2003年01月06日
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高校1年の頃から、大学生まで、
新年を家族で迎える事などなかった。

気の合う、仲間同士とか、
当時付き合っていた女の子とかと一緒に、
わざわざ
クソ寒い中を、
高尾山に登って初詣と初日の出を拝んだりしていたのである。

ああいう、無駄で底知れないパワーとエネルギーが、
あたりまえに出ていたのが、何と言うか
「青春」
というものなのかな??

高尾山というのは、東京郊外にある、
遠足やハイキングに適した山で、
登るのもそんなに苦ではない。

確か高校3年の時だったか?
いつものように、山に登り
その年最初のおみくじを、ここで引いた。

おみくじというのは、
やっぱり、何だかんだいっても
引く前にちょっとは緊張するものだ。

私の悪友Tが
「新年の神社は縁起を担ぐからさ。あんまり
凶とかは入れてないんだぜ」

などといっていた。

みんな高校3年の受験生。

このおみくじだけは絶対
「吉」 と出て欲しい。

そんな、暗黙の空気が流れていた。

「わぁー俺『小吉』だ」
「俺、『中吉』だって!」
「俺は『吉』だ!
なっ?いったろ?正月は縁起かついで、吉ばかりなんだよ」


最後に残ったのは
私だった。
私も悪友Tの言葉を半ば信じ切り、安心して、おみくじを開いた…。

「大凶」

え――――!!??

だ、大凶???

信じられない思いだったが
本当だった。

私が20年程前の1月1日にひいたおみくじは
まぎれもなく
「大凶」
だったのである。

一瞬周囲が凍りついた。
誰も私に何を言ったらいいのかわからなかったようである。

「…あ、まあ、でもさ、
『凶は吉に還る』って昔から言うよな???」


かろうじて気を取り直した私は、
友人たちに同意を求めるように、訊ねた。

誰一人、何も答えてくれない。

しばしの、重い沈黙・・・・・・

やっと、
「正月は神社は凶なんか入れないんだよ」
と言い切って得意がっていた、
悪友Tが、半分笑い声を押さえ込みながら
ぽつりと言った
「…でも。大凶はどうかなぁ…」

あー!
何て、思いやりのかけらもない、相槌!!

この野郎はいつもこんな感じなのだ。
私の古くからの友人であり
義理人情に厚い面もあるくせに、
人の不幸を、結構
思い切り面白がるタイプ でもある。

せめてさあ
「そうだよ!
気にすんなよ!」

ぐらい言うのが、人の情けってもんじゃないのか??

ともかく、そんなこんなで最悪の年明けだと思っていたが、
この年私は、大学に入学し、
「小吉」や、「吉」を引いた、
ほかの連中はみんな浪人生活に入ったのだった。

大学生になったので、
体育会系の先輩に連れられ色んな所にも堂々と出入りし、
当時、なぜか年上のお姉さんからはモテた私は、
色んな事 を教えてもらい、
なんだかんだとチヤホヤしてもらって
大人の仲間入りをしたような気になっていたものだ。

実のところ
そんなに悪い年ではなかったのである。


おみくじは
たかが
おみくじだ。

しかも、不思議なもので
それ以降私は何回かおみくじを引いたが
「大凶」 どころか 「凶」 も出たことがない。

さらに、
以前、 ここ でも紹介したように、
命に関わる事故を間一髪で逃れたことが何回かある。

明らかに平均より恵まれた運によって
ここまで生かさせてもらっていると
しみじみ思えるのだ。

だって、大凶ですよ?
大凶!

私は私以外に知り合いで
「大凶」 を引いたことがあるという人を知らない。
皆さんどなたかご存知ですか???

しかもよりによって
1月1日にそれを引き当てちゃったのだから、
私は稀にみる
強運の持ち主なのだ。

そう、思うことにしている。

さて
最近は、めったに会えるチャンスもなくなったが、
悪友Tとは、今でも付き合いがある。

前回あったのは丁度
一昨年の年末
都内の焼き鳥屋だった。

「ナニ、お前、まだ、○○ちゃんと結婚しないの?
はやくしろや!あっちも、もう、いい年だろう?」

「まあな・・・」
「大体おまえらさあ!一体何年付き合っているの? 長すぎるんじゃない?ちょっと?」
「う~ん…まあなあ…」

そんな風に言葉を濁しつつも、
内心私は、奴に言いたいことを
こらえるのに必死だった。

実はこの会話に出てきた女性に
プロポーズするためだけに、
その時一時帰国していたのだった。

手紙や電話やメイル、前回
夏に会った時の感触で、
すんなり
OKと言ってくれそうだった。

ダンドリ君の私は正月休を利用して、
きっちり、日本までお迎えに上がり、
セブまで彼女をエスコートして、
南の島の星降る夜空で
正式にプロポーズをしようと、
ビーチリゾートにまで予約を入れていた。

もちろん彼女にもそのことは伝えてあり、
スケジュール的にもOKという返事をもらっていた。

こうして私は12月27日に帰国。
12月30日に彼女と一緒にセブに戻り、
1月4日に日本に2人で再帰国するつもりだった。

ラブラブ気分だったから、
こんな離れ技も厭わなかったのだと思う。

「しかし、正月って言えばよう!あの時、お前、顔色真っ青だったぜ!」
「?」
「よりによって正月に
『大凶』なんて引くか?
普通?
今だから言えるけど、俺、あの年にお前、死ぬんじゃないのって思っていたぜ!」


悪友Tは義理人情には厚いが、
少々しつこい男でもあるから、
私と会って、酒を飲むたびに、
毎回、例の
「おみくじ事件」
の話を蒸し返す。

好き勝手ほざきまくって
「ぶわはははぁー」
と、大声で笑う、奴の笑い声も年々オヤジっぽくなってきた。

それもそう…
奴はもう3人のパパだ。

「まあ、でも、たとえ『大凶』引いたって、おまえは元気にやっている!それも好きなことばかり追っかけて、自由に生きている。そいつはすごいことだよ!
なんてったって正月に!
それも1月1日に
『大凶』
引くような男だからなぁ!!」


奴のロレツは少々怪しくなっていた。
そして、殆どそんなおみくじのことすら
忘れていた私自身は
やつが、やたらと何度もほざく
「大凶」 という言葉に
なんだか不安な予感を感じはじめていたのだった・・・。

そして、その予感は
的中してしまった!!

12月29日の朝。
彼女からメイルで連絡が入った。

『非常に申し訳ないけれどもクリスマス頃に引いた
風邪をこじらせてしまった。
熱も高いし、とても外を出歩ける状態じゃない
旅行はキャンセルしたい』


い、いまさら~!?

しかし、病気ならば仕方がない。
無理していった所で楽しくはないだろう。

しかし、
しかし、前日とは!!
チケットはもう発券されている。

今さらキャンセルはきかないんだよー!!


携帯に連絡を入れた。
・・・かからない。
メイルを何本も入れた。
・・・返事がない。

一体どうしちゃったと
いうの!!???


で、ともかく結果として
私は
相手の女性のドタキャンが原因で
南の島への
たった一人の婚前旅行を
2度も味わった
世にも間抜けな男となったのだった!!!

(一度目は ここ を参照!)

…色恋沙汰のすれ違いの原因を
ここではくどくど書かないが、
結局、この事がきっかけとなり、
去年、この女性との
長かった春も
夏を迎えることなく、
終わってしまったのだった…。

あの年の正月のおみくじが示していた
「大凶」とは
ひょっとして、私の一生の
女運の事なのじゃないか???
とも思う、
今日、この頃なのである…。

待ち人・・・来ず
縁談・・・破談でになりませう…


なんて
確か書いてあったしね・・・


まあ、たとえそうであったとしても、
別れは次の出会いの始まりでもあるし・・・
「『凶』は『吉』に還る」 っていうしね
『大凶』 『大吉』 に還るときが
いつか
きっとくるに違いない・・・

ねっ・・・?
ねっ・・・?
きっとそうだよねっ??

・・・・
・・・・

誰か!!!何か返事してくれーーーぃ!!!!!!!!







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最終更新日  2003年01月08日 15時25分12秒
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