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事件です
2004年01月05日
半分告知
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今日から、パパは出勤。と言っても、今日はスーツを着込み、賀詞交換会とやらで、挨拶回りらしい。
朝早く起きて、8時過ぎにまた、眠くなった。少しウトウトする。
10時過ぎ、
「あ、そうだ、クリーニング」と気づき、慌てて暮れに出せなかった娘の制服など車に詰め込んで出かけようとしたら、
またまた、車が全く動かない。
もう、本当にバッテリーがだめになったようだ。
仕方がないのでまたJAFのお世話になることになった。
そこにTEL。
「Iちゃん、お父さんが大変」「どうした?」
「もう、体がどうにもだるくて、じっとしていられないから、病院に連れて行けって言ってるの」
しかし、私の車は動かないし、JAFを呼んだばかりで動けない。
仕方が無いので近くの掛かりつけの医者に電話するよう言い電話を切った。
電話口の向こうから、父のうめく声と、苦しさから母を怒鳴る声がした。
暗澹たる思いになり、父の家まで、走って見に行こうかとも思ったが、医者の方が適切な指示をしてくれるだろうと、待った。
JAFが来てくれ丁度車にバッテリーの充電をしてもらっていたら救急車のサイレンの音。
何処かなあと思っていたら、娘が駐車場に降りてきて
「今の救急車、おじいちゃんちだった」と電話を手渡された。
「Iちゃん、お父さん、救急車にきてもらって今、搬送されるところたから」
「解った。車が動いたらすぐ行くから」
想像が出来た。
顔をしかめ、顔面蒼白の父が、自分では体を持て余し、母に当たっている図。
そして、どうして良いのか解らず、おろおろして腹を立てパニクッている母。
JAFに事情を話して、何とか今日一日大丈夫なように対処してもらった。
すぐに病院に行った。
ERへの階段を上ってそのままERの方に駆け出そうとしたら、ベンチに父の姿。
熱は無いが、血液検査で白血球が1600しかなく、点滴をしてもらったそう。
熱が無いのでそのまま帰宅して良いと言われたが一向にだるさは改善されなく、
ただただ、だるい・・と恐ろしく機嫌が悪い。
その上、母が会計に行ったまま帰って来ないとお冠だ。
そんなに母が頼りなら、もっと優しくすれば良いのにと思うのだが、
なかなかそこは、50年連れ添っても至難の業らしい。
母を探して来いと言われ、はいはいと素直に階段を降り始めたら、
顔見知りの病院内の喫茶店の女性が母を伴って上がって来るのに出くわした。
母は母で、会計に時間が掛かって仕方ないのに、どうして待てないのかと怒っているし、
喫茶店の女性は女性で父に呼び止められその切迫した表情に、ご好意で母を捜してきてくれたわけだし、
誰も悪くないのに、もう、本当に人の気持ちはこうも行き違うのかと情けなくなる。
まあまあ、と二人をなだめ、喫茶店の女性に恐縮してお礼を言い、
二人を伴って下に降り、車を回し乗せた。
父も長引くこの症状に、いささか参っているようだ。
このまま何も言わず、父にただただ、感染に気をつけろと言い続けるのも限界かもしれない。
車の中でも、声を荒げて母に文句を言う父を見て、もう、黙っているのは酷だと思った。
「お父さんさあ、お父さんの病気は難病だって言ったでしょう」
「ああ、解ってるよ、だから、お前達の言うとおりにやってきたじゃないか」
「うん、でもさ~、お父さんが考えてるように簡単に直る病気じゃないんだよね」
「どう言う事だ」
「あのね~、お父さんの病気は10万人に一人の難病なんだよ。だから、あの病院じゃなかなか対処できないの」
「・・・・・・・。」
「あのね~、お父さん大当たりしちゃったんだよ。だから、年末ジャンボも、きっと大当たりするよって言ったら、
本当に一万円当たったじゃない。」
「10万人に一人なのか?」
「そう、だからね、大当たりしちゃったのよ。」
「何が原因だ?」
「それ解ったら、難病じゃないでしょうが。それ解ったら、とうに治ってるでしょう。解らないから、今、お父さん苦しんでるんじゃん」
そこまで言うのが精一杯だった。
父とは、本当に仲の良い親子だ。私は自他共に認めるファザコンだし、父も、30近くまで嫁に出したがらず、
連れてくるボーイフレンド、恋人にことごとく文句を言い、パパとも一戦を交え、やっと結婚できた人だ。
だから、父はパパには一目も二目も置いている。
文章にするとこんなふざけた表現になってしまうが、私も父もこの時は精一杯の会話だった。
病院から家まで、たかだか15分ほど、ここで一旦、会話は終わった。
帰宅後落ち着きを取り戻した父が聞いてきた。
「10万人に一人だって?ここに病名を書いてくれ」
私は、ちょっと戸惑ったが、メモに「骨髄異型性症候群」と書いた。
これでパソコンで検索されすべて知ってしまっても仕方ないと腹をくくった。
「あのね、今、色々調べて、NのN病院や、第二Nとか専門の病院にセカンドオピニオンを頼もうと思ってるし、
そのためにお母さんを住まわせるウィークリーマンションも探してる所なんだよ」
「そんな難しい病気なら、俺は只死ぬのを待ってるしかないんじゃないのか」
一番恐い質問だった。
これが一番、してほしくない質問だった。
「あのね~、いい加減にしてよ。誰も諦めちゃいないんだよ。助かった人だって、たっくさんいるんだよ。何弱気になってるの!!
今はねぇ、体力を温存して、出来る限りの感染を予防しなくちゃならないの」
「・・・。」
「だから、早く治そうとして散歩したりしないで欲しいの。体力をつけるため、美味しいものを沢山食べて、頑張ってよ。内蔵は何処も悪く無いんだから」
無菌室の事、移植の事、色々話した。
やっと、納得してくれた。
しかし、話すのはここまでだった。
ADHDの混乱した頭で、精一杯話した。
疲れた。
帰宅後、パパと話した。「良くやった」と久しぶりに褒めてもらった。当たり前だ。自分の父親だもの。
でも、これからが、また、大変なんだろうなあと、つくづく思い知らされた一日だった。
私、ちゃんと立っていれるかしら・・・。
大丈夫、家族がいるじゃないか。
頑張ろう・・。
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最終更新日 2004年01月10日 02時29分21秒
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