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@寺子屋食神

ハウスワークサービス多摩店

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第八章　注(2)……中からそして上から知力と権力で革命はやるのだ………

第八章　資料１　『諸君』平成十六年一月号・二三七頁　　一九五一年証言

●UT版日本国紀　目次●　20220820改　小笠原諸島を日本領に

武田邦彦「ホント話」114・20220729「海洋酸性化「パン食は胃腸に良くない

『「リサイクル」汚染列島』武田邦彦著　青春出版社　インデックス

目次　『「気候変動・脱炭素」14のウソ』渡辺正著（丸善出版株式会社）

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2022.08.22

問いに戻ります。では日本ではなぜ、原発を維持していたいのでしょうか。
その答えの糸口は、「原子力爆弾」にあります。原発と原爆、たしかにウランが燃料だけど、同じわけないじゃないか、と、こう思うかもしれません。しかし、専門家に言わせると、実は表裏一体なのです。
問題を解き明かすために、原子力の歴史を振り返ってみます。
そもそも原爆というのは、マリ・キュリーが1900年頃に原子核反応を発見したところからスタートします。多くの伝記本も出ている、あのキュリー夫人です。ノーベル物理学賞とノーベル化学賞の2つを受賞している科学者です。
その後、1940年代になると、イタリアからエンリコ・フェルミという世界的な学者がアメリカに亡命して、シカゴ大学で原子力発電の実験を繰り返します。
原子核反応というのは、太陽の原理ですから、原子力発電というのは、地上で太陽を再現することなのです。当時の科学者の夢でした。フェルミは成功したときに「イタリアからの航海者、人類に原子の火をともす」という電報を本国に打っているほどです。これが1942年のことです。時は太平洋戦争中で、アメリカ軍部はすぐに、これを爆弾に転用できないかと考えました。「マンハッタン計画」のスタートです。物理学者オッペンハイマーが中心となって、原爆開発が始まります。
やがて、広島、長崎に原爆が落とされることになるのですが、そこにいたるまでにはさまざまなトラブルや死亡事故がありました。こうした先人たちのプロセスを経て、いまや「原爆は簡単に作れる」ということがわかっているのです。わかりやすく言うと、ウランが22キロになると臨界に達して爆発するのです。
専門的な話ははぶきますが、広島に落とされた原爆が濃縮ウラン型の原爆で、長崎に落とされたのがプルトニウム型の原爆でした。
濃縮ウラン、プルトニウム……どちらも、原子力発電ではお馴染みの用語ですよね。どういうことかと言いますと、原子力発電所が稼働しているということは、濃縮ウランもプルトニウムも、簡単に手に入る状態にある、ということです。言い換えれば、原子力発電所さえあれば、核爆弾は簡単に作れてしまう、ということです。
原子力の歴史は「科学技術と正しさ」を考える良い例になります。
よく「科学は人類に奉仕しなければならない」とか「原子力は悪魔の技術だ」と言われますが、キュリー夫人がラジウムの崩壊を発見したのが、人類が原子力を発見した最初です。もちろん、キュリー夫人も研究に取りかかる前には「原子力」というものを知らないので、自分の研究がやがて50年後に原爆や原子力発電所の事故で多くの人に迷惑をかけることなど知るよしもありません。
もともと人間は自分の頭にないものを考えることはできませんし、キュリー夫人が研究する前には、原子力で光っている太陽すら、「何を燃やしているのか？」わからなかったのです。
もしキュリー夫人やその後の科学者が原子力を発見しなかったら、いまでも宇宙、太陽、地球の中心部が熱いことなど、多くのことが謎のまま残っていたでしょう。
このように、科学というものは、発見した段階では新しいことがどういうものかわからない、発見したあとでもそれがどうなるかはわからない、という特徴があります。だから科学には、「良いもの」と「悪いもの」という区別はありません。
その区別が生じるのは、科学が「技術」として、あるいは「政策」として人間の社会との関係を持つときです。この本では「専門家の正しさ」のところで深く考えますが、科学、学問、思想などと言われる人間の精神活動、内的な活動には正しいとか間違っているということはなく、あくまで社会との関係が生じたときに「正しさ」が問題になります。
人間の内的活動で誕生した「キュリー夫人の原子力」はやがて、技術になり、原子力発電所や原子爆弾を生み出します。原子爆弾は強力な破壊兵器ですから多くの人が「悪いもの」に分類すると思いますが、原子力発電所は、「人間が被曝しても健康」ということなら、「悪い」と言う人はいないと思います。
人間が放射線を被曝して病気になるのは、人間を作っている材料が高分子物質であり、人間の活動が化学反応で成り立っているということによっています。
もし人間が金属材料でできていれば、人体に対して放射線は何の問題もないでしょう。さらに太陽は原子炉ですから、大昔の動物が「放射線に対する防御」をもっともっと発達させていたら、これも被曝はまった＜健康に影響を与えないはずです。いまから15億年前に成層圏にオゾン層ができたために、地表にほとんど放射線が来なくなり、以後、生物は放射線に対する防御を発達させませんでした。だから、人間も被曝に弱いのです。
問題は、キュリー夫人の原子力が、原爆や被曝の可能性のある原発に発展するときに、「人間の叡智」が働いて「正しい道を選択する」ということがなぜできなかったのか、そちらが「科学の正しさ」を議論する本質なのです。
なぜ、人類は悪魔の兵器と言われる原爆を作る選択をしたのか、人類の叡智、正しさはどこにあったのかを、具体的な問題を例に取って考えてみます。
『「正しい」とは何か？』武田邦彦著　小学館より