2008年03月20日
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朝、ホテルを出て、
駅の近くのファーストフードのお店に入った。
空は、今にも泣き出しそうな雲行き。
折角、東京にいるのに、
自分の生まれて育った街にいるのに、
ちっとも楽しくないし、
ちっとも、嬉しくなかった。

パパが、席を立って、いなくなった時、
ふいに、せつなくなった。
どうしてこうなっちゃったのかなあ。
心臓に欠陥をもった弟が生まれてから、私の気持ちは、傷ついてばかりだった。
母は、弟につきっきりだったし、7歳だった私は、
寂しさを口にすることも憚られる家の雰囲気の中、
さみしくても、辛くても親の前では泣かない子になった。
弟のすることはすべて正しくて、私が正しいことはなかった。
親に愛されてない・・・と思い込み、切なさに、さみしさに、トイレやお風呂で人知れず泣いた。
弟がうまれてから、7歳まで可愛がってもらったのに、母から抱きしめられることは、二度となかった。
時間は何があっても、弟中心で回り、両親は心臓の悪い弟にただただ一生懸命だった。
それでも、姉として、弟が可愛かった。
高校の体育祭に親に連れて来られ、私を応援してくれた声は忘れられない。

ふいに、涙が出てきた。
どうしようもなく悲しくて、嗚咽した。
戻ってきたパパが、言った。
「泣くな、しょうがないだろう」
「・・かわいかったのになあ・・」
言ったら、また、泣いた。
お店の中は、静かで、ガラスの向こうの道にも、
誰も、通り過ぎる人はいなかった。
どうして、こんな事になっちゃったんだろう。
母は、70歳を過ぎた今も、自分を責め続けている。
40歳を過ぎた男なんだから、もう、お母さんのせいじゃないよ・・といくら言っても。

そのまま東京駅に行き、子供たちにお土産だけ買って、
午後一番の新幹線で帰宅。
そのまま、着替えて気がついたら寝てしまっていた。

だが、その間にまた、事件が起きていた。
混乱した母が、勝手な行動に出て、
この二日間のパパとの苦労が水の泡になったのだ。
母から電話が入り、流石のパパも怒った。
何のために上京したのかわからなくなった。
私も、「もう、嫌だ」と思い、母にとうとう、長年の思いを泣きながら怒って吐露した。
母も電話の向こうで泣きながら「ごめんなさい、ごめんなさい」と言うばかり。

あ~、親を泣かしてしまいました。
生まれて初めて、泣かしてしまいました。
自分が小さい小さい人間に思った。
ただただ、情けなかった。
歳老いた親を泣かしてどうするんだよ!
自分で自分に腹を立てた。

オネエが帰宅。
スーツを着ている。
あれ?もしかして今日、卒業式だった?
「うん、そうだよ」

胸がキューンとした。
弟のことがなかったら、今朝、ちゃんと送り出してやれたのに。
18年の学生生活の最後のピリオドの朝、
ちゃんと送り出してやれなかった事が、
残念で仕方がなかった。
そういえば、着物を着たいって言っていたはず。
「ううん、今日、雨だったから、辞めた」
そう、でも、送り出してやれなくて、ごめんね。

オネエが、青い表紙の立派な卒業証書を差し出して、
「お父さん、お母さん、ありがとうございました」と頭を下げた。
しぼんでいた心が、暖かくなった。
ああ、今日18年の学生だった時間が終わったんだなあ・・・と、
ものすごく、嬉しかった。
一丁上がり~って感じです。
オネエ、おめでとう。
「まだ、ちゃんとカウンセラーにはなっていないから、暫くよろしくです」
という言葉も添えられた。
お安い御用です。

夜、今後のことを話し合いに母のところに行き、
一応の東京での話をした。
母も知らないことが沢山あって、驚いていたし、嘆いてもいた。
これから、パパと二人で、この人を支えていかなくちゃなあ・・と
改めて、肝に銘じた。
これから、まだまだ、先は長いから。

頑張ろうね、パパ。
そして、ありがとう。





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最終更新日  2008年03月25日 02時58分42秒
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