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キーワード:苦難
困。亨。貞。大人吉无咎。有言不信。
(こんはとおる。だだし。たいじんはきちにしてとがなし。ことあるもしんじられず。)
「困」は困窮、苦しむこと。「沢水困の時、通じる。貞正でいることだ。大人は吉で、必死に頑張り問題はない。このような時は、いくら 訴えても信じてもらえない」。この卦は池(沢)に穴があき、水が流れ出て、池が涸渇寸前のひど い状態にあることを示します。したがって、沢水困の時は、ふさいでもふさいでも底から水が漏れるように、物心ともに困窮する時です。しかしこれ以上悪くな ることはないと考え、ありのままの運命を受け入れ黙々と所信を貫くことです。いいわけや弁解、および無駄使いは差し控えること。
◎易の中で三大難卦の一つです。
〔大意〕「困(こん)は、亨る •••••• 大人は吉にして咎なし。言うことあるも信ぜられず」困は「困難」「困窮」の困にして、しい状態をあらわしている。しかし、だからといって凶というわけではなく、くじけずに身を正しく保てば吉となります。
ただ「言あるも信ぜられず」とあるように、いかに自己の正しさを主張しても、それはなかなか受け入れられない。ここにこの卦が出たときの対処の仕方の難しさがあります。マーフィー博士はどういっているでしょう。博士は「もしあなたが悩みの日に気をくじくならばあなたの力は弱い」という聖書の成句を引いてこういいます。
「人生のどんな問題や苦境に対しても、敢然と立ち向かわなければいけない。それは、あなたの潜在意識を引き出す良い機会なのだ。困難に挑戦することで、あなたは本当の自分というものを見つけ出すだろう」
困難に対処する最良の方法は、「解決できる」と確信することです。どんな困難もその人に解決できない困難は襲ってこないものです。これは意外と見逃されていることです。
たとえば、子供には社長のように明日手形を落とすという悩みが絶対にないように、わたしたちは自分に見合った程度でしか困難を感じないのです。だから困難を感じることはそれが手に余ることではない証拠です。
実力のある人ほど困難に直面し、それに立ち向かい切り開いているものです。この卦に出会ったら「自分に飛躍の機会が訪れた」と思うことです。そしてそれは「乗り越えられる」とまず先に確信してしまいなさい。具体的な方法論はあとからついてくるものです。方法論で悩む人は、潜在意識が思いもかけない解決策をしばしばもたらす事実を思い出すことです。
●初 6 :出かけていって良い相談相手を探しなさい。
臀困于株木。入于幽谷。三歳不覿。
(
「臀」は尻。「株木」は切り株のこと。「疲れ果てて座りたいのに、切り株がゴツゴツしていてお尻が痛くて座れない。暗い幽谷に迷い込 んで三年間も行方不明になる」。職場も家庭も居心地悪く、どうしようもない時です。こうなれば、腹をくくって踏み止まることです。
◎あなたの考え方、進み方に問題点があります、よく反省し、改めましょう。
●二9:自分が納得するまで新しい仕事に手を出してはならない。
困于酒食。朱紱方来。利用亨祀。征凶。无咎。
(しゅしょくにくるしむ。しゅふつまさにきたる。もちいてきょうしするによろし。いけばきょう。とがなし。)
「朱紱」は天子の礼服、すなわち天子のこと。「亨祀」は祭祀のこと。「酒食にも事欠いて困っているが、やがて天子が訪れて登用してく れるだろう。祭祀でもとり行うことだ。こちらから進めば凶。問題はない」。生活困窮の時ですが、時を待ち堪え忍ぶことです。相手の出方を見て対処するこ と。
●三 6 :自分も他人もいまはすべてを許しなさい。
困于石、據于蒺藜。入于其宮、不見其妻。凶。
(いしにくるしむ。しつれいによる。そのきゅうにいりて。そのさいをみず。きょう。)
「蒺藜」はとげいばら。「宮」は家のこと。「石に立ちふさがれ、とげだらけのいばらにからまれる。家に帰ったら妻は家出していない。 凶」。上司や部下にもいじめられ、信じていた妻にも逃げられるような、まさに「泣き面に蜂」の時です。動けば動くほど傷が深くなる時ですので、悪あがきは やめて、「石の上にも三年」の心構えでじっと耐えることです。
◎あなたの考え方、進み方に大きな欠陥があります、よく反省し、方針の転換をしましょう。
●四 9 :あなたはすべての困難からまもなく解放される。
來徐徐。困于金車。吝有終。
(きたることじょじょ。きんしゃにくるしむ。りんなれどもおありあり。)
「金車」は剛健なる家臣のこと。「家臣が助けに来るのが遅い。行き詰まってしまうが最後には願いが叶う」。たとえば、実家から来るべき送金が来ないで金欠状態になりイライラしているような時ですが、どうにかぎりぎりで間に合います。救いの神は必ず現われますから、焦らないこと。
●五 9 :よく鼻をきかせてうまくない食物には手を出してはいけない。
劓刖、困于赤絨。乃徐有説。利用祭祀。
(はなきりあしきる。せきふつにくるしむ。すなはちようやくよろこびあり。もちいてさいしするによろし。)
「赤絨」は諸侯の礼服、すなわち諸侯・参謀のこと。「鼻を切られ、足を切られるように、今は惨めな状況で、良い参謀もいない。だが、時がたてば徐々に喜びが出てくる。祭祀でもとり行うことだ」。天の助けか、援助者をようやく得て、前途に光明を見出せる時です。部下に人材を求めること。
●上 6 :未来はいま現在のあなたの考え方の中にある。
困于葛藟于臲 卼 。曰動悔。有悔征吉 。
(かつるいにくるしむ。ここにげつごつ。いわくうごけばくいる。くいるあっていけばきち。)
「葛藟」はかずら。「臲 卼 」は動揺して安定しないこと。「つたかずらにからまれて , 道なきこうした時に動けば後悔することになる。だ が、自分の非を悔い改めて進めば吉」。苦しんだ沢水困の時ももうじき去ります。不安な気持ちでいっぱいですが、用心に用心を重ねて出直す時です。暗い気持ちをきれいさっぱり切り替えましょう。
「マーフィの易い」 J. マーフィ(昭和 61 年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。