惜春の灯りともして誰待つや
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梅も木蓮も桜も散り、いつの間にか春が去っていきます。今年ほど、春が過ぎて行くことに惜念の情を感じた年はありません。
家の庭は狭いので、ひとしきり花が咲き切ってしまうとあとに続く花が途切れてしまいます。ミニ薔薇もさつきもまだ咲いていません。
いつも咲いてくれるオダマキも、シンビジュウムもクレマチスも蕾の気配さえないのです。そんな寂しさからひとしおそう思うのかもしれません。
華やかな春が行ってしまうのは寂しいものです。
今は息子と二人だけの生活です。息子が家にいると分かっていても、まだ誰か帰ってきそうな気配がすることが度々あります。
風が玄関を揺らすと「あ、お父さんが帰って来た」とふと思うのです。
お父さんとは夫のことです。亡くなってからもう10年も経つというのに。
ある夜、妙な夢を見ました。こちらに引越してきたばかりの時です。
「ただいまー」と私の両親が入ってきました。勿論二人とも亡くなっています。
「俺の部屋にどうして網戸がないんだ」と父。「私の部屋にはちゃんと付いているよ」と母。夫はというと、新しく入ってきた気配がないのです。どうも初めからいるらしい・・・。
妙な夢ですね。息子にそれを話すと、「網戸は全部の部屋に付けたけど」と言ってから、思い出したように、「あ、納戸に付けてなかった」と。
納戸の中には父の遺品がまだ残っていたのです。では母は?「和室が好きだからきっとそこに棲んでいるのね」と息子に言って笑いました。
息子と二人だけの生活と思っていましたが、それからは、父や母や夫たちに見守られて生きているんだと思うようになりました。
今日はちょっと妙な話で失礼いたしました。
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