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2005年07月30日
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カテゴリ: 読書
溶ける薔薇 皆川博子(青谷舎) The Mystery Story of Authoresses1
アラスジ:親の海外出張の為、高校生の秋人は母親の実家に預けられる。
その家に住む、母の異母妹である風変わりな叔母は、秋人に思いも拠らぬ昔話をし始める…表題作・溶ける薔薇。
他、心の闇を掬い上げた短編全7作収録。


図書館本。
皆川博子は、女性の作家の中ではかなり好きな方だ。
最近読み始めたので、あまり多くは読んでいないが、今のところ外れはない。
直木賞を受賞した『恋紅』は未読だが、吉川英治文学賞の『 死の泉 』は、骨太なストーリーと独特の感性が光る、実に読み応えのある傑作だった。
が、個人的には長編作より、『 ゆめこ縮緬 』のような短編の味わいが好きだ。

この作品は、初期から中期の作を集めた、制作年数の幅が広い短編集だ。
女流ミステリ作家シリーズの為に編まれた本なので、皆川的なエッセンスを抽出した本として作られたのであろう。
やはり、初期とその後に続く作品とでは、色合いに変化がみられて興味深い。
表題作の『溶ける薔薇』は、脂の乗った佳作。
皆川が好んで取り上げるモチーフが、手堅く纏め上げられている。
全て枯れ果ててしまう庭は、抑圧された由良子の心情風景であろう。
その中で唯一、枯れるのでなく“溶ける”薔薇は、彼女の解き放たれた情念。
己を溶かし尽くし、やがてその歪みは周囲をも侵蝕するだろう予兆の陽炎を立ち上らせて、物語は断ち切られる。
何が真実か、何が虚か。
答えを探すのではなく、ただその渦に身を投じる。
それが、皆川の愉しみ方だと思う。

皆川博子は、幻想色の強い狂気を好む。
歪んだ血族、記憶の交錯、夢と現の逆転。
非常に良く似た世界観を持つ作家で、 赤江瀑 と言う人が居る。
知名度は皆川には及ばぬが、その強烈で独自な世界観に魅せられた者は多い。
恐らく、皆川も赤江の影響をかなり受けていると思う。
タイトルのつけ方、モチーフ、赤江へのオマージュと言っても良い位、その作風を彷彿とさせる作品が多いのだ。
特に、この短編集の頃はその傾向が顕著なので、興味のある人は読み比べてみるのも一興かと思う。
ただ、似通っていると言っても、決定的な差異が二人の作家を大きく隔てているのだが。
性的指向性やジェンターの話になるので、ここではまとめきれないので、またいつか機会があれば考えてみたい。

個人的には、この作品集の中では『水の館』が好きだ。
あからさまに某アイドルグループへの想いが絡められているのが鼻につくものの、屈折した心理を幻想的に彩った味わいの深い作品。
この作品を収録したもう1つの単行本、『 たまご猫 』もかなりのお勧め本。
この辺りになると、赤江の影響色より独自性が際立ってくるので、作家・皆川博子を堪能出来ると思う。





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最終更新日  2005年07月31日 01時05分10秒
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