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2025年11月06日
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カテゴリ: 読んだ本


こうした純文学というのは今ではあまり読まれないのではないか。しかし、中高生の頃には、日本文学といえばこうしたものだった。「暗い絵」は作者の体験が相当に反映されている私小説風の小説である。ここでいう暗い絵とは作者が友人の下宿で見たブリューゲルの絵であるが、それと戦争に向かう暗い世相、政治活動に関与する学生らをとりまく状況を暗示させている。
 これに比べると「顔の中の赤い月」は題名は奇抜なのだが、ずっと小説らしい小説である。戦争で九死に一生を得て帰国した主人公だが、生活はまだ安定していない。彼は事務所が近いということで、二人の戦争未亡人と知り合うのだが、彼女らも売り食いの生活をしている。主人公は一人の戦争未亡人に惹かれるのだが、過酷な戦争体験の中で人間の醜さをさんざんに見てしまったことが、彼女との仲を遠ざける。
 大正二けた生まれというのは貧乏くじ世代といわれる。この世代の多くは戦場に行った。そして無事に帰ってきたものも戦争体験を語らない者が多い。文学の世界でも戦場体験そのものを基にしたものは少ないように思う。「顔の中の赤い月」や同じ短編集に収録されている「崩壊感覚」や「残像」でも戦場から帰ってきた者の屈折が描かれているが、戦場そのものは描かれていない。女も急激な価値観の崩壊でどこか自堕落な感じの者が多い。
 しかし、戦後の復興というものの中心を担ったのはまさにこうした貧乏くじ世代である。戦場体験と戦前体制の転換の中で価値観のすっかり変わった人々が一方にいて、その一方には戦後改革の「いきすぎ」を憂う戦前に郷愁を感じる人々もいた。戦後しばらく続いた保守対革新という構図もこうしたものが背景にあったのかもしれない。この世代もしだいに消えつつあり、保守対革新というのも、すっかり過去の話になっている。その戦後日本で革新の中核を担ってきた政党社会党の後身の社民党もごく少数の人間同士が離党をめぐって争っている。戦後は遠くなりにけりであろう。





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最終更新日  2025年11月06日 22時08分23秒 コメントを書く
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