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本のタイトル・作者生贄探し 暴走する脳 (講談社+α新書) [ 中野 信子 ]本の目次・あらすじはじめに 中野信子第1章 なぜ人は他人の目が怖いのか 中野信子「魔女狩り」に見る人間心理の闇幸せそうな人を見ると、なぜモヤッとするの?脳は、誰かと比べないと幸せを感じられないなぜ、「他人の不幸」は蜜の味なのか世界でもいじわる行動が突出している日本人協調性という名の蟻地獄あなたが生贄にされないために第2章 対談 「あなたのため」という正義──皇帝ネロとその毒親人はいともたやすく正義中毒にはまるなぜ読者が、皇帝ネロに感情移入したのか母親や重臣殺害の深層心理国民のアイドルだった若き日のネロ自己評価の低さがおデブの引き金に人の評価が支配する“世間体”という戒律わが子を自己実現の道具にする毒親子の苦痛に共感できない親とは?女は「正義」の使い方を知っている「妬み」の構造間違った褒め方がプチネロを作る第3章 対談 日本人の生贄探し──どんな人が標的になるのかプチネロたちの脳内「群れ」に生じる凶暴な安心感自分の空洞を埋めるための正義なぜ、日本では陰湿な炎上が起きるのか「群れに害をなす」というレッテルファッション化する「正義」匿名で解放された日本人フェラーリで上がる男性ホルモンの値息苦しさが表の顔と裏の顔を作るキリスト教と仏教の救済の違い攻撃する側の脳内を満たす快感「得していそうな人」が生贄になる 第4章 対談 生の美意識の力──正義中毒から離れて自由になる境目の人々に見えている世界なぜ混血児は優秀なのか戦わずして勝つフェデリーコ2世の戦略「理解してくれる人」を人は根源的に求めるエンタメは負のエネルギーを浄化する日本人を変質させた歴史のキーワード「悪」の使い道「違い」を面白がれる生の美意識どれほどアートの力が大切か自分は自分が大事、相手も自分が大事第5章 想像してみてほしい ヤマザキマリ「出る杭を打つ」日本を恋しがるイタリア人の夫思い知らされた「世間体」という日本の戒律想像力の欠如がヒトを危険生物化する人からの評価で自分の存在を自覚する人を脅かし群れさせる「孤独」の正体自他ともに失敗が許せない時代敵を味方に変えたフェデリーコ2世と空海の力本当の「正義」について考えてみるおわりに ヤマザキマリ引用進化の方向性としては、多様であることを支持するように進化してきているはずなのです。それなのに、貴重なはずの「異質な情報」「異質な思考」が、生贄として、社会という仮想的な巨大生物を維持するために、消費されてしまう。(中略)このパンデミックが後世、歴史的に何と呼ばれることになるかはわかりませんが、仮に「2020年のパンデミック」とするなら、せめて次世代には、教訓を残さなければと思っています。危機的な状況が起これば、少しでもはみ出した者から、生贄に捧げられてしまうのだよと。ヒトは放っておけばそういうことをしてしまう生き物なのだと。だからこそ、知性でそれを押しとどめる必要があるのだということを。感想2021年294冊目★★★『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリさんと、脳科学者の中野信子さんの共著。おふたりはプライベートで友人で、ラインなどのやりとりがこの本のきっかけになったそう。どんな話をするのかな、と思ったら、ローマの話や中世の魔女狩りと、今回のコロナの状況、日本人とネットとの親和性について…と多岐に渡り、興味深かった。「誰かが10万円もらえた、ということを、自分の脳は10万円損したように感じている」という脳の仕組み、今の子育て世帯への給付についてやいのやいの言うのも、子育て世帯のほうがマイノリティになった今、多くの人は「損した」と感じているからなのかな。本の中で初めて知った「スパイト行動」(相手の得を許さない、自分が損しても他人を貶めたいという嫌がらせ行動)。日本ではこれが顕著だそう。だからこその、「世間体」の中で生きる、「空気を読む」サバイバル。自分のなかにも、この気持ちってあるなあと思った。「ただ乗り(フリーライダー)を許さない」という気持ち。正義感のようなそれ。「自分はこんなに我慢している・負担している」とセットで、憤る。復讐心のように燃える。「よかったね」と思えない。何でなんだろうね、ほんと。私は「ドラえもん」ののび太をすごいと思っていて、それは「のび太の結婚前夜」でしずかちゃんのお父さんが「のび太君は、人の悲しみを悲しみ、人の喜びを喜べる人だ」と言っていたから。無理。そうは思えない。己の器の小ささに絶望する。本の中に何度も紹介される神聖ローマ帝国のフェデリーコ2世がすごい。6か国語を喋り、多種多様な教養を身に着け、各国文化にも造詣が深い。アラビア語を話してイスラム朝と協定を結び、エルサレムを無血開城させる。財力、教養、カリスマ、活動力を備えたまじやべえ奴…。ここで言語の有用性について触れられていたんだけど、やっぱり自動翻訳がどれだけ発達しても、肉声で意思疎通することの価値は残るし、機械が進歩するほどいっそう高まるんじゃないかな。相手の言語を学ぶということは、その文化や歴史、生活習慣もセットで学ぶということだ。そこに多大な労力を費やすということは、相手に敬意を払っているということに他ならない。相手の一部を自分の中に取り込み、自分の血肉にすることだから。朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で、どうして英語を学ぶんだろう、と主人公が言う。自分に英語を教えてくれた夫は、戦争で帰らぬ人となった。彼が身に着けた英語は、知識は、すべて無に帰してしまった。それなのに、どうして私は、まだ英語を学んでいるんだろう。学ぶことをやめられないんだろう。それに、アメリカ兵(大学で日本語を専攻していた)が答える。彼が遺したものが、与えた知識が、言葉が、あなたを生かしているのではないですか。景気が悪くなる。災害が起こる。世の中が閉塞する。人は、生贄を求め、集団から異質なものを排除しようとする。私はそれと言語を重ねて見る。違う言葉を話している人たち。それでも学び続けるのは、いつか話せる日が来ると信じるからだ。いつかわかり合えると、その日が来ると、純粋に願っているから。だって覚えている。はじめて言葉が通じた喜びを。簡単な挨拶を交わして、笑顔を返した時のこと。いつかすべてがうしなわれてしまうとしても。逸脱者を引きずり降ろそうとするときに。社会が徹底的に叩いて、世間が打ちのめして、ひとりを死に追いやる時に。私はどこに立っているだろう。そして思い出す。昔読んだ本の「世の錨となれ」という言葉。みんなが流れていく、その先に何があるのか。私は止まることが出来るだろうか。傾いていく秤の反対側に、重石を乗せることが出来るだろうか。それが小さな小石でも。↓ 「見たよ」のクリック頂けると嬉しいです ↓
2021.12.15
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本のタイトル・作者三人の女たちの抗えない欲望 [ リサ・タッデオ ]"THREE WOMEN"by Lisa Taddeo (2019)本の目次・あらすじ8年にわたる取材を通じて描く、3人の女性のノンフィクション。リナ夫にキスしてほしい。それだけの願いが叶えられず、別居に踏み切った主婦。高校時代の恋人と再会し、不倫関係を続けている。スローンレストランを経営する裕福な育ちの美しい女性。夫から第三者をあてがわれる性生活を続けている。満たされた環境にいるが、自分の存在を確かなものと思うことが出来ない。マギー高校生のとき、既婚の教師に弄ばれ、捨てられた。苦痛に満ちた数年のあと、相手を告発する。しかし周囲は彼女の被害妄想、金目当ての訴訟と決めてかかる。引用自分の幸せを見せてはだめよ。母は小声で言った。誰に?みんなに。母はうんざりしたように答えた。やっぱり私には通じないとあきらめたかのように。それから付け加えた。とくに、ほかの女性たち。感想2021年231冊目★★★ブリティッシュ・ブック・アワード受賞、ニューヨーク・タイムズのベストセラー1位、etc...。著者はジャーナリスト。タイトルから女性3人を主人公にした小説かと思ったら違った。(三人の逞しい女 [ マリー・ンディアイ ]のような感じかと思っていた。)これは…なんというか…すごいな。小説であってもすごいのに、実話なんだもの。官能的なシーンが多いのと、それぞれが破滅に向かっているようで、なかなか読み進められなかった。手負いの獣のような彼女たち。打ちのめされて、台無しにされて、どう生きていけばいいのか分からない。スローンが言っていたことが、すべてなんじゃないかと思った。生死を分ける大事故にあったとき、彼女の家族は誰も、彼女に「生きていてくれてよかった」と言わなかったのだ。生きていて良い、ここにいて良い。そのままで良い。存在を肯定されることがない彼女たち。だから、探している。もがいている。泥沼のなかに足を突っ込んで、そこから抜け出せなくなって。不倫、3P、教師との恋愛。世間的に非難されるべきことであるけど、3人を見ていると、そればかりではないと感じる。聖なるズー [ 濱野ちひろ ]を思い出した。愛は、人それぞれのかたちをしている。愛している、愛されている、と感じること。それがそのひとにとっての真実であれば、ほかの誰が何と言おうと、それは「愛」なんだろう。ただ、どうしてもそこに、「もっとほかの道があったのではないか」と思ってしまうのだけど。物語は彼女たちの視点で続いていく。私はマギーは教師を好きになったんだから、相手は薄情な奴だったけれど、それでいいんじゃないかと思っていた。エピローグで、マギーは教師にもてあそばれたのだ、と著者は書く。彼女には他にたくさんの可能性があった。未来があった。けれど教師は弱い彼女を狙い、とらえ、食い荒らして捨てた。狡猾な大人。そこを読んだとき、ほかの2人も同じなのだと思った。かぶりつかれ、屠られ、血を流している。物語は終わるけど、人生は続いていく。いつか彼女たちは、欲望にしたがった代償を払うのだろうか。もうすでに、抱えきれない負債を抱えて。愛されたかった、それだけなのに。↓ 「見たよ」のクリック頂けると嬉しいです ↓
2021.10.07
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本のタイトル・作者ドムドムの逆襲 39歳まで主婦だった私の「思いやり」経営戦略 [ 藤崎 忍 ]本の目次・あらすじ第1章 政治家の妻として人付き合いを学ぶードムドム社長の原点第2章 109の店長となり商売の面白さにハマるー主婦から店長へ第3章 新橋の女将になり人気店をイチから作るーアルバイトから起業へ第4章 50歳を過ぎての新たな挑戦ーついにドムドム社員に第5章 火中の栗を拾うードムドム社長に大抜擢第6章 愛されるブランドの作り方ードムドムの逆襲第7章 50年後も愛されたいードムドムの未来引用大学で学ぶことが全てではありません。主婦でも、小さなお店の店長でも、学べることはたくさんあります。性別や学歴に囚われることなく、自信を持って歩んでいただきたいと思います。与えられた環境が学ぶフィールドに変化し、私は育てられました。与えられた環境、目の前にあるものを、しっかり見つめて下さい。今の自分にできること、学べることがたくさんあるはずです。そして、体験してみてください。それが経験となって力や自信に変わります。経験に勝る資産はないのです。感想2021年読書:223冊目おすすめ度:★★★夫がドムドムのファンなので読んでみた。ドムドム…ダイエーの中にあったよね…。子供の頃、はじめて自分一人で行ったファストフードがドムドムだった。いつもきまって、目に鮮やかなバニラアイスの載ったメロンソーダ。氷に付いて水っぽい味のアイスを、惜しみながら舐めて。そんな、思い出のドムドム。ホームページによると、昭和45年(1970年)2月に会社が設立された日本で一番最初のハンバーガーチェーンです。私たちドムドムは、”美味しい商品を価値あるサービスでスピーディーに提供する”をモットーにお客様を大切に、そして喜んで頂けるお店作りを目指して、日本全国に27店舗のお店をチェーン展開しています。というわけで、今はもう全国に27店舗しかない。行こうと思ってもなかなか行けない、レアなお店。この本は、「39歳まで主婦だった私の「思いやり」経営戦略」という副題もあり、おぼろげに以前テレビの特集で見た「主婦のアルバイトから社長に」というシンデレラストーリーなのだと思っていた。第1章で「いやいやいや('ω')ノ」ってなったよね。生家は煎餅店と不動産業、損害保険の代理店業を創業。祖父の代から地方政治家で、2人の兄は墨田区の区長と防衛大学の教師。著者は初等部から青山学院、在学中に夫(12歳年上の国会議員秘書で、のちに区議会議員)と知り合い、短大卒業と同時に結婚。その後は夫の選挙活動をサポート。…ここまで読むと、「主婦とはなんぞや」ってなりますよね。育った環境で身に着けた基本スペックが違うのでは。で、「この調子が続くなら、この本読み通すのしんどいな」と思ったんですが、第2章以降は怒涛の展開で、面白く一気に読みました。39歳、夫が選挙に落選。心筋梗塞を発症。働かざるを得なくなり、知人の母が経営する109のショップで店長に。…店長かーい!笑でもここでこの方が違うのが、もう初日から経営者目線でめちゃくちゃ分析して改善していくところ。「使われる」ことに慣れていると、それって出来ない。持って生まれたもの×環境なのかもしれないけれど、この方の性格というか、素地なのだと思う。「はじめてだから」「素人だから」「主婦だったから」「働いたことがないから」…いくらでも、言い訳できるじゃないですか、自分に。でも、しない。やれること、変えられることを見つけて、どんどん試していく。そして店は109でも売上坪効果トップ10に入るまでに。しかし店長を解雇され、今度は居酒屋でアルバイト。5か月目に自身で店をオープン。ドムドムの商品開発を打診され、顧問契約。そこからドムドムの社員へ。スーパーバイザー(統括エリアマネージャー)として東日本を飛び回る。しかし、現場の声が運営本部に届かない…。「私を、意見の言える立場にしてください」と専務に直談判。2か月後、代表取締役に就任。…はー!息つく暇もない八面六臂の大活躍。ほんと働くことが好きなんだろうなあ。能動的に、自分からどんどん動いて、周りを動かしていく。チャンスは自分でつかむもの。そのために積み上げることも忘れない。すごいなあ。私ならきっと、不平不満を口にして現状を甘んじて受け入れてしまう。そういうものだ、と諦めて。ドムドム、色々楽しいことをしているんですね。あまり外食しないので知らなかった。厚焼きたまごバーガー食べてみたい。丸ごとカニバーガー…食べにくいのでは…?しかし、面白い。この「わくわく」するこの感じ、大事。働く人も、お客さんも。SNSは「わくわく」を共有しているよな。感情が動く。人が動く。著者は、ドムドム人気には「絶滅危惧種を救おう」という応援の気持ちがあるのでは、という。それ、面白い。アプリを開発して寄付機能を持たせられたら、と仰っていたが、ドムドムと相性が良い気がする。ドムドム行きたいなあ、とホームページのメニューを見る。今は「丸ごと!!カレイバーガー」。すごいな、ヒレまで…。思い出のメロンソーダは…あれ?ソフトフロート?もしかして記憶違い?アイスを沈めて遊んだような気がしたのだけどな。それぞれの人が、それぞれに。みな、ドムドムの思い出を持っている。↓ 「見たよ」のクリック頂けると嬉しいです ↓
2021.10.02
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