サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.03.28
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カテゴリ: カーネーション
ナツキ糸子、ということ
 で、目下私の興味の中心は、「女性語」だの「泉州語」だのといった、わけの分からない命名で、右往左往している「発語」のことなのです。平たく言えば、それらをすでに「既知の日本語」と、一括りにしてしまうのではなく、それぞれを一種の「外国語」として捉え直したらどうなるか?というようなことなのでした。
 私たちがナツキ糸子に、どうしようもなく感じてしまう「異和」というものが、どういう仕方で立ち上がって来るのかを、そういう視点にまで戻して観てみれば、多少は「面白味」のある話が出来るのではないか、ということなのです。

 世間(ということは、NETの感想欄のことですが、今日など新聞にも批判めいた記事が出ていましたね)では、ナツキ糸子に対する怨嗟の声が溢れていますが、時にそれが極めてエスニックな狭量主義に陥っている、としか思えない書き込み(ほとんどが、そうです)になっている。話をエスニックな「排除の論理」ではじめたら、そこからは何らポジな話題は展開出来ません。
 私はじつは、二週目以降の夏木マリさんの糸子については、かなり評価しているのです。ただたんに「泉州弁」を何とかこなしている、といった努力あるいは熱演ぶりに感心したといったことではなく、夏木さんの身体から発せられる「コトバ」として、伝わるものが確かにある、ということなのです。

 「そんなこと、ないやろ。尾野真千子さんが最終週にかけて醸し出していた、糸子像のえも言われぬ『貫禄』とか『空気感』なんて、ナツキ糸子からは、ここから先も感じられへんで」といった声がすぐ返って来そうですが、一人の女優が作り上げた「糸子像」を、金科玉条のように押し立てて、「そのまま踏襲しろ」というのは、酷というものです。
 目指すところが、小篠綾子さんではなく、オノマチ糸子でもない、「虚構」である小原糸子だけに相対して、夏木さん自身の身体で造形して行く、ということであれば、それはそれで姿勢としては間違っていない。観ている側が困るのは、演技者の役への対し方が、綾子さんになったり、オノマチ糸子になったりとブレる時でしょう。残念ながら、それは今でも若干見受けられるのですが、それについては、たんに役者だけの問題ではなく、作り手側すべてにかかって来る問題なので、全部済んでから改めて触れることにします。

 といった意味で、ナツキ糸子が「身体化」したのは、第二週あたりからで、特に先週の病院編では(演出に関しては、散々批判しましたが)、総婦長や末期がん患者とのやりとりなど、大変な好演と言って好いんじゃないかしらん。確かに「糸子の声が、聞える(私だけかも、しれませんが)」のです。
 ただし、それでも立ち上がる「異和」だけは、「これは、どうしようもないじゃない。入りたくても入れない。イヤなものはイヤ!」と、迫られてしまっては、私も「すいません」と言うしかないのですが、やっぱりそれではモッタイナイ。

 ということで、またもやその「異和」の何たるか?を探ることになります。
 しかしその話は簡単で、皆さんの感じられているとおり、その場に漂っている、どうしようもない「空気感の違い」といったものに他ならない。これは「泉州弁」の上手い下手ではなく、演技上の問題でもない。要は夏木さんが糸子を身体化すればするほど、「異和」がむしろ前景化するというパラドックスがあるのだと思う。平たく言えば、ナツキ糸子が咆えれば咆えるほど、泉州の肝っ玉お母チャンではなく、江戸っ子のキップの好いおっ母ァが顔を出す、という仕儀になるのです。弱ってしまいますね。

 これを解消しようとすれば、一部書き込みにもあったようですが、夏木さんではなく三林京子さんだったなら、相当緩和されただろうという話に当然なって来ますね。貫禄も演技の実力も充分、そして泉州の空気感も過不足なく出し切られたに違いない。ではなぜあえてそうしなかったのか(一応ここでは、様々な「大人の事情」は閑却するとして)?ということについては、前に「普遍化と平準化」というところでだいぶ話しました。
 製作側はあえて関西の役者でなく、関東の人を選ぶことで、「より普遍化された糸子像」を狙ったのだろうということです。で、それが大変な困難を、抱え込むことになるということも、これまた前に言いましたが、その卑近な例が上に見たようなパラドックスなのでしょう。

― つづく ―





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Last updated  2012.03.28 11:48:42
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ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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