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全…ゼン、まった(く)すべ(て) 詮…セン 「全」は「完全」「全部」の熟語から見えるように「欠けたところがなく」「完全に」「すべて」の意味を持つ漢字です。 「全」が音符になる漢字には「栓」「詮」などがあります。 「詮」は、細かくつきつめて調べるというニュアンスを持つ漢字です。細かさが高じると「詮索」は「小さいことまでとやかく言う」というマイナスの意味になってしまいます。近所の詮索好きのおばさんなんて、ドラマによく出てきますね。 「所詮この世は金次第」などというときの「所詮(しょせん)」は、「結局」の意味です。
March 22, 2024
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訟…ショウ 告…コク、つ(げる) 「訟」は、「訴訟」という熟語になって、裁判の記事で見かける以外はなじみのない漢字です。「公(おおやけ)の場で言い争う」という漢字の形そのままの意味です。 「告」は、「告る」=意中の人に思いを告げる、と「言葉で人にしらせる」意味ですが、「申告」「上告」「原告」「被告」のように、法廷ミステリーには必ず出てくる漢字です。 *申告…国民が官庁に対して一定の事を申し立てること。所得税申告など。*上告…控訴は、第一審の判決に不服がある場合に、上級裁判所に対して、改めて 審議することを求めること。 さらに控訴審の判決に対して不服がある場合、最高裁判所に対して 取り消しや変更を求めるのが上告。*原告・被告…民事・行政訴訟で訴えた側が原告、訴えられた側が被告。
February 21, 2024
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常用漢字は基本的に新字体ですが、部分的に旧字体が交じっている漢字もあって、混同してしまいます。 たとえば、「はかどる」という意味の「進捗」の「捗」は、つくりが「歩」ではなく旧字形です。「渡る・関わる」の「交渉」の「渉」はつくりが「歩」なので、混乱してしまいます。 食へんもほとんど新字体になっていますが、「餌」と「餅」は「𩙿」です。「箸」も「者」ではなく「者」です。 「遡(さかのぼ)る」の「遡」と「謙遜」の「遜」、「謎」も「辶」ではない「辶」が使われます。謎です。 かぶせて隠す、おおうの「遮蔽」の「蔽」も、「幣」「弊」と点の向きが違います。「㡀」です。常用漢字の中でも統一性がないのが不思議です。「危惧する(おそれる)」に「惧」は「具」と元々の字が異なるのですが、つい忄に具と書きたくなります。 と、悩んできましたが、文化庁の常用漢字の指針で確認したところ、活字体と別に、手で書く場合の筆記体では、点の向きや点のあるなし、「惧」のつくり部分が「具」であっても、全て誤字にはならないとありました。 安心しました。ですが、旧字体ではどうだったかを知っておくと、常用漢字外の漢字にまで広げられるので、それも勉強かもと思いました。
January 22, 2024
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漱石の当て字から。 真面目(まじめ)←もとは「真面目(しんめんもく)」という熟語が使われていましたが、今ではすっかり「真面目=まじめ」の読みになってしまいました。坪内逍遙は「眞實(まじめ)」と当てています。「真面目」は漱石オリジナルといわれます。 同様に、和語を同じような意味の漢字に当てる例としては判明(はっきり)、服装(なり)、先刻から(さっきから)、容易い(やさしい)、作用(はたらき)などが使われています。漱石像(漱石山房) 今時のJpopの歌詞では、運命(レジェンド)天国(ヘヴン)毒薬(ポイズン)と英語に対する当て字が使われたりしますが、漱石の時代にも既に、上靴(スリツパ)、停車場(ステーション)、手巾(ハンケチ)、牛酪(バター)などが見られます。 禮帽(シルクハツト)、西洋手拭(タウエル)=タオルはなかなかの発想。 漱石の時代の当て字も飛んでいますが、現代の難解当て字も負けていません。天空(そら)宇宙(そら)、現実(いま)ならまだわかりますが、女神(てんし)、夜(かげ)、希望(ゆめ)、自分(オリジナル)となるとお手上げ。漢字検定一級以上の難読ですね。 時代が移っても、書く人が真面目に考えて作りだした当て字だということは、理解できる気がします。 参照元:今野真二『常識では読めない漢字』すばる舎
December 2, 2023
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夏目漱石は、作品の中で当て字を多用したことで有名です。中には、漱石が創作した当て字が定着して、いま当たり前に使われているものもあります。 当て字は、本来の漢字の用法から外れて、当座の用のため異なる字を用いた字です。①漢字の音を利用する方法②漢字の訓、意味を利用する方法、が考えられます。外来語に対して、意味が同じ漢語を当てる場合もあります。 そんな漱石が使った当て字、面白いけれど難解です。 篦棒(べらぼう)←「篦棒め、うちなんかいくら大きくなつたつて腹の足しになるもんか。」と『吾輩は猫である』に出てきます。篦(へら。薄く削った道具のことで、竹べらや靴べらを指す)+棒(ボウ)の漢字の音から。べらぼうな作り方ですね。 瀟洒(さっぱり)←「廣くはないが瀟洒(さっぱり)とした心持ち好く日の當る所だ」と『…猫』に登場する裏の茶園で、猫が昼食後などに英気を養いに行く場所の描写です。「瀟洒」は普通なら「しょうしゃ」で「さっぱり」とはニュアンスが違うように思いますが、「すっきりした」という意味合いがあるので、この字を「さっぱり」と読ませたのでしょう。さっぱり読めません。 午砲(どん)←これは時代背景を知らないと読めません。当時空砲を発射して正午を知らせていました。音が「ドン」と鳴るので「どん」と呼ばれ、「号砲」とも当てました。当時世間一般に使われた当て字です。「午砲(ごほう)」は、港に停泊する船に対して正確な時間を知らせるため、18世紀末のイギリスで始まったそうです。植民地を通して世界中に広まりましたが、時計の精度が増すのにつれて廃れました。 日本では明治3年の「午砲の制」で制度化され大都市に午砲台が設置されました。東京では旧本丸にありました。漱石像(漱石山房と漱石公園の展示から) 森田草平氏は、「(漱石)先生はあれだけ漢字の素養の深い人であったにもかかわらず、当て字を平気でめったやたらに使っていられる」と書いています。一見誤りのようですが、無頓着に使っているとしか思えない字もあると言います。 兇事←正しくは凶事(兇は、悪い、人を傷付ける、びくびくするの意味で、常用漢字外なので凶で書き換えるが、凶を兇で書き換えることはない) 庭宅←邸宅、手向←趣向、人世観←人生観 などです。 使える漢字がどんどん少なくなっている現代の私たちからすると、溢れるような当て字を使える漱石に脱帽するしかありません。 参照元:今野真二『常識では読めない漢字ーー近代文学の原文を味わう』すばる舎(クイズ形式の本ですが、面白いだけに終わらず、きちんと原文と時代背景まであげてくれて いるので、とても勉強になります。) 森田草平『夏目漱石(一)』講談社学術文庫
December 1, 2023
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佐…サ 「佐」は「手でたすける」という意味の漢字です。「補佐」から推測できるように、二番目の立場から、上に立つ人を支えること、また支える人を「佐」で表します。 「たすける」意味の漢字では最も広く使われるものが「助」(手を貸して相手の力を増す)で、「たすける」を漢字で書く時は「助ける」を用います。 「援助」の「援」にも「手をさしのべてたすける」、「介助」の「介」にも「間に入ってたすける」意味があります。「扶助」「扶養(生活ができるように養ってたすける)」の「扶」も「たすける」漢字です。扶…フ つくりが「左」の「佐」に対して、つくりが「右」の「佑」にも「たすける」意味があります。「天佑=天祐」のように「神や仏、天からのたすけ」という意味合いでも使われる字です。 余談ですが、日本では左右の左が上位とされますが、国際的には右が上位とされます。中国の左上位から「左遷(地位が下がる、僻地に飛ばされるのように、待遇が悪くなること)」という熟語が生まれました。 「たすける」漢字は様々です。それだけいろいろな助け方があるんですね。ちょっと考えさせられました。
November 27, 2023
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スマホとパソコンの時代、手で書く作業がないと、どんどん漢字を忘れていきます。病院で「循環器科」と記入しなければならないときに「!」漢字が出てきませんでした。 「環」と「還」で混乱。意味も「めぐる」で似ているこの2つ、どう使い分けるのでしょか。 男女ともに「環(たまき)」さんという名前の方がいらっしゃいます。「環」の意味はドーナツ状の玉です。なので、「環」の字は「ぐるりとまわりを取り囲む」「ぐるりと回る」という意味になります。 「還」は「元へ帰る」「再び」です。「環」のようにぐるっと回って帰ってくるのではなく、ストレートに往復してもどるイメージです。 「循環器」は、血液やリンパ液の流れに関わる器官です。たとえば血液なら、心臓から出て全身をぐるっと回ってまた心臓にもどってきますから「環」の字なんですね。環状線と言われる「まーるい山手線」のイメージです。
November 19, 2023
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「学問や技能を深めた人ほど謙虚になる 」という意味のことわざ。穂…スイ、ほ 税…ゼイ 「税金」の「税」は、のぎへんですが、穀物を年貢として国に納めたのでこの漢字になりました。音符(音を表す部分)は「兌」(タイ、ダ、エイ、エツ)です。 昔の紙幣は「日本銀行兌換券(だかんけん)」といい、金貨・銀貨との交換を保証する物でした。兌換券は国が用意できる金貨・銀貨の量によって流通が制限されてしまいます。経済の発展のためにはマイナスです。 日本の紙幣は昭和17年に不換紙幣にかわりました。 このように「兌」には「引き替える」の意味があります。ほかにも「抜け出る」→「脱」、「するどい」→「鋭」、「よろこぶ」→「悦」「説」と音に加えて意味も共通する漢字もあります。
November 17, 2023
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巡…ジュン、めぐ(る) 循…ジュン 「まわる、めぐる」に当たる漢字はいろいろあります。「巡回」「循環」「周回」と、同じような意味の漢字を重ねた熟語もできています。 「巡回」「巡視」の「巡」は、回りながら「見る、注意して見る」時に用いられます。おまわりさんの「巡査」を思い浮かべるとわかります。「循環」の「循」は、回りながら元の場所に帰ってくる、何かを運びながら回る時に使います。 「循環器」は、血液やリンパ液を体内で輸送し循環させる器官です。血液は酸素や栄養を体全体に行き渡らせるように運搬する役割を担っています。リンパ管は、血管からしみ出た水分を血管内にもどす働きをします。どちらも血液または血液の成分を運びながら体内を回っています。 「循環バス」も人を運びながらぐるっと回って始点までもどってきます。 JRが国鉄といった時代には、循環電車も多く存在しましたが、現在は少なくなりました。東京の山手線と大阪の環状線が代表です。同方向に走る環状線はダイヤを密に組みやすくなりますが、ひとたびダイヤが乱れてしまうと戻るまでの時間は長くかかってしまいます。
November 5, 2023
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遜…ソン据…す(える)す(わる) 傲…ゴウ 「据」の字には「おごる」のイメージがありませんでしたが、「倨」に通じて「おごりたかぶる」意味も持つのですね。 中国で元々使われた意味より、日本で使われ始めた「すえる」の意味で使うことが圧倒的に多い字です。 「おごる」と言えば「傲慢」「傲岸」の「傲」が頭に浮かびます。 「傲岸」は「おごり高ぶり、威張りかえった様子」。「岸」は「高い、大きい」→「高ぶる」の意味で熟語の「傲岸」になると「傲」ぶりがますますひどくなります。 「傲岸不遜」でさらに「人を見下す」様子が強まります。「遜」は「謙遜」の「遜」で「人より下がって譲る」ですが「不遜」で「偉そうにする、人を下に見る」です。 「上から目線」はいただけませんね。
October 28, 2023
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四字熟語に登場する「雲」の多くは、どっと湧き起こり、消えていくものです。☆雲合霧集…雲や霧が湧くように群がり集まる。多くの人が一時にどっと集合する。出展は「史記」。 コロナ騒ぎが収まった後の、週末夜の我が家周辺の状況です。(居酒屋や飲食店が多いので。)☆雲散鳥没…雲が散り、鳥が姿を隠すように、あとかたもなく消えること。雲散霧消。 企画していたこと、人間関係がたち消えるときや、気持ちのもやもやが消えるときにも使います。☆雲煙過眼…雲やかすみが目の前を過ぎ去っていつまでも留まっていないように、物事にこだわらないこと。 「煙」は、「けむり」ではなく、「雲」との対比から「もや、かすみ」の意味でしょう。たばこの煙が目の前に現れるイメージではないですね。分煙の時代ですし。☆雲蒸竜変…雲のように湧き起こり、竜のように変幻自在に活躍する。 英雄が機会を得て活躍すること。 ヒーローもののオープニングを思い出してしましました。○○レンジャー!○○ライダー!☆雲心月性…名誉や利益を求めない無欲な心。「雲のような心、月のような性(さが)」天にある雲や月ですから、世俗を超越した超然とした、また人の手で触れられない清らかなという意味になります。 この言葉ができた当時の雲や月は、手の届かない存在でした。今は飛行機から雲を見下ろし、月の表面に着陸する時代ですから、「名誉や利益を求めない無欲さ」がどんどん遠ざかっているのでしょうか。銀河系外の星の心、性まで言及しないとならないですかね。
October 24, 2023
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「危急存亡の秋(とき)」という言葉があります。諸葛孔明の文にあるそうですが、「国が存続するか、滅亡するかが決定する重大なとき」という意味です。現代では「生死の瀬戸際」というような意味合いにも使います。 「秋」には季節だけでなく「大切なとき」の意味があるのですね。「春秋」にも「一年、歳月」の意味があります。 簡単な漢字にも思いがけない意味があって、「あれ?」と思うことがあります。二子玉川 屋上庭園のススキ 今年は10月も半ばまで暑さが続いて、最近ようやく過ごしやすくなりました。
October 12, 2023
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徴…チョウ 懲…チョウ こ(りる)、こ(らす)、こ(らしめる) 10月1日は「法の役割や重要性について考える」法の日です。 法律となると、用語から難しくて一歩引いてしまいますが、法律にしか使わないような「懲」を見てみます。 懲役と禁固は、どちらも受刑者の自由を奪う「自由刑」と呼ばれる刑罰です。懲役では、刑務作業が強要されますが、禁固には作業をしなければならないという義務がありません。(希望により作業参加もできます。) 禁固刑はもともと政治犯などに課せられた経過から、作業の義務がなかったようです。 一般に懲役のほうが禁固より重いとされますが、無期禁固刑では懲役より重くなるケースもあります。 会社など(使用者)が労働者に対して行う処分に「懲戒」があります。戒告、減給、降格などと処分は重くなり、一番重い処分が懲戒解雇です。「懲」の意味が「過ちを二度と犯さないように懲(こ)らしめる」ですから、こんなことにならないようにしたい漢字の1つです。 「懲」の音符は「徴」チョウ。「天子が召す」の意味から、徴用、徴税の熟語になります。過度に厳しい徴用、徴税は勘弁してほしいもの。
October 1, 2023
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大阪城パノラマから「陣」陳…チン 述…ジュツ、の(べる)陣…ジン 申…シン、もう(す) 「陳述」は意見や考えなどをきちんと筋道立てて話すことで、ミステリーの法廷場面でおなじみ?です。 「述」の意味は「申」とも共通します。どちらも「きちんと、筋道立てて」が大事だと感じられます。「申請」「申告」も書類がいい加減では通りませんね。 「陳」と「陣」にも共通の意味があります。軍隊の隊列を表す漢字なのです。「連ねる」から来ています。
September 26, 2023
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拍…ハク、ヒョウ 「拍」は、「両手を合わせてたたく」で、そこから拍子をとる、楽器、石などを投げ飛ばす兵器の意味も出てきました。音符は「白」ではなく「百」です。 神社で打つ「柏手(かしわで)」は、「拍手」の漢字が誤って伝えられたのでは、とも言われます。柏の葉拝…ハイ、おが(む) 神社では柏手を打って「拝(おが)み」ますが、この「拝」は、最も丁寧なお辞儀の形です。 へりくだって相手を敬う意味で手紙によく使われます。「拝啓」はポピュラーな手紙の書き出しで、「つつしんでおたより申し上げます」という意味になります。 何でも「拝」をつければいいというものではありませんが、「拝見」「拝聴」「拝読」など「拝」をつけて「~させていただく」になる熟語も多いのです。
September 18, 2023
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塾…ジュク 熟…ジュク、う(れる) 「塾」の漢字は、門の両脇に設けられた小部屋を指しました。ここで、家族や使用人にものを教えたことから、「学問・技芸を教えるための私設の学舎」の意味になりました。 学習塾のルーツは平安時代まで遡ります。 貴族の子弟の教育は家庭内で行われました。紫式部が兄より漢文を覚えてしまったので、父が「この子が男の子であったら…」と嘆いたという話は有名です。このころの男性貴族の教養は漢学、女性の教養は、書を書き、和歌を詠み、琴を弾きというものでした。 庶民の教育は寺院が担っていて、江戸時代に寺院から離れた場所で開かれるようになっても「寺子屋」の名称が残りました。 江戸時代には、学者が自らの自宅に学生を集め、儒学・蘭学・医学・兵学などを教えた私塾も存在しました。中には「慶應義塾」のように現代の大学につながっているものもあります。 同じく孰(シュク)の音符を持つ漢字の「熟」は、常用漢字表内の読み「う(れる)」と表外の読みを見ると意味がわかります。「う(れる)」=習熟する。慣れる。「に(る)」=煮る。「こな(れる)」=すっかり身につく、熟練する。「つらつら」→つらつらと=改めて広い視野に立ってものを考える。 野菜や果物は「完熟」がおいしそうです。パンの「超熟」は何かと思いましたが、小麦粉を熱湯でα化してから、低温でゆっくり長時間熟成させてから焼き上げる製法だそうです。
August 28, 2023
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局…キョク 郵便局 初めて「美人局」なる熟語を見たときは、頭の中が?でいっぱいになりました。「美人局(つつもたせ)」は、男が自分の妻や恋人に、被害者の男性を誘惑させ、それをネタに金品をゆすり取る行為です。 たとえば女性が気のあるそぶりを見せて、でれでれになった被害男性がホテルに誘ったところに、男が現れ「おい、わしの女房になにしとるんじゃ」という展開に。 漢字の「美人局」は、中国で使われた犯罪の名前です。読みとして当てられた日本語の「つつもたせ」は、元はサイコロ賭博のイカサマのことで、そこから「詐欺」の意味で使われるようになりました。 漢字の「局」は、囲碁・将棋が元になった熟語も多いです。 「局面打開」=進展がなくなった事態の解決方向を見いだして、新しい解決に向かうこと 「着眼大局」=細かいことに囚われず、全体を見ること。
August 23, 2023
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浸…シン、ひた(す)ひた(る) 侵…シン、おか(す) 小学校5年生の理科で「流れる水の働き」を習います。実際に山を作り水を流す実験から、地形が変わっていくことを学習します。 中1の理科になると、その学習を発展させて「流れる水の働き~侵食・運搬・堆積」から地層のでき方を学習します。 水に関わることなのですが、学校では「浸食」を使わず「侵食」を使います。 教科書に使用される漢字は「義務教育諸学校教科書図書検定基準」に基づいており、「侵食」に統一されているからです。 ただ、社会一般には厳密に決まっていないので、「浸食」と書かれた辞書や本も見かけます。「侵食」のほうが水に限定されず意味は広くなります。「浸食」と「侵食」以外の区別はわかりやすいです。 侵害…他人の権利や所有を侵して損害を与えること。浸害…水につけて損害を与えること。
August 17, 2023
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「一人称」は話し手自身を指す語です。 英語の一人称代名詞Iは、語と語の関係、文の構造を示すために使われます。文中でどう使われるかによって、主格I、所有格my、目的格meなどの変化があります。 対して、日本語の一人称は言葉全体の形が変わることなく、異なる助詞が付くだけです。 わたしを例に取ると、I(わたし、わたしは、わたしが)my(わたしの)me(わたしに、わたしを)です。 日本語の一人称代名詞は、英語と違って言葉自体の元々の意味がはっきりしているものもあり、一般名詞と明確に区別できません。 わたし=公に対する「個人」の意味の「わたくし」から、僕=へりくだる「しもべ」の意味から、手前=話し手の側を指す、など。 日本語の人称代名詞の難しさは、立場や場面による使い分けがあること。 会社にいらした顧客に「俺が誠意を持って対応させていただきます。」と言えないことです。 改まった席では男女とも「わたくし」を使うのが間違いないところです。 普通に使う一人称代名詞は、女性なら「わたし」(無難)「あたし」(「わたし」が変化した語で言いやすい。砕けたいい方で、ちょっと安っぽく聞こえる)さらに変化すると「あたい」(江戸言葉で、幼児語でもあった。さらに安っぽい。今は子どもでも使わないと思います。)「ぼく」(独特のキャラになります)「わたくし」(普段使うのはお蝶夫人?) 男性なら「おれ」(現在一番ポピュラーかも)「ぼく」(まじめか?やや幼く聞こえます)「自分」(体育会系?)「おら」(しんのすけ)「わし」(若い人が使うのを耳にします。アニメなどではおじいさんが使っていますが、今の高齢者がリアルで使うのを聞いたことがないんですが…?) 以下は一般的ではありませんが。「おれさま」(ジャイアン?ばいきんまんか?)「おいどん」(西郷さんと同郷の方ですね?)「拙者」(武士でござるorオタクでござる?)「小生」(書簡の中で昔使われた一人称です)「余(よ)」(漱石先生の時代なら…)「手前」(商人の方?でなければ仁義?)「吾輩」(猫ですか?それとも閣下ですか?)「わて」(上方のかたですね)「わらわ」(大奥?)「みども」(武士でござるよ) 〝全てがIになる〟英語より難しいかも。 私…シ、わたくし、わたし 「僕」は常用漢字外です。もとの意味が「しもべ」なので平仮名表記のほうが好ましいと思います。
August 1, 2023
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摯…シ 誠…セイ、まこと 「真摯」(まじめで熱心な様子)の「摯」と「誠」(嘘偽りがない)はどちらも真面目な内容の漢字です。 誠心誠意または誠意誠心…真心をもって純粋に相手に尽くすこと 開心見誠…隠し事をせず、誠意をもって相手に接すること 巧偽拙誠…どんなにうまく騙しても、下手なりに誠意のこもった言動には かなわない。 真摯に努力して、誠意をもって人に対する人が報われる世であってほしいものです。
July 28, 2023
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圏…ケン スマホの「圏外」でおなじみの「圏」は、字形からしてわかるように、囲われた中を示しています。 スマホの「圏外」は、電波の届く範囲外という意味です。 「スペースシャトルの大気圏突入」の「大気圏」も、地球を取り巻く大気が存在する範囲をいいます。「通勤圏」=通勤できる範囲「圏点」は傍点のことで、文の中でも強調した部分、注目してほしい部分につける点やマークです。
July 22, 2023
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線…セン 腺…セン 桟…サン 「線」の音を表すのは「腺」と同じく「泉(セン)」だと思っていましたが、「桟」と共通の「戔(セン→サン)」でした。新字体では「浅」「残」「践」「銭」の形になります。 「線」の本来の字が「綫」だったということで納得しました。 「線」は、まっすぐ続くすじ、細長いものです。「線路」「電線」「曲線」のような熟語が思い浮かびます。ーーーーーー 「腺」は、体の中で、涙、汗、ホルモン液を分泌する器官です。感動する話、悲しい話に「涙腺崩壊」する、とめめどなく溢れる涙は、こんこんと湧く「泉」のイメージです。 涙腺は生後二週間しないと完成しないので、生まれたばかりの赤ちゃんは泣いても涙が出ていないそうです。 「内分泌腺」は、ホルモンを分泌する器官で、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、膵臓のランゲルハンス島、副腎などから分泌されます。 「桟木(さんぎ)」は建設に使う木材。コンクリートを流す型枠にしたり、屋根に瓦を載せる際、横に渡したりして使います。「桟」というと、障子の桟(骨組みになる細木)が一番身近です。|||||桟橋
July 16, 2023
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拷…ゴウ 目にしたくない漢字です。「考(コウ)」が音符になります。 「考」の音仲間はほかに𣑥、烤があります。(常用漢字外) 𣑥…木の名前で、山樗(さんちょ)。一説にミツバウツギ科のゴンズイ、またはウルシ科のヌルデだともいいます。 →白栲(しろたえ)…①カジノキやコウゾなどの木の皮の繊維で織った白色の布。白妙。→②白い色「しろたへの」は枕詞で、衣、袖、帯、紐などにかかります。また、白い色から、月、雲、雪、波などにかかる場合もあります。 烤…火で熱する、あぶる。 6月26日は「拷問被害者を支援する国際デー」で、1984年に「拷問その他の残酷、非人道的もしくは屈辱的処遇および処罰を禁止する条約」が発効しました。
June 26, 2023
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諸…ショ 緒…ショ、チョ、お 「諸君」の「諸」と「由緒」・「情緒」の「緒」は、どちらも「者」が音を表しています。「者」はシャ、ショ、チョの音になります。 旧字体が「者」(、が入る)で、常用漢字の中にも「者」と「者」の両方が混じっているのが、わかりにくいところです。 勝って兜の緒を締めよ…戦いに勝ったときこそ気を引き締めて、油断しない ように。 戦国時代の武将、北条氏綱が、息子の北条氏康に残した『5箇条の訓戒』の中 の言葉です。戦いに勝って、くつろごうと、兜の紐を緩めたときに返り討ちに 遭う虞があることから。 騎馬戦でも、さいごまで帽子の緒はしっかり締めて?おこう。油断しないよ うに。 諸行無常…『平家物語』の冒頭に出てくる有名な語。もとは仏教の教えから。 「諸行」は、この世の全てもろもろの事象。「無常」は変化しないものはない、 ということ。 諸説紛々…「紛々」は、いろんなものが入り乱れることです。「諸」は様々 な、多くの、の意味なので、いろんな説が入り乱れてまとまりがないことを言い ます。 または、根拠のない説が入り乱れて、本当のことがわからないことです。 諸刃之剣…もろはのつるぎ。「諸刃(両刃)」は、背と腹に刃がついた剣で、 使い方によっては使用する人にも危険が及びます。そこから、「役に立つもの も、使い方を間違えると危険が及ぶ」「大きな利益を得られる可能性も、大きな 被害を被る可能性もある」ことの例えになります。
June 22, 2023
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込…こ(む)、こ(める) 弾を込める 「混雑する」意味の「こむ」は、2010年に「混」が常用漢字に追加されてから「混む」と表記されるようになりました。 それ以前は「込む」を使用する例が多くありました。その歴史から、現在も「込む」と書いても完全な誤りとはいえません。 「スマホのデータをパソコンに取り込む」「送料込みで○○円」という場合の「こむ」は「込む」で、「混む」は誤りです。中に入れる、含む場合の「こむ」は「込む」になります。「入」に「辶」がついた字形を見ると理解できます。 東京都に「牛込(うしごめ)」「馬込(まごめ)」「駒込(こまごめ)」という地名があります。 「牛込」は新宿区で、漱石や尾崎紅葉が住んだ場所です、かつて牛の飼育舎があったことから付いた地名です。 「馬込」は大田区。馬の牧場として使用されたことが地名の由来です。「馬込文化村」と呼ばれ、大正から昭和にかけ、多くの文士や芸術家が住みました。 川端康成、三島由紀夫、尾崎士郎、宇野千代、石坂洋次郎といった錚々たるメンバーが挙げられます。 「駒込」は豊島区。駒はもちろん馬で、戦国時代からこの名があったそうです。
June 18, 2023
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伺…シ、うかが(う) 嗣…シ 音符が「司」(シ)の仲間から「伺」と「嗣」を取り出してみます。 謙譲の「伺」 「伺う」は、「尋ねる(質問する)」「訪ねる(相手の元へ行く)」の謙譲語(自分がへりくだる言葉)になります。「明日伺ってもよろしいですか?」「ご用件を伺います」などと使い、目上の人の動作には使えません。 「何でも伺ってください」などと言うと「あなたは敬語を勉強していますか?」と返されそうです。 跡継ぎの「嗣」 川崎には、障がい児者の支援について、時代を先取りしてきた素晴らしい元教員がいらっしゃいます。その方が作り上げてきて、理事長をされているNPO法人にずっと入ってきました。 障がい児者やご家族が望む支援に、自分のもっていらっしゃるほとんどの時間を捧げてきた方です。人格的にも素晴らしく、誰にでもいつも穏やか、おおらかで「神!」の様な方です。 その先生を慕う後輩の教員や障がいのある方、親たちは多く、退職後の教員の中には、NPO法人の業務に深く関わってくださる方もたくさんいます。ですが、先生ご本人が余りにも偉大すぎて誰も跡を継ぐことができません。「嗣」がいないのです。 以前、ひとりでは無理だから分担して仕事を引き継いでいこうという話も出ました。が、先生からすると、大変すぎて他の誰にも任せられない(本音では、先生以上に仕事ができる人がいないので、任せられないという思いもあったかもしれません)ようで、話は立ち消えになってしまいました。 仕事は分担していますという形にはなっていますが、肝心な、県や市との折衝、渉外や、利用者さんとサポーターとのコーディネートなどは全て先生の手に任されています。 先生はかなりの高齢になられました。周りを固めている元教員の方たちも、退職後の方々なので、若くはありません。皆さん、ばりばりで、頭もわたしなどの10倍、100倍働く方たちではありますが。 先生が倒れるまで仕事をされて、その後はもしかしたらやっていけない事業が出るのかな、と半分はあきらめています。余りに素晴らしすぎる方の「嗣」になるのは難しいですね。していることのレベルを下げてでも、次世代につなげる必要があったのではと考えてしまいます。
June 11, 2023
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俊…シュン 唆…サ、そそのか(す) 傑…ケツ 「俊足」の「俊」と「教唆」の「唆」は、同じ音符「夋」(シュン)を持ちますが、音が変化して「唆」の読みは「サ」です。 「唆」は訓読みからわかるように「そそのかす」意味です。「示唆」=それとなく知らせる。ほのめかす。アイドルファンを怒らせる「匂わせ」というところでしょうか。 実際に犯行を行った正犯に対して、罪を犯すようにそそのかす、仕向けるのが「教唆犯」で、正犯と同じ刑罰が適用されます。 「俊」と「傑」は、常用漢字表外の読みに「すぐ(れる)」があるので意味が分かります。私が引いた辞書には「俊」は千人に一人というほどの、「傑」は一万人に一人というほどの、優れた人と解説がありました。「俊」<「傑」? 「偉」(大きくてすぐれる)「勝」(ほかにまさってすぐれる)「逸」・「逸」(ぬきんでる)「駿」(足の速い馬→すぐれた)「優」(成績などの評価が高い)など、すぐれた漢字はほかにもたくさんあります。すごいなあ。
June 4, 2023
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懇…コン、ねんご(ろ) 墾…コン 拓…タク 「懇談」(親しく、打ち解けて話し合うこと)の「懇」と、「開墾(荒れ地を切りひらいたり、干拓して耕地にすること)」の「墾」には、共通の音「コン」を表す部分「貇」があります。 中には変化してしまった音もありますが、得意な漢字の音符を覚えておくと、初めて見る漢字の読みもある程度予測できます。 たとえば、「青」は「静」「精」「請」「清」の音を表し「セイ」。ただし「情」は「ジョウ」です。「錆(さび)」になると、旧字の「靑」が音符になっていますが読みは「セイ」。「発錆」でハッセイ。墾、拓 「墾」と「拓」それぞれの意味は「心」と「土」の部分によります。字形は似ていますが、「心」と「土」に着目すると、間違えずにすみます。 「墾」と「拓」には、常用漢字表外の読みかたですが、「ひら(く)」の訓読みがあります。「墾」も「拓」も「土地をきりひらく」という意味をもつ漢字です。 漢字は共通する音符や訓読みを手がかりに芋づる式に覚えるのがお勧めです。
June 3, 2023
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粗忽者なので、似た漢字は間違えそうになります。なしとげるの「遂」と追うの「逐」もその一つ。 逐…チク 遂…スイ、と(げる) 悪貨(あっか)は良貨を駆逐する …通用する価値が同じで、質のよい貨幣と質の悪い貨幣があれば、質のよい貨幣はしまい込まれて使わなくなります。従って世の中に流通するのは悪貨ばかりになります。 →俗悪な文化がはやり、良質な文化が衰退すること。また、悪人がはびこること。 功成名遂(功成り名を遂ぐ。)…大きな功績を上げて世間からの評価が上がる こと。 随波逐流…自分の考えや意見を持たずに、世の中の大勢の流れに便乗する こと。「随波」は波に乗り従う、「逐流」も流れに乗ること。 舎本逐末…物事の根源となる大切なことをおろそかにして、必要のない些末な ことに関心を持つこと。「舎」は「捨」と同じ、「舎本」で根本を捨てること。「逐末」は末節を追うこと。
May 30, 2023
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蚕…サン、かいこ 桑…ソウ、くわ 桑↑ 母方の祖母は養蚕に関わったことがあるらしく「おかいこさま」という言葉を使っていました。かつては日本の輸出産業の主力商品であった生糸を生み出す蚕は、神格化されるくらいの存在でした。 野生の「蚕」はいません。屋内で人の手を経て桑の葉を食べる以外、生きる手段を持たない生物です。実験によると、人の手を離れた蚕は自分からは食物を探そうとせず、死んでしまうそうです。 「桑田変成レ(返り点)海」…「滄海桑田」、「桑田滄海」とも。陸地だった桑畑が時を経て大海となる。→世の中の移り変わりが激しいこと。仙女の麻姑が、大海が桑田に三度変わったのを見たという、中国『神仙伝・王遠』の故事から。「桑田変成海 松柏墔為薪(しょうはく、くだかれて、たきぎとなる)」「桑弧蓬矢」…桑でできた弓と、よもぎでできた矢。→昔、中国で男子が誕生したとき、この弓と矢で四方を射て将来の雄翔を祈ったことから。→男子が志を立てるたとえ。また、遠大な志。「桑蓬之志」とも。
May 13, 2023
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恭…キョウ、うやうや(しい) 順…ジュン 「恭順」という熟語があります。「恭」は「恭賀新年」の「恭」で、「謹んで」の意味。「順」は「従う」の意味があり、「恭順」で「謹んで従う」になります。 良い意味ではなく、「自分より立場が上の、他人の意志に従う傾向にある。いいなりになる。」「権力におもねる。」という意味で使います。「長いものにはまかれろ」「寄らば大樹の陰」といったところでしょうか。 同義語は「追従」「服従」、対義語は「反逆」「叛逆」になります。「恭」も「順」もそれぞれではいい意味なのですが、熟語になるとちょっと残念な漢字です。
May 9, 2023
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醸…ジョウ、かも(す) 壌…ジョウ 「醸造」「吟醸」などの「醸」は、「酉」が意味を表し、酒を醸すこと。アルコール醸造は古い歴史を持ちます。新石器時代には既にワインが作られていたといいます。そのアルコールに、天然の酢酸が作用して偶然酢ができたと考えられています。 「土壌」の「壌」には、土地と、さらに大きい大地の意味があります。 天壌無窮…天地に終わりがないように、物事がいつまでも続いていくこと。 「無窮」は極まりない→永遠、永久。「天地長久」「天長地久」 鼓腹撃壌…善政が行われ、人民が不満ない生活を楽しむこと。また、世の中が 平和なたとえ。 中国の尭帝が町の様子を見に行ったところ、一人の老人が満腹になった腹を 打ち鳴らし、地面を踏んで拍子を取りながら、世の平和を喜ぶ歌を歌っていた ので、安心したという故事から。 共通の音符は、「襄」ショウ→ジョウです。音を表す部分ですが、共通の意味をもつ字もあります。
April 21, 2023
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克…コク 社会の教科書に出てくる「下克上」(下剋上)は、目下の者が上の立場の者に打ち勝って権力を手にすること。斎藤道三の美濃の国盗りはその典型です。 克伐怨欲…「克」は必要以上に人に勝とうとすること。「伐」は自分の功績を 誇る。「怨」は些細な恨みを根に持つこと。「欲」は満たされることない貪欲を 言います。合わせて四つの不道徳。自分にはないと否定できないかも(汗)。 克己復礼…顔淵が師の孔子に「仁」について問うと、孔子が「己に克ちて礼に 復す」と答えた故事から。 「克己」は自分の欲望や邪念に打ち勝つこと、「復礼」は礼の本質に立ち返る ことです。「剋己復礼」 人に勝とうとするより、自分の欲や怠け心に勝つほうが大事ということですね。
April 12, 2023
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常用漢字表内で「みち」と読む漢字は「道」だけですが、表外の読みでは「路」「途」「径」「軌」も「みち」と読めます。意味の違いは大体以下のようです。 「道」はしんにょう(「行く」の意味)と「首」からできています。 古代中国で新しく道を開くとき異民族の首を掲げたから、または首を埋めて土地を清めてから道路を作ったことから、「首」がつく漢字ができたと言われます。なかなか怖い。 「道」は、物理的な「みち」のい意味から発展して「人として歩むべき道」「芸術の分野や教え」という意味でも使われます。 「路」は「道」ほど長くないみちで、幹線道路の「道」と「道」をつなぐ、枝のみちというのが元々の意味でした。そこから、水を通す「水路」のように、「特定の目的のために整備された移動する場所」といった意味を持つようになりました。大山街道 「径」は歩行者が通る小道、細道の意味です。「直径」「半径」のように「さしわたし」の意味で使われることも多い漢字です。 「途」は「途中」などの熟語があるとおり、ある場所からある場所へ行く間に焦点が当てられます。 「軌」は「軌道」のように、ここしかないと決まった道筋を言います。
March 31, 2023
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肖…ショウ 消…ショウ、け(す)、き(える) 削…サク、けず(る) 「消」の音符は「肖」。「肖」がつく字には、「鞘」のように旧字体がそのままの字と、「梢」のように新字体になっている字が併存します。 肖り者、肖者…あやかりもの。他の人からそうなりたいと羨ましがられるほど 幸せな人。果報者。 反対に「不肖の(息子、弟子)」というときは、親や師に似ず、できが悪いこと。または自分を謙遜して言う言葉。 意気消沈…落ち込むこと。テンションだだ下がり状態。「意気銷沈」 雲散霧消…雲が風に吹き散らされ消えるように、また霧が消えていくように、 物事が跡形もなく消えること。 →心の中のわだかまりや悩みが消えて晴れ晴れとすること。 消息盈虚(しょうそくえいきょ)…時代が変化していくこと。 「消息」は、消えたり生まれたり。「盈虚」は満ち欠け、または繁栄と衰退。
March 14, 2023
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宜…ギ 花札の短冊で「あのよろし」と読める字がありますが、正しくは「あかよろし」で、「明らかによろしい」という意味です。 現在「よろしい」は仮名書きでにしますが、漢字にするなら常用漢字外の読みで「宜しい」になります。大体は「○○さんによろしくね」「宜しくお伝えください」という形で使います。 「よろしい」は、やや時代がかった言い方で、普通に使われるのは「よい」になりますね。 昔は、「よし」と「よろし」ははっきり使い分けられていました。「よし」が、積極的に優れていることを認めるのに対して、「よろし」は「悪くない・まあいいか」くらいの消極的な言葉でした。それぞれ反対語は「あし」「わろし」です。 よし…好し、良し、善し。 ①立派だ。上等だ。 ②きれいだ。美しい。 ③優れている。賢い。 ④高貴だ。身分が高く、教養がある。 ⑤上手だ。 ⑥豊かだ。幸せだ。 ⑦感じが良い。快い。好ましい。 ⑧適当だ。ふさわしい。都合が良い。 ⑨親しい。 よろし…宜し。 ①まずまずだ。悪くない。 ②好ましい ③ふさわしい。適当だ。 ④普通だ。ありふれている。 「よし」は、褒め言葉オンパレードです。
February 25, 2023
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旨…シ、むね「趣旨」(物事の理由や目的)「その旨」(そのような内容)と使う「旨」の漢字は、常用漢字表外の読みで「旨(うま)い」と読みます。 食レポで「旨い、旨い!」と連呼されると、「おいしい」と言われるより食べたくなりますが…。 「旨い」のもとは、古語の「旨し(甘し、美し)=うまし」です。「うまし」…①おいしい ②都合がよい、具合がよい ③すばらしい、立派だ別に同じような意味を持つ「いし」という形容詞がありました。「いし」…①よい、好ましい、みごとだ ②けなげだ ③味がよい、うまい この「いし」は室町時代に、「お」がついて、女房詞(にょうぼうことば)の「おいしい」になり、現代語の「おいしい」につながりました。 現代では「うまい」…①味が好ましいので、もっと飲み食いしたくなる感じだ。 ②技術や、やり方が優れていて、好ましい結果を得られる様子だ。上手 ③得をすることが見込まれて、飛びつきたくなる感じだ。と、大体「うまし」と変わらない意味で使われます。「おいしい」…「うまい」のやや上品な言い方。ただし、「うまい」の②の意味には使われません。うまい汁を吸う(甘い汁を吸う)…自分の地位を利用したり他人の手柄に便乗して、苦労なく利益を得る。→この場合の「甘い」=「おいしい」の意味です。政界・ビジネス界でありがちな用語でしょうか。うまい(おいしい)話には気をつけよう…できすぎた話には裏があるので気をつけよう。→食べても太らないサプリ、絶対儲かる投資の話などなど世の中罠だらけ。おいしいところを横取りされた…自分の利益や手柄になるべき成果を横取りされた。→要領がいい上司や同僚に言えるかも。
February 22, 2023
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礼…レイ、ライ ストレートな無礼を表すのが「傲岸無礼」傲岸無礼=傲岸不遜。おごり高ぶって人を見下し、謙虚な気持に欠けること。 類語に「傍若無人」。 内面の無礼を表す「慇懃無礼」慇懃無礼…言葉・態度が丁寧すぎてかえって嫌みであること。また、表面だけは 礼儀正しいが、内面で相手を見下していること。無礼講…身分・地位にこだわらず、ざっくばらんに宴会を楽しもうとすること。 上司の方から「今日は無礼講で」と言うものです。 間違っても部下が言い出したり、羽目を外しすぎてはいけません。
August 24, 2022
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諦…テイ、あきら(める) 「諦観」には二つの意味があります。① 元々の意味は「本質をしっかり見極める」。仏教用語から来たことばです。② 現在多く使われる意味が「あきらめて超然とした態度をとること」。 「諦」の漢字を見ただけで、「あきらめる」→ため息をついて、投げやりになる、ネガティブなイメージしかありませんでしたが、「あきらめて悟る」「超然した態度で臨む」という、もっと前向きな「あきらめる」の意味を持つ漢字だったんですね。反省。
July 24, 2022
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裂…レツ、さ(く)「もじバケる」という昔のおもちゃが出てきました。さそり?に変形するらしいのですが、のび太君「もうできないや」(^_^;) 「裂」は「衣」が部首、意味も絹の端切れ、それを引きさくの意味です。 不要になった布を裂いて、織ると、裂き織りができます。マットにちょうどいい出来上がりになります。 下のマットは、昔さおりを仕事にしていた障がいのある人たちの作業所で、よしこさんが丁寧に織ってくれた作品です。 着なくなったTシャツを染めて裂いて三つ編みにしてから丸く巻いて縫うと、コースターに。裂き編み?
June 30, 2022
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唾…ダ、つば「固唾をのむ」…成り行きを心配しながらじっと見守ること←できることがなく、 唾を飲み込んで見つめる様子から「唾を付ける」…人に取られないように前もって関わりをもっておくこと。「唾を返す」…目上の人に言い返す。口答えする。「天を仰いで唾する」…特定の相手に不利益を与えようと行動して、かえって自分 の不利益になること。←上を向いて唾を吐くと自分に降りかかって くることから唾を吐いたり、飲み込んだり、忙しいことです。
June 12, 2022
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「覆水盆に返らず」ということわざをよく聞きます。「一度こぼしてしまった水が元の器に戻せないように、やってしまったことは取り返しが付かない」の意味です。(「盆」は水や酒を入れる皿や杯のような容器で、平らなお盆ではありません) 元々は「覆水難収」→「覆水収め難し」という『後漢紀』の言葉です。 後漢の霊帝の治世、霊帝の生母と皇后一族が勢力を争っていました。黄巾の乱の後、政権を手にした皇后の外戚、何氏が宦官を討ち果たそうとするのを皇后の弟、荷苗が止める言葉がこれでした。「覆水難収=ことが起こってからでは取り返しが付きません」と止める意見が通らず、後漢の国の秩序は乱れ、争乱の時代に突入します。 宋代の蘇軾の詩にも「覆水瓶に返らず」の表現が見られますが「覆水盆に返らず」という表現は中国では見られません。盆はどこから来たのでしょう。日本に入ってきてから盆になったらしいのですが。 覆…フク、おお(う)
June 4, 2022
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深謀遠慮=深く考え、遠い先まで見通した計画、配慮 今の日本で「遠慮」というと、「行動を控えたり、辞退すること」です。 「駐車はご遠慮ください」=「駐車するな」の婉曲表現。 「遠慮しとくよ」=「やめとくよ、やだよ」 元は『論語』の衛霊公篇にある「子曰く、人にして遠き慮(おもんばか)り無くんば、必ず近き憂い有り」。 「遠慮」は、文字通り「先のことまで考え、困った事態にならないように配慮する」という意味の熟語でした。 謀…ボウ、ム、はか(る) 退…タイ、しりぞ(く) 参照元:阿部幸信『中国史で読み解く故事成語』山川出版社
May 1, 2022
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猶…なお「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」という故事成語があります。 程度を越えると、足りないのと同じことになってしまうという戒めに使います。 出典は『論語』。 弟子の子貢が、子張(師)と子夏(商)のどちらが優れているかを孔子に問いました。 孔子は「師は過ぎているが、商は及ばない」と答えます。さらに、過ぎているのがいいわけではなく「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」と言いました。 結局、適度が大切ということです。 「薬も過ぎれば毒になる」「分別過ぎれば愚に返る」「礼も過ぎれば無礼になる」という言葉もあります。 参照元:堀江忠通「ここから生まれた故事成語」京都書房ことのは新書
April 27, 2022
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「文房四宝」という四字熟語があります。「文房」は書斎のことで、この書斎に不可欠な四つの大切な物を言います。 具体的には筆、硯、紙、墨、森鴎外、夏目漱石さんたちはこれですかね。 昭和になるとさすがに、万年筆と紙ですか。子ども時代は鉛筆、やがてシャープペンシルと消しゴム、ノート、下敷きが四宝でした。 さて今は、タブレットひとつで間に合う時代でしょうか。味気ない気もしますが。使い込んだシャープペンは塗料がはげてきました 消しゴムは昔MONOが消しやすいですが、消しくずが散らない「まとまるくん」もいいです。 古い時代に生きてきたばーばは、シャープペンと消しゴムにこだわって「書く」ことにしています。書かないと覚えられない頭なもので。もちろん「文房」=書斎はありません。 参照元:村上哲見・島森哲夫・編『四字熟語の泉』講談社 墨…ボク、すみ
April 10, 2022
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「風林火山」というとまず思い浮かべるのが、武田信玄の軍旗です。四字熟語がそのまま書かれているのではなく、「其疾如風 其徐如林 侵掠如火 不動如山」が書かれているのですが。 典拠は兵法書の『孫子』です。故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山、難知如陰、動如雷震。――故にその疾(はや)きこと風の如く、その徐(じょ)なること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く、知りがたきこと陰の如く、動くこと雷震の如し。 「徐」は「しずかなること」と読ませるのが日本式ですが、静寂の「しずか」ではなく、「しずしずと」=「ゆっくり整然と隊列を組んで進むこと」です。 中国の文献には「風林火山」と四字熟語として使う例は見られず、日本でも同様でした。 「風林火山」では、「難知如陰」以下を切り取ってしまうところが中途半端で、「不動如山」と対になる「動如雷震」が消えてしまいます。 「風林火山」は井上靖が小説のタイトルに使ったのが始まりではないかと言われています。 四字熟語ではなかった「風林火山」も、いまや、「時勢や情勢に合わせた対処の方法」という意味の四字熟語としてりっぱに活躍しています。 引用および参照元:冨谷至『四字熟語の中国史』岩波新書 兵…ヘイ、ヒョウ
April 6, 2022
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履…リ、は(く) 現代では「くつ」はほとんど「靴」の字を用いますが、衣冠束帯など装束の「くつ」は「履」、革製の装束の「くつ」は「沓」で書き表されました。 『古楽府ー君子行』の「瓜田に履を納(い)れず、李下に冠を正さず」(瓜畑に入ってかがんで脱げかけたくつを直すと、瓜泥棒と間違えられるので、してはいけない。また、李の木の下で手を挙げてずれた冠を直すと、李泥棒に間違えられるので、してはいけない。)からできた四字熟語、故事成語。瓜田の履、瓜田に履を納(い)れず、瓜田李下、李下瓜田いずれも、疑わしい行為をしてはいけないという意味になります。
March 15, 2022
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景…ケイ、ケ 「春和景明」は、春の明るく穏やかな陽気のことです。「和」はやわらぐ、「景」は日光。 似た意味の語に「春風駘蕩」があります。春風がそよそよと気持ちよく様子ですが、温和でのんびりした人柄のたとえにも使います。「駘蕩」は、春ののどかなさまです。 対義語は「秋霜烈日」。 春の美しく彩り豊かな景色を表した語が「桃紅柳緑」です。出典は王維(杜甫、李白と同時代の盛唐の詩人)の『洛陽女児行』。 「柳緑桃紅」も柳の緑、桃の紅色といった春の色彩感溢れた季節の様子を表しますが、そこから、「自然のままで手を加えていない→禅宗で悟りを開いたことを指す」言葉にもなりました。
March 11, 2022
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春の宵は「一刻千金」といいます。出典は、蘇軾『春夜』の「春宵(しゅう)一刻値千金、花に清香あり、月に陰あり」。気持ちのよい春の宵、その貴重な時間を味わおうという詩です。 枕草子第一段で清少納言が挙げるのは「春は曙」。中国文化の影響で、それまで「春は宵」が一般的な美意識でした。今でこそ、枕草子が言う「春は曙」は当たり前になっていますが、この時代には革新的な美意識でした。枕草子全般の記述が、当時の常識を改めてまとめて記述しただけだと思うのは誤りです。 この時代の中国の「一刻」は約十五分ですが、わずかな時間という意味で使われる語です。「一刻千秋」は、ほんのわずかな時間が長く感じられる待ち遠しさを言います。今も昔も恋しい人と会うまでの時間が「一刻千金」でしょう。 参照元:村上哲見・島守哲夫・編『四字熟語の泉』講談社 刻…コク、きざ(む)
March 7, 2022
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誉…ヨ、ほま(れ) 「出藍の誉れ」また「青は藍より出でて藍より青し」は「弟子が師を越えて優れた才能を現す」ことのたとえで使います。 典拠は『荀子』の勧学「学は以て已(や)むべからず。青は之を藍より取りて藍よりも青し。冰(こおり)は水之を為して水より寒(つめた)し。」 本来の意味は、「青色の染料は藍から取るが、もとの藍の葉よりも青くなる」→「学問に励めばもっと高い所へ到達できる」という学問の勧めでした。 「不虞の誉れ」という言葉もあります。「予期せず偶然手に入った名誉」の意味で、自らを謙遜して使う言葉です。間違っても他人に使わないように…。 引用および参照元:堀江忠通『ここから生まれた故事成語』京都書房ことのは新書
February 17, 2022
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