◎心の病気を治すヒント…不安神経症、抑うつ、不安障害、不完全恐怖、解離状態もやり方次第で完治します☆
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もともと群れに属さない、一匹狼的の精神分析家のよーな私である。『血と言葉』の先生も守っていた「精神分析家の隠れ身」について、手本がいないので苦労する。自分のことを語るにしても、治療に影響のない部分だけに制限していたものの、これからもこの状態でいいのか、壁に突き当たって迷っていた。そもそも、心理療法のデモンストレーション版、『プライベート・アイズ』という特殊な場では、最初から、自分の神経症の症状や、環境や、精神分析を行って解決していく過程で明らかになっていった、病んだ生育環境そのものも、それをどうとらえなおせばよいのかも、心の回復過程として、包み隠さずに赤裸々に自己開示している。私のスタートが、平凡な神経症患者が自分の体験を語る、ということであったゆえである。精神分析にはなぜ、分析家の隠れ身が必要なのか。これは、与えられた情報量と、それにまつわるイメージ(想像力)が反比例の関係にあるからである。人間の脳というものは不思議なもので、空白には耐えられないのか、とても働き者である。知らない部分については自分の想像で補おうとするのだ。 つまり、初対面で、どんな人物かわからない、日頃どんな暮らしぶりをしているのか知らない相手(この場合精神分析家)にたいして、自分の頭のなかでその人物像を自然と無意識に構成する。(きっとこの人は、こんな性格の人なんだろう。結婚しているなら生活はこんな感じで、親とか子供にはこんなふうに接しているんだろう)とか、↓ここがかなり重要なポイントになるが、(私にたいして、こういう態度で接してくるはずだ)という先入観というか、予測するような、期待するような気持ちが起こる。しかも、この気持ちについて、患者自身はそれを自分が持っているイメージであることに、まだ気がついていない。このイメージは、患者が精神分析医を知らなければ知らないほど、患者のもつ内的なイメージ、人物像に限りなく近づく。愛情深い、ケチ、低能、意地が悪い、優柔不断、優しい、怒りっぽい、短気、冷酷、親切、怠惰、勤勉、無関心、嫉妬深い、強欲、えこひいき、献身的……等々、目の前の精神分析についての情報が得られないほど、精神分析家にたいする患者の思い込みというか、予測が大きな割合をしめる。これが転移である。精神分析には転移がおこる。転移が起こったところで、あなたのその感情は、かつて小さかったころ、親にたいしてもった感情と同じではないですか?と問うのだ。患者の持っている感情が、患者自身を苦しめていることを理解させる。これが精神分析と転移。転移を容易に起こすために、心理療法家があらかじめどんな人間か、――つまり自分の親とは違う人間である――ということが、患者にはとらえきれないこと。精神分析医がどんな人間かハッキリしていないほうが、もっと言えば、どんな人物なのか、像がつかめないほうが、都合がよいのである。これはでも、患者の側にしてはたいへんな苦痛でんな。延々と自分のことだけをしゃべり続けなければいけない。感情も、出来事も、すべてを、どんなやつかも知れない精神分析家に向かって、赤裸々に語らなきゃないんだから。神経症の症状も苦しいが、自分のプライバシーを全部、精神分析医がときおり口をはさむ以外は、天井とか壁に向かって延々と恥ずかしいことも言いたくないことも全部語って、お金を支払って帰る。かなりの不安と苦痛と時間的・精神的・経済的負担がありそーである。(;^_^Aしかし、神経症の根は深いから、そこまでしないとダメなのだろう。患者のこころの世界が、掘って掘って掘り尽くして、全部底をつくまで、すっからかんになるまで語らせて吐き出させないと、精神分析家という専門家といえど、他人が他人の心の全容は把握できない。一番根っこにあったりするからね。原因は。よく私に対して自分の悩みとか不安とか症状をメールに書いてきて、「こんな私ですが、どうでしょう?」みたいなことを聞いてくる人がいるが、甘いね。今、自分で自覚できていることなんか、問題じゃない。それはあくまで結果であり、表面的なことにすぎない。検査も診察もしないで、診断を下す医者がどこにいる?模擬テストを受ける前に、その子の学力判定ができる教師がどこにいる?患者なら専門家に診てもらわないと、どんなことになっているかわからないでしょ?これから何かを学ぶなら、勉強しないとダメでしょ?自分でわかっていることなんて、ほんのちっぽけなことでしかない。そうでなきゃ、最初から心理療法家なんて、用が無いわけよ。私はあえて言うよ。みんな、ほとんど似たようなもの。ハチに刺されたら腫れるように、転んだら膝を擦りむくように、叩かれたら痛いように、反応はそんなに違わない。反応から逆に原因を探っていけば、ほとんどの人にとって、あたらずとも遠からずだと、見切り発車で展開したのが、『プライベート・アイズ』『プライベート・アイズ』テキストを読んで、自分の持っているトラウマに思い当たる人が多いゆえん。みんな誰でももともとは、健全だったのです。欠点がないということではないよ。自分のことがキライな赤ちゃんなんていなかったってこと。まんまるで、豊かな心があった。でもその心は、鋭い感受性と、可塑性・柔軟性に富んでいるがために、環境によって傷つけられることもあったわけです。心理療法とは、そのかつての自分の心を思い出してもらうチャンスでもあるわけなのです。http://hiraiyoko.com/
2006年05月07日
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