山本浩司の雑談室3

山本浩司の雑談室3

2020.10.14
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さてさて、前回の続きです。

根抵当権の債務者の住所変更の登記においては、変更後の事項として債務者の住所氏名がセットで登記事項となります。

このことは、根抵当権においては、債務者の表示(住所氏名のこと)の一部にでも変更があれば、その全体が登記記録において書き直しになることを意味し、その変更ごとにセットで登記しなおすべしとの思想を推認させます。

その思想の根底は何か。
もちろん、その時代時代における債務者の表示を、その都度、登記記録において明確にすることです。
分かりやすく言えば、変更の履歴を登記簿に載せるということです。

そうすると、昨日指摘した点、すなわち、名古屋では、根抵当権の債務者の氏名と住所の変更は一括申請できるが、住所の二回の変更は一括申請できない理由が判明します。

変更前の根抵当権の登記記録を以下の通りとしましょう。

1 根抵当権設定 受付第何号 債務者 A市A町1番地
                   甲野太郎

まず、氏名と住所の一括申請をした場合、登記記録は次のようになります。

1 根抵当権設定    受付第何号  債務者 A市A町1番地
甲野太郎
付1 1番根抵当権変更 受付第何号 原因 令和2年9月1日氏名変更
                     令和3年9月1日住所移転
                  債務者 B市B町1番地
                      乙野太郎

この場合、根抵当権の債務者の表示の変更の履歴は登記記録上、明らかです。

1 設定当初~令和2年8月31日    債務者 A市A町1番地 甲野太郎
2、令和2年9月1日~令和3年8月31日 債務者 A市A町1番地 乙野太郎
3、令和3年9月1日~         債務者 B市B町1番地 乙野太郎

このように、各時代において、債務者が誰であったか、明確にわかります。
このため、便宜の一括申請が認められるものと思われます。

次に、債務者甲野太郎の住所が二回移転したとしましょう。
令和2年9月1日 B市B町1番地に移転
令和3年9月1日 C市C町1番地に移転

この場合に住所移転の登記を一括申請すると登記記録はこうなります。

1 根抵当権設定    受付第何号  債務者 A市A町1番地
甲野太郎
付1 1番根抵当権変更 受付第何号 原因 令和3年9月1日住所移転
                  債務者 C市C町1番地
                      乙野太郎

以上のように、乙野太郎の住所が、B市B町1番地だった時代の履歴が抜け落ちます。
したがって、その時代時代における債務者の表示を、その都度登記記録において明確にするができません。
ということは、冒頭の考え方によれば、一括申請不可です。

そこで、変更の過程を明らかにするため、次の申請を行うべきこととなるでしょう。

1 根抵当権設定    受付第何号  債務者 A市A町1番地

付1 1番根抵当権変更  受付第何号 原因 令和2年9月1日変更
債務者 B市B町1番地
甲野太郎
付2 1番根抵当権変更  受付第何号 原因 令和3年9月1日変更
                  債務者 C市C町1番地
                      甲野太郎


ついでに、以上の原理(変更の履歴を明らかにする)により、登記研究の質疑応答が(登記研究413 P96)「根抵当権の債務者の氏名の更正及び住所の変更による変更・更正登記は、便宜、同一の申請書で申請することができる。」という理由も説明できます。

一括申請をやってみましょう。

1 根抵当権設定     受付第何号  債務者 A市A町1番地
甲野太郎
付1 1番根抵当権変更更正 受付第何号 原因 錯誤
                       令和2年9月1日住所移転
                   債務者 B市B町1番地
                       甲山太郎

変更更正の過程は明らかです。次の通りです。

1、当初~令和2年8月31日  債務者 A市A町1番地 甲山太郎 
2、令和2年9月1日~     債務者 B市B町1番地 甲山太郎

したがって、便宜、一括申請ができるのです。

さて、以上、名古屋において、根抵当権の債務者の変更更正と、変更2回の取扱いが一括申請の可否において相違することについてその理由を考えてみました。

さて、では、なぜ、根抵当権の債務者の履歴は、いちいち、登記記録に載せたいのか?
次は、その理由を考えてみましょう。

詳細は、明日以降にしますので、みなさんも考えてみてくださいね。
私もずいぶん考えたんですよお。
きっと根抵当権についての理解が深まります。

考えてみるべき疑問点は以下のとおりです。

前提
所有権の登記名義人の住所変更においては、住所の2回以上の変更を一括申請できます。
その理由は、不動産登記の目的は、登記名義人の住所の履歴を公示することにはないからだといわれています。
住所の履歴を知りたければ、不動産の登記記録ではなく、市町村役場に行って、戸籍の附票や住民票を頼りに探せばよろしいということです。

問 では、なぜ、根抵当権者の債務者の住所の履歴を公示することにこだわる必要があるのだろうか?





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Last updated  2020.10.14 12:19:59


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