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「インプレッサ」のカサ上げ版たる「XV」にハイブリッドが追加された時点で、こうなることは想像ができた。「プリウス」の影響で、国産Cセグメントは「ハイブリッドにあらずんばクルマにあらず」という状況になってしまっているからである。なにせ、あの「マツダ・アクセラ」ですら、よりによって宿敵と同じシステムを使って、事実上の日本専用モデルとしてハイブリッドを用意するくらいなのだ。 それにしても、技術的なハードルは皆無のはずなのにXVハイブリッドから2年も遅れたのは、そちらが想定以上に売れて、ずっと供給が追いつかない状態が続いていたからだろう。そして「XVでこれだけ売れるなら、インプにもハイブリッドがあればさぞかし……」と、インプ担当者が心中穏やかでない2年間をすごしてきたことも容易に想像できる。 ハイブリッド機構は変速機一体のモーターと荷室床下のニッケル水素バッテリーと補機類で完結しているので、クルマ自体はインプレッサのハッチバック(スバルにおける商品名は「インプレッサスポーツ」)そのものである。ただ、ハイブリッドでは全車の車体下部にエアロスカートが追加されるのは、2リッター車比で約25万円高という価格アップの整合性を考えてのことか。スバルのハイブリッドは、低燃費車というよりスポーツという位置づけである。 スバルのハイブリッドはあくまで“黒子”に徹するのが、そもそもの基本思想である。2リッター水平対向エンジンも、ハイブリッド用といっても燃焼サイクルを変えるところまで踏み込んでいないし、もとからあるトルコンもあえて残される。モーター出力もかぎられており、電気で上乗せされた性能は、普通の2リッター車より130~140kg増した車重で完全に相殺された感じ。低速でのピックアップはハイブリッドに分があるように思えなくもないが、高速も含めたトータル性能では、普通の2リッターのほうが快活である。 操縦性はライバルと比較しても明確に好印象だった。 プリウスやアクセラ(のハイブリッド)が、単独で乗っても「後ろになんか背負っている感」が明確で、山坂道では後ろがグラリとするのに対して、インプにはそういうクセがまるでない。 リアに凝った独立サスペンションを使うわりには、荷室床下におさまるバッテリーも、似たような構成のアクセラよりも低く見える。フロントの水平対向エンジンも含めて、低重心化が成功しているのかもしれない。 ベースから100kg以上も重くなれば、サスチューンもむずかしかったと察するが、高速で目地段差を通過したときのまろやかな吸収力などには感心する。路面からの当たりも総じて滑らか、上屋の動きも抑制されており、ロードノイズも「おっ」と思うほど静かだ。 マニア筋では国産Cセグの双璧といえるアクセラに対して、インプレッサは、よりロール剛性重視で水平基調の身のこなしが特徴とされる。ステアリングから伝わる接地感はマツダに軍配だが、リニアに奥まで利くステアリングはスバルの真骨頂である。 スバルはハイブリッドをスポーツとして売り出したいようだが、前記の動力性能も含めて、今回のハイブリッド化でインプに上乗せされたのは、スポーツというよりラグジュアリー方面の魅力が大きい。減税分を差し引いて普通の2リッターモデル比で約20万円というハイブリッド代は、有利になるであろうリセールバリューも含めれば、サンデードライバーの走行距離でも数年でモトが取れるだろう。 ただ、スバルに「活発で軽快な操縦性」を求めるなら、ハイブリッドを選ぶべきかは悩ましい。 ハイブリッドは重厚で操縦性も優秀だが、曲がりの爽快感は普通の2リッターに分がある。 もしかして、このハイブリッドはこの世代かぎりで、次期ハイブリッドはアクセラと同じく、トヨタのアレだったりして? あるいは、スバルはハイブリッドをあくまで、余計な手間をかけるべきでない少量モデルと考えているのか。さもなければ、次のモデルチェンジできちんと対応する予定なのか。マニアとしては最後の可能性を期待したいが……。
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