久しぶりに、岩波の『世界』を買った。 2025 年 1 月号。
特集の 2 、「そしてアメリカは去った」に興味があったので。
いくつかの論説が載っていたが、全く線を引かなかったのが、藤原帰一氏の「「力の支配」に向かう世界」。新しい知見もなく、がっかりした。
逆に、目を開かれたのが、若林惠 ( 黒鳥社 編集者 ) の、「ロングフォーム・ポッドキャストの勝利」という論説。日本の選挙では、短く編集された細切れの「情報」が発信されて有権者に大きな影響を与えたと各所で論じられているが、この論説では、 2~3 時間、政治家がしゃべるだけの「ロングフォーム・ポッドキャスト」なる番組の事が紹介されている。以下に数カ所引用する。
「カールソンが無料配信を行う X のアカウントのフォロワー数は 1400 万人、ローガンの番組の Spotyfy と YouTube を合わせたフォロワー数は 3000 万人を超える。番組はいずれもゲストを交えたフリートークだが、特徴はその長さにある。ローガンは各話がほぼ三時間、カールソンは一 ~ 二時間とかなり長尺だ。
ソーシャルメディアの登場以後、「アテンションエコノミー」や「切り取り」といった言葉につられる形で、私たちはオンラインの言語空間を脊髄反射だけが物を言う落着きのない場所としてのみ捉えてきたが、その裏で見落とされてきたのは、ただしゃべるだけの 3 時間番組に 3000 万人のフォロワーがついているという状況だ。」
「 FOX ニュースのスターキャスターだったタッカー・カールソンが FOX を解雇されて独立し、 X を拠点に自身のポッドキャストを開設してほどなく、多くの政治関係者を驚かせたのは、彼がロシアのプーチン大統領との単独インタビューを実現した事だった。さらに多くを驚かせたのは、おしゃべり好きの大統領がロシア語で 2 時間しゃべり倒す番組が、配信 3 日で YouTube も合わせて 2 億回近く再生されたことだった。
みんなが驚いたのも無理はない。それだけの長時間にわたって大国のトップの話を聞く機会は滅多にないどころか、よくよく考えてみれば、テレビでは、政治家の 2 時間トークなんてそもそも実現不可能だ。」
「テレビや新聞、ラジオといったマスメディアが実際はずっとただの「切り取り」コンテンツでしかなかったことと、それが政治的に極度に偏向しているということだった。」
「実際、コロナ対策やウクライナ、ガザ紛争をめぐる報道の中でキャンセルされた学者やジャーナリストは枚挙にいとまがない。
有名どころで言えば、経済学者のジェフリー・サックス ( 『貧困の終焉 -2025 年までに世界を変える。』 ) 、政治学者のジョン・ミアシャイマー ( 『大国政治の悲劇』『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』、シオニズム批判で知られるノーマン・ G ・フィンケルスタイン ( 『イスラエル擁護論批判』『ホロコースト産業』 ) 、ベトナム戦争時代の伝説の記者シーモア・ハーシュ ( 『アメリカの秘密戦争 -9 ・ 11 からアブグレイブへの道』 ) 、スノーデンの内部告発を手助けしたジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド ( 『暴露 - スノーデンが私に託したファイル』 ) などがこの数年のうちに、ロングタイム・ポッドキャストや、ニュースレター配信サービス「サブスタック」、 YouTube から排除されたクリエーターの受け皿として急成長した動画配信プラットフォーム「ランブル」などへと次々に活動拠点を移していった。」
「ロングフォーム・ポッドキャストに政治家や学者が関与する際には、少なからぬリスクもある。 3 時間も話せば、取り繕うにも限界がある。自分が知らないこと、十分に考え切れていないことを、時に晒してしまう。」
自省を込めて言うのだが、まったく編集されていない「国会中継」を録画してみる癖を付けなければいけないと思う。編集され、「切り取られた」ニュースではなくて。
また日本のマスメディアから排除されたジャーナリストの論説にどう接するか。これも、来年の私の課題となりそうだ。
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MoMo太郎009さん
SEAL OF CAINさんComments