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もう5月も下旬になろうかというのに、先月読んだ本についてのまとめパート2。
「宵山万華鏡」 著者:森見 登美彦
祇園祭前夜の宵山。
まさに万華鏡のような宵山の一夜を描いた連作集。
万華鏡を少し傾けるとがらりと世界が変わるような、そんな感覚が全編にわたって味わえます。
同じ舞台を描いていて登場人物はそれぞれにリンクしているのに、光の当たり方が違い、時におバカなお祭り騒ぎが一転、幻想ホラーチックに変わる森見さんの筆力に改めて感服。
読了日:04月16日
「ひなた弁当」 著者:山本 甲士
リストラされた50男の再起を描いた小説。
さえないおじさんだった主人公が、自分自身が興味をもったことを追求して、それが生きる手段となっていく中盤から、急に物語は「楽しく」なってきます。
そして、誰かを蹴落としたりせずに自分自身を生かす道を歩めるという幸福に気持ちが温かくなりました。
読了日:04月16日
「図説 江戸っ子と行く浮世絵散歩道 」
江戸の古地図と、現代東京の地図、そしてその風景を描いた浮世絵が見開きページにまとめて掲載されていて、まさに「江戸散歩」が楽しめます。気分はちょっと「タモリ倶楽部」か。
読了日:04月18日
「学問」 著者:山田 詠美
「学問」といっても、フトミ(ひとみの愛称)を中心とした少年少女たちのイタ・セクスアリス。
章の冒頭に添付される形の登場人物の死亡記事が、彼らのその後の人生をいろいろ想像させる効果を生んでいて、小説世界がページ数以上の広がりを見せます。フトミとテンちゃん、一言で定義できない関係性に、甘酸っぱいような切ないような記憶を呼び覚まされたような……。
読了日:04月19日
嵐の晩に大学構内で起きた殺人事件をめぐるミステリー。
登場人物がわりに多いので、場面転換が多くてちょっと落ち着かなく、映像化するとわかりやすくて、おもしろくなりそうな感じです。
殺人事件がおきたわりには、なんとなくのんきで間が抜けた感が全体に漂っている小説なんですけど(そういうのは結構好きですが)、ならばいっそのこと、もっと徹底的に喜劇的に描かれてもいいかもしれないなあと思いました。
読了日:04月20日
「狸汁 銀次と町子の人情艶話」 著者:柴田 哲孝
麻布の小料理屋さんを舞台にした「料理小説」。
女将さんの貞淑だか奔放だかわからない性格が新鮮でした。
イメージはなんとなく鈴木京香かな?
印象としては50代以上のおじさま向け小説といった感じです。
読了日:04月21日
「三谷幸喜のありふれた生活7 ザ・マジックイヤー」 著者:三谷 幸喜
三谷幸喜の朝日新聞連載エッセーの7冊目。
彼のシャイで人見知りで出たがりでキャラクターがここでも楽しめます。
読了日:04月22日
「鶴屋南北の恋」 著者:領家 高子
「四谷怪談」で知られる鶴屋南北の晩年が題材の小説。
芝居の世界にどっぷり浸かる南北、重兵衛親子、そして元芸者の鶴次の三角関係、その他の登場人物によるサイドストーリーも含めて、1本の世話物を観た気分になります。
余計な説明を省いた文章もその小説世界にふさわしく、江戸世界を堪能しました。
読了日:04月26日
「時が滲む朝」 著者:楊 逸
天安門事件を背景に、一人の中国人青年の青春を描いた芥川賞作品。
当事者になりきれなかった「青春のもどかしさ」が描かれています。
さらりと読めるけど、さらりと読んだあとに考えさせられました。
読了日:04月27日
以上です。