ひよっこ血液内科医の独り言
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さまざまのことおもひ出す桜かな 芭蕉桜が満開である。桜についての一番古い記憶は幼稚園の頃、家の近くの桜の木が切られると聞き「好物の桜餅が食べられなくなる」といって泣いたことだった。その心配は杞憂だと知った春、買ってもらったばかりのランドセルを背負った6歳の私のとなりにも桜は写っている。アルバムをめくれば、それから中学校入学、高校入学、大学入学と、節目の写真にはどれも桜が色を添える。社会人になってからの桜も感慨深い。新たな職場へ希望半分、不安半分で向かう道すがらに見た桜。別れの季節のほろ苦さを味わいながら見た桜。自信が持てず地面ばかり見ていた時、散り敷いた花びらに思わず見上げた満開の桜。患者さんを看取って帰る早朝の神がかり的に美しかった朝焼けの桜。咲いたと思えばすぐに散ってしまう、一瞬だけの美しさ。その強烈な印象が、ちょうど春という変化の季節にある人々の記憶を焼き付ける。いろいろな人の人生の節目を切り取り、思い出させる一種の装置、それが桜なのかもしれない。今年の桜を思い出す時、未来の私は何を思うのだろうか。
2015年04月06日
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