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2024年12月02日
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カテゴリ: 雑感
論語に人生七〇にして心の欲するところに従いて矩を越えずという言葉がある。
これは普通、修養の果てにようやく人格が完成すると解するのだが、しかし、考えてみれば、七〇になれば様々な欲望が衰えていく。心の欲する範囲が狭くなれば矩を越えないのは当たり前ではないか…とひねた解釈もできるように思う。
高齢社会というのは社会全体の欲望の総量が少なくなる社会である。
食欲の総量も人口減少だけでなく高齢化という要因もあって、社会全体の総量は減少する。あのバブル期のグルメブームなどはるか昔のように感じるのは気のせいだろうか。
食欲ですら少なくなるのだから、別の欲望はなおさらだろう。クリスマスがホテルの予約で一杯になり、その後は貴金属を金に換える人々で質屋がにぎわったのも今は昔。クリスマスは恋人の日というイメージもだいぶ薄らいである。映画やドラマでも、激しく一途な恋の物語などというのはうけず、愛だの恋だのを歌う歌も流行らなくなった。
社会全体の欲望の減少は、高齢世代だけでなく、全世代に及んでいるように思う。
若い世代を称して悟り世代などという言葉があるが、これはいいかえれば欲望の少ない世代ということである。受験競争などという言葉がいつのまにか死語になったのも、必死に努力しなければ手のとどかないようなところを目指さなくなったことがあるのかもしれない。無理したって仕方ない、なるようにしかならない、身の丈に合ったものでよい、欲望は苦しみの素…こういうのが悟りなのだから。
これは結婚とか子育てとかいったしんどいこと、責任の重いことをさけるという発想につながる。結婚して人の人生につながるのはしんどいとか、ましてや一方的に負担を負う子育てはとんでもないと考える。だから条件の良い男女は若いうちに結婚をするが、それをすぎると結婚をしたいという人は減る。婚期をあせる女(男)という言葉もそういえば最近きかないし、農村や自営業の嫁飢饉なんて言葉も消えた。結婚や子育ては人生の必須項目ではなく、逆に人生の落とし穴と感じる人が増えたのではないか。
戦前に生まれた世代は兄弟数が異様に多い世代だが、その後は兄弟は二人か三人があたりまえ、さらにその下だと兄弟は一人か二人が普通で、その子世代は今の若者になっている。とりわけ裕福でなくとも持ち家くらいは相続できそうだし、自分に子供がいなければ老後もなんとかやっていけそうだ。ならば結婚なんていうリスクは犯さずに平穏に暮らそう。そんなふうに考える人が案外と多いのかもしれない。





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最終更新日  2024年12月02日 18時10分09秒
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Re:高齢化社会と欲望(12/02)  
・曙光 さん
>ならば結婚なんていうリスクは犯さずに平穏に暮らそう。

人類の究極の生きる意義は種の保存に尽きるのです。
独身で一人で勝手に生きていても、それは人類としての基本的役割を放棄している状態で、須らく時間の浪費で、究極の人類としての役割、機能を放棄した空しくも虚ろで怠惰な状況、乃ち時間の無駄遣いと言えるでしょう。

皆が独身の方が楽でよい、子供がいない方が楽でよい、と為ったら、人類は地上から絶滅します。
人類も生物である以上、この世に生を受けた者の、一人ひとりの最低限の務めは、子孫を地上に残すという事に尽きるのです。

この最低限の人類の務めを放棄している独身者は、残念ですが、死ぬまで半端もの、人間としての出来損ないの誹りは免れ得ないでしょう。

仕事以外に遊んでいる暇が、勉強している暇が、趣味をしている暇があるなら、男女共に、結婚相手を見つけるべく、自ら手と足と頭を使って、彼女を、彼氏を求めて、東西奔走して然るべきでしょう。
それがこの地球において生を受けた一人ひとりの人間が、最低限果たすべき、基本的責務、基本的役割と言えるでしょう。
(2024年12月02日 20時37分04秒)

Re[1]:高齢化社会と欲望(12/02)  
・曙光さんへ
かつては農家や自営業の「嫁不足」というものが社会問題でした。
一方で女性、あるいは男性にも「婚期」というものがあり、婚期を逸しかけている女性のあせりなどもよくドラマのテーマになっていたように思います。
つまりある時期から、皆が結婚したいものであるという暗黙の前提がなくなっていた。もちろん条件のよい男女は結婚していますが、そうでなければ無理に結婚なんてしなくてもよいよね…となっている。
これはよいとか悪いとかではなく、そういう変化のようにみえます。 (2024年12月03日 12時38分55秒)

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