川柳や落語に親しんでいると面白い発想ができるようになります。今日は川柳の命 うがち について少し触れてみましょう。
これは、穿った見方をすればなどという時の「穿つ」から来た言葉です。元は「穴を開ける」という意味ですが、そこから転じて、「 物事や人情の隠れた真の姿に、たくみに触れる 」というような意味合いで使われます。
川柳は 人間(自然)観察 と 奇抜な想像(洞察) を抜きにしては成り立たない文芸と言っても過言ではないでしょう。そこから、普通の人なら考えもしないようなユニークでユーモラスな発想や表現が出てきます。とは言っても肝心なことが一つあります。それは、 言われてみると確かにそうだ、そうに違いないと思わせるだけの説得力をもっていなければならない ということです 。
うがちには 観察から出てくる軽いものから、想像力を駆使した重いものまで 千差万別あります(以前紹介した 車胤 のは後者です)。今回は後者の例として、 菅原道真公 をテーマにしたものを2句紹介しましょう。
★ 悪筆がよつて筑紫へやるくめん
道真公は弘法大師、小野道風とともに 三聖 と称せられる能筆家。政敵道真を筑紫へ左遷しようと謀ったのは 藤原時平 。道真が相手なら、周囲の者は誰だって悪筆にされてしまうというわけ。そういう連中が寄ってたかって、道真を都から遠ざける工面を施している図ですね。
道真公をまったく句の表面に出さず、筑紫という配流地と悪筆という対照的な言葉だけで、当時の陰謀事件の裏を垣間見させる手際のよさ。
★ 晴天になりそこに時ここに平
道真公が筑紫で憤死すると、その亡魂が宮中に戻り雷電となって仕返しをしたという逸話を元に、川柳子がうがち精神を発揮してこしらえたブラックな作。時平の体は落雷を受け、真っ二つになっただろうというのを名前を分解して表したのですね。もっと強烈なのもあります。 くわらりつと晴れて時平をとりあつめ 。初五は「カラリっと」と読みます。
気分が悪くなった方、ごめんなさいね。道真公の御霊(みたま)を鎮めねばというので、天神様として祀ったのが言わずと知れた 天満宮 です。
さて前回の答です。
無機質なメールの文字は冷たくて君の( )が懐かしくなる
( )に入る言葉 は くせ字 でした。たくさんのご応募ありがとうございました。
問題7 次の短歌の空欄に入る言葉を答えて下さい。
君のため空白なりし手帳にも予定を入れぬ( )書きで 俵万智
ヒント:文語の助動詞が出てきますのでその部分だけ訳しておきます。空白なりしは空白であった、入れぬは入れた。パズルですから、俵万智さんの歌集をひも解いてはだめですよ(笑)
答はメールでお願いします。
オノマトペ & パズル 5 2006年09月11日 コメント(4)
きりぎりす & パズル 4 2006年09月04日 コメント(4)
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