも自分をいったん棚に上げて、素の状態で相手(他者・異物)と対している糸子が、もともと異物(他者)に対して、余計な「畏れ」を抱かなかったのに加えて、むしろ「身を差し出してしまう」ことによって相手(他者・異物)から、「新たな面白味を、見出せる(かもしれない)」ということに気付いた、ということでしょう。じつはこの時点で彼女は、空を舞うトンビ(若者)よりも、天高い地点に身を置いているのです。
 ややもすれば、自身が築いた価値観に「権威的」にしがみつきがちになる歳でありながら、あえて自身を「素に置く」ことによって、世の中に新たな「面白味」を見出す。実在の綾子さんが、九十歳を越えて「私は、まだ子どもです」と言って憚らなかったのは、そうした一種の「擬態」を取れば、「世の中が、面白くて仕方がない」ということを知っていたからでしょう。
 まあ、これを「茶番や!茶番!」というのは、ちょっと言い過ぎだとしても。

― つづく ―





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Last updated  2012.02.18 11:07:36
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ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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