ちょっと休憩
1
先日、私なりの「宝塚歌劇」への愛情をかきました(7月25日の日記)。その続きです。part1でいただきましたコメントの中に、「出待ち」に驚いたという声がありました。今日は、その辺のお話から。東京・日比谷にある宝塚劇場は、帝国ホテルや帝劇、映画館、日比谷シャンテ……などに囲まれた都会の1等地にあります。よって、宝塚公演が終わったあとに出待ちしているファンの姿が、多くの道行く人々に目撃されています。私も若かりし頃(20代前半)に日比谷に飲みに来て、「出待ち」に遭遇して驚いたことがありました。スターを待つ人々が静かに整然と並んでいます。そして、お目当てのスターが出てきても、誰一人騒がないのです。そして最前列に並んでいるファンたちが次々にスターに手紙などを渡し、スターもそれを受け取る。そのやりとりは実に静かなものです。「どうぞ」「ありがとう」てなくらい。そして、スターは付き人を従えて、去っていきます(たぶんホテルに)。メインのスター達が全員出てくるまでは、例え自分のお目当ての人が去った後でも、列を崩しません。そうして、スター達がほぼ去ったあと、静かにファンたちは解散していくのです。この礼儀正しさは何なんだ~!?その様子は、10年以上経った今も変わりません。変わったことといえば、私自身がその列に加わるようになったこと、ですかね。ただ、自分もそれに加わることによって、もっと詳細が見えてきました。まあ、私はファン歴の浅い新参者だし、誰か1人に強烈にのめり込む状態にはなっていないので、特定のスターのファンクラブには入っていません。よって、出待ちするのもたまたま観に行った公演が午後公演で、「出待ち」できるチャンスに遭遇した時だけです。ちなみに、これまでの数少ない出待ち体験は3回です。で、詳細。公演が終わって、のんびり外に出てくると、すでに「出待ち」の方々の場所とりが始まっています。スターが歩くのは車道(車は通行止めになってます)で、それを挟む歩道にファンたちが並ぶのです。その中で、ファンクラブの人とそうでない人と、見分ける方法は以下の通り。ファンクラブの人々は、1、集団で固まっている。2、みんな同じ色のものを身につけている。3、カメラを手に持っていない。2の同じ色のもの、というのはそのファンクラブごとに違っていて、そのカラーアイテムで誰のファンクラブか判別できるのです。冬は大体マフラーであることが多かったです。春は薄手のジャケットやパーカーなど。夏はシャツ。みんな、私服の上にそれらのものを重ねています。ちょっと夏場は暑苦しく見えなくもないです。そして、3ですが、出待ちシーンでパシャパシャ写真を撮っているのは、非ファンクラブのファンのみ。きっと、ファンクラブの方々は、スターとファンの集いみたいなところで、ツーショットだって撮るのも可能でしょうから、そんながっついたことはしません。で、ファンクラブの方々の特権なのか、慣例なのか、その辺はわかりませんが、彼女達(ごくまれに男性もいる)は歩道の最前列と2列目(人数が多い時は3列目も)を確保します。非ファンクラブのファンは、その後ろに並ぶことになります。ここで、どの団体の後ろに並ぶかが重要となります。何故なら、スターの方々は、通用口から出てすぐに自分のファンクラブの団体の前に立ち寄るのです。つまり、お目当てのスターがいるなら、彼女達の後ろに控えていれば、間近で長くスターを拝顔することができるのです。それもファンクラブの人たちは、しゃがんでスターを待つので、前の人の頭が邪魔になることがありません。(私達は、しゃがむ必要なし)しかし、哀しいかな、私と妹はまだファンクラブのカラーアイテムだけでは、誰々のファンクラブか判別できません。よって、ファンクラブの人数やほかの持ち物を注意深く観察して、立ち位置を決めています。時には、決めかねて、あっちフラフラ、こっちフラフラすることも。しかしそういう時に限って、移動したことでお目当てのファンクラブを外すんですよね~。ジャニーズのファンたちみたいに、1人1人の名前の書いた団扇でも持っていてくれるとわかり易くていいんですけど。もしくはオタクのように、スターの名前入り鉢巻を巻くとか、名前入りハッピを着るとか……。時々、カラーアイテムをじっくり見ると、小さくスターの名前がアルファベットで刺繍されているものもありますが、まあ品のいい宝塚ファンたちの限度はそこまでということでしょうか。それから、ファンクラブごとのファン層の違いというのはあまり見受けられません。一様に、おとなしい感じの清楚系(地味目という説も)が多いかな。それから、やっぱり若い人が圧倒的に多いです。そして、ようやく通用口が開き、パラパラと役者さん達が出てきます。まだファンクラブを持たない若手男役の研究生(宝塚の役者を一般にそう呼びます)や娘役の方々は、通用口から見て左方向でファン達が立っている方とは逆、つまり帝劇方面に去っていきます。そして自分のファンクラブを持つスターさんは、右に曲がってファンクラブに顔を出します。右に曲がるスターが出てくれば、全ファンクラブの人たちは一斉にその場にしゃがみます。ファンクラブの人たちが手紙を渡し、それをスターが受け取る間、後列の非ファンクラブのファンは彼女の写真をとったりしてます。私の場合は目にしっかり焼きつけておこうと、熟視してます。その間、ほぼ無言の時が流れます。おかげで、スターの「ありがとう」の声がこちらまで届くわけです。おおっ、スターの肉声!そして、彼女が去っていけば、あとは車道を歩くほかのスターをちょっとでも見ようと首を伸ばして待つばかり。スターの私服チェックなどして楽しみます。「出待ち」が終われば、ファンクラブの人々は輪になり、次の入り待ち・出待ちの短い打ち合わせが始めます。人に聞いた話ですが、入り待ち・出待ちに参加するというのは、ファンクラブの一員として使命であり、その貢献度が重要視されるとか……。チケットの席の割り当てなどにも響くのでしょうか。そして、彼女達はその場を撤収します。カラーアイテムも外し、バッグの中へ。さすがに家から着けてくるものではないのですね。そして、残された私(と妹)も帰途につきます。「やー、おもしろかったね」と言いながら。私達にとって、出待ちは、スターを見るだけじゃなくて、ファンの人達(特にファンクラブ)をも観察する楽しいひとときです。結構立ち通しで、疲れるのですけどね。しかし……。こんなに詳しく書いて、誰が興味を覚えるというのでしょうか。そもそも宝塚に関心のない人ならどうでもいいことだろうし、興味のある人ならなんら珍しいことでもないことだろうし……。そう考えたら、なんだか徒労感が襲ってきました。
2005年07月29日
閲覧総数 512