笑ったり怒ったり・・・

笑ったり怒ったり・・・

https://my.plaza.rakuten.co.jp/

購入履歴

このお店では、合い太毛糸を何回も発注させていただき大変満足しています。 今回は、アラン模様のオープン… [ >> ]
2026年03月01日
XML
カテゴリ: 本・書籍
2026年2月28日(土)


吉田修一さん著作の「ミス・サンシャイン」、なんとほとんどを病院の待合室で読んじゃいました。
2月16日、内科を受診したときから読み始めたんです。
そうそう、血液検査ができなくって、5回も注射針を刺されたあの日からです。
そして25日にエコー検査。
ここでも読書がはかどりまして、最高に読めたのは27日の総合病院。
なんと院内に4時間ぐらいいましたから、最後まで読んじゃいました。

でね、吉田修一さんただ1冊の恋愛小説だと思っていましたら、なんだか風向きが違うんですよね。
「島清恋愛文学賞」受賞作品ですから、恋愛小説に間違いないとは思うのですが・・・。
そこは、「悪人」や「国宝」を書いた作家さんですもの、ただの恋愛小説だとは思っていませんでしたが、やはりです。


大学院生の「岡田一心」は、教授の推薦で今は引退した元映画女優「和楽京子(わらくきょうこ)」こと本名「石田鈴」宅で荷物整理のアルバイトを始めた。
「和楽京子」はすでに80代。
終戦直後の大スターで、アメリカの映画にも出演してアカデミー賞受賞歴もある。

荷物整理の傍らの茶飲み話で「鈴」の波乱万丈の映画人生、そして命を分け合ったと言えるほどの大親友「佳乃子」のことが語られる。
本当は、最初にスカウトされたのは「佳乃子」だった。
「鈴」曰く、「佳乃子ちゃんはとってもかわいくって、遠くからわざわざ人が見に来るぐらいだった」のだそうです。

1945年8月9日午前11時2分、長崎に原爆が投下され一緒に居た二人は被爆。
けれど爆心地から少し離れていたので、命は助かりました。

スカウトされた「佳乃子」に付き添い、「鈴」も上京。
でも「佳乃子」はすでに婚約しており映画界に入ることはできなく、身代わりのような形で「鈴」が映画女優となります。
当時の日本としては珍しく、「肉体派女優」として売り出されます。

「佳乃子」は「鈴」の活躍をとても喜び長崎で応援してくれていましたが、原爆症の症状が出てしまう。
ハリウッド女優をしていた「鈴」は、会社との契約違反をしてまでも日本に密かに戻り、「佳乃子」を看取ります。
「佳乃子」臨終の場の、セリフ。

「鈴ちゃん、うちのこと、ずっと覚えとってね」と佳乃子が手を握る。
「うち、まだ28よ。こげん早う死んでしもうて、みんな、うちのこと可愛そうな女って思うやろねえ」
「でも、鈴ちゃん、あんただけはそう思わんでね。うちの人生は幸せやったって思うてね。うちはピカの被害者になるために生まれて来たんじゃないやろ?」
「こんな楽しい人生場過ごせた人なんて、そうそうおらんよ。うちは本当に恵まれとる。こんな幸せ者はおらん。・・・ね?鈴ちゃん、そうやろ?」


「一心」にも、同じ経験がありました。
たった9歳で病死した妹、「一愛(いちあ)」のこと。
「私をかわいそうな女の子だって、絶対に思わないでね」
「私はこんなに早く死んじゃうから、みんなそう思うと思うけど、お兄ちゃんだけはそう思わないでね。
一愛のこと、幸せな女の子だと思っててね。
だって本当にそうなんだもん。一愛はこんなに早く死んじゃうけど、みんなより先に死んじゃうけど、パパやママやお兄ちゃんに、こんなに可愛がってもらった女の子は他にいないもん。そうでしょ?ね?お兄ちゃん」

「一心」も長崎の出身。
原作者の吉田修一氏も、長崎出身。
「悪人」でも「国宝」でも、長崎が舞台になっています。
ここからは、吉田修一氏のインタヴュー記事から。

長崎の小中学生は、夏休みの宿題と言えば半分は原爆に関すること。
被爆者の話を聞きに行ったり、資料館に見学に行ったり・・・。
ところが長崎や広島以外の人と話をしていると、原爆のことこんなにも知られていないのかと驚く。
戦争第一世代ではない自分にも、原爆について何か語る手立てがないかと考えるようになりました。

なるほど、それでこの作品に原爆被害者を登場させたのね。

「一心」は、「鈴」にだんだん恋心を抱くようになり、その手を取りたいと妄想までするようになる。
その「一心」の思いに気づいた「鈴」は、そっと距離を置き始める。

やがて大学院を卒業して不動産会社で働き始めた「一心」は、結婚する。
妻は身ごもり、間もなく子が生まれようとしている。
そんなある日、テレビから「和楽京子」の訃報が流れる。
終戦直後の大女優も、引退して時が流れたのでごく簡単な訃報だけ。
でも「一心」の手元には、「和楽京子」がアカデミー賞授賞式のために書いた60年前のスピーチの原稿が残されています。
以前に、「鈴」から送られたものでした。
そこには、アメリカが落とした原爆によって死んでしまった友のことが書かれていましたが、まだ戦争の傷跡の強く残っていた時代に、当のアメリカでさすがにそのスピーチはできなかったのでしょう。
幻の原稿となってしまいました。

さて、表題の「ミス・サンシャイン」とは?
ハリウッドでの「和楽京子」を称える愛称です。
でも本人はその呼ばれ方を嫌っていました。
原爆投下の国と被爆した国、きっとそのわだかまりが「ミス・サンシャイン」などというきらびやかな名を嫌ったのでしょうね。

エンディングは「一心」の思いです。

「鈴さん、あなたのことが好きでした」
「鈴さん、あなたのことは忘れません」
「鈴さん、そして佳乃子さん、僕たちはあなた方のことを決して忘れません」

「一心」の人生で「鈴」と交わった時間は、わずか半年間という短い物。
その半年間で、「一心」はものの考え方から生きる姿勢まで「鈴」から学んだのでした。
そこにあふれるのは、戦争で命をなくした人への思い、原爆で苦しんだ人への思い、自分が大切だった人との別れとどうしようもない後悔などなど。
「鈴」も「一心」も、そういうたくさんの思いを持って生きてきました。

ある意味、これは人が人を思う純粋な愛を描いた小説であったのではないかと思いました。
20代の青年が80代の女性に抱く恋心、もちろんそれもありますが、もっと大きな愛の物語だったのではって。

すごく胸揺さぶられる作品でした。
いつもでも胸に余韻の残る、そんな作品でした。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2026年03月01日 04時21分21秒
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

naomin0203

naomin0203

カレンダー

お気に入りブログ

ご縁の不思議さ!? New! さえママ1107さん

ヨガって凄い!! New! teapottoさん

しあわせを呼ぶ青い… New! ダニエルandキティさん

源平咲き分けの梅 New! mamatamさん

初めての🇮🇹レストラ… New! あみ3008さん

コメント新着

さえママ1107 @ Re:あれ?、恋愛小説ですか?「ミス・サンシャイン」(03/01) New! naominさんこんにちは! いつもありがとう…
さとママ3645 @ Re:あれ?、恋愛小説ですか?「ミス・サンシャイン」(03/01) New! こんにちは♪ 図書館から借りてきました。…
いしけい5915 @ Re:またまた検査。(02/28) New! 私のブログにコメントをありがとうござい…
maria- @ Re:またまた検査。(02/28) New! こんにちは。 検査、お疲れさまでした。 …
じゅん8008 @ Re:またまた検査。(02/28) New! MRIの検査は閉鎖恐怖症の私にとって 何と…

フリーページ


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: