あま野球日記@大学野球

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2013.10.19
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カテゴリ: 近鉄バファローズ

■今日(10月19日)、「10・19」25周年トーク&ライブ(第1部)に行ってきた。

あれから25年経った。早いようでもあり、長かったようでもあり。

ただ、この25年の間に、あの時の記憶が薄れてきたことだけは間違いない。

たくさんのシーンがボクの頭の中に残っているものの、それがダブルヘッダーの第1試合だったか、第2試合だったか記憶が危うくなってきた。また、第2試合は延長10回まであったことを忘れてしまい、先日のブログでは、近鉄ナインの最後の守備を「9回裏」と書いてしまった。嗚呼、恥ずかしい・・・。

そんなものだから、今日のイベントはとても有難かった。お蔭さまで、薄れかかっていた記憶を少しだけ取り戻すことができた。



■ゲストには、当時近鉄のコーチだった 中西太 さん、そして第2試合で同点本塁打を放った憎きロッテの 高沢秀昭 さん(笑)。

中西さんは、いま齢80歳と自ら話していた。足腰が多少弱っているようにお見受けしたけれど、メリハリのある語り口は、ボクの知っている以前の中西さんとまるで変わらなかった。

面白かったのは、第1試合の9回表、梨田昌孝の適時打で生還した故・鈴木貴久と抱き合いながらグラウンドを転げまわっていた理由。

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(写真)中西太さん、齢80歳。

それは、ボクにとって最も記憶に残るシーンだ。中西さんも鈴木も感極まって抱き合いながら転げまわったものと思っていた。でも、実は違った。

当時、中西さんは気管支を患い、呼吸することがつらいほど体調が悪かった。そんな最悪の体調の時、鈴木が本塁まで駆けてきた勢いで中西さんにしがみついたものだから、ただ押し倒されただけなのだ、と。

一瞬会場が静まり、直後にどっと笑いが起きた。
なんだよ・・・、25年も大事に温めてきた記憶は、ただそれだけのことだったのか!(笑) 

たぶん会場にいた多くの人がボクと同じ気持ちだったと思う。ただ、その後に 「でもね、あの足の遅い鈴木がね、よくセーフになったよね」 としんみりと話した下りには、いまこの世にいない鈴木のかつての雄姿を思い出し、ボクは目頭が熱くなった。

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(写真)生還した鈴木貴久と抱き合う寸前の中西太さん。このあとに2人でグラウンドの上を転げまわった。右端は安達俊也。~『近鉄バファローズ大全』(洋泉社)より~



■ロッテ・高沢さんもステージに登場した。

拍手で迎えられた高沢さん、冒頭にこう言った。
「第2試合で余計なホームランを打ってしまった私が、近鉄ファンが集まるこのイベントに出席していいのだろうかと迷いました。でも皆さんに温かく迎えてもらって嬉しく思います」
この一言で、会場を埋めた近鉄ファンの心をつかみ会場がどっと沸いた。

高沢さん、つかみはOK!

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(写真)高沢秀昭さん。


続けて第2試合の8回裏、自ら打った同点本塁打について話し始めた。
「打った瞬間はフェンスに当たると思い、全速力で一塁に走りました。そして打球の方向を見て、本塁打になったことを知り、『あ、入ってしまった・・・』と思いました。二塁ベースを回るとき、個人的にも親交のある大石大二朗には、心の中で『申し訳ない・・・』と語りかけました」。

「やった、入ったぞ」ではない、「あ、入ってしまった」である。

この時、首位打者がかかっていた高沢さんは、必死だったはずである。なのに、わずかでも後悔したような話を聞くことで、高沢さんの人柄を知ることができた。そして 「首位打者争いだから、別に本塁打でなくてもよかったんです。本当はヒットでよかったんですけどね」 と続け、会場の爆笑を誘った。



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(写真)同点の本塁打を放ち二塁ベースに向かう高沢秀昭さん。うなだれる近鉄・阿波野秀幸。ボクはこの瞬間、何が起きたかよくわからなかった。たぶん口をあんぐりと開けて打球の飛び込んだスタンドを見ていたと思う。そしてしばらく間をおいて、同点に追いつかれたことを知った。~『大阪近鉄バファローズ 伝説の野武士軍団BOOK』より~



■さらに高沢さんは、お互いのベンチの状況を話してくれた。
近鉄ベンチからの野次はロッテベンチに筒抜けで、その野次が逆にロッテ選手の心に火を点けたのだと。

第1試合に勝利した近鉄は、その時点で圧倒的に有利だったはずである。「流れ」から言えば、第2試合はほぼ間違いなく勝てるはずだった。なのに勝ちきれなかった。それは、勝つこと、優勝することに慣れていなかった球団の、悲しいかな「性」だったのかもしれない。野次を飛ばして、相手を必要以上に刺激する必要はなかったのだ。高沢さんの話を聞き、そう思うに至った。

ここまで書いて、第2試合で主審を務めた 前川芳男 さんが語った回想記(雑誌『近鉄バファローズ大全』(洋泉社)を思い出した。前川さん曰く、

近鉄ベンチの焦りが、ロッテの闘争心に火をつけてアドバンテージを消してしまったんですよ。近鉄ベンチの焦りは嫌でも伝わってきます。6回表、ロッテの園川がカーブを投げました。ストライクです。私は自信をもって三振であることをコールしました。でも、あの試合は抗議権のない中西太コーチが喰ってかかってきましたからね。

焦りは、仰木監督からも感じられました。9回の有藤監督の抗議の際に、仰木監督も出てきて「大事な試合なんだ、(時間がないから)もう、いい加減にやめてくれ」みたいなことを言ったんですよ。その時、有藤監督が言ったことをよく憶えています。

「絶対に負けない!」

近鉄ベンチの焦りが、モチベーションは高くなかったはずのロッテの闘争心に火をつけたように感じましたね」



■今日のイベントに、ボクは zappaloes さんと行ってきた。1988年10月19日、ボクたちは川崎球場にいた。ただ、その頃は知り合いではなく、まったく別の場所にいた。彼はネット裏、ボクは三塁ベンチの真後ろ。

それから25年の時を経て、また近鉄応援団のトランペットが鳴り響く同じ空間にいる。近鉄が結びつけた不思議な縁だと思う。お互いに当時は独身だったけれど、今はどちらも子供が成長して20歳前後に達している。

この25年は早かったのか、長かったのか・・・。

何度考えても答えは出てこないが、この間に様々な人生経験があって、そして25年後に出会う機会を作った近鉄バファローズ、そして10・19の吸引力は計り知れないほど強いものだと改めて思う。



■イベントの最後にプレゼントの抽選会が行われ、ボクはこのイベントの主催者である 佐野正幸 さんの著書『1988年10・19の真実』(主婦の友社)が当たり、有難いことに、ご本人から直接いただくことができた。zappaloesさんは旅行宿泊券だと!

最後に、
佐野さんはじめ、素晴らしいイベントを企画していただいた主催者の皆様、本当にありがとうございました。感謝いたします。



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(写真)前述のとおり。






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Last updated  2013.10.20 02:33:01
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