遊心六中記

遊心六中記

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

茲愉有人

茲愉有人

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません
2017.01.10
XML
カテゴリ: 探訪 [再録]


宇治十帖の「浮舟之古蹟」碑を確認するために、三室戸寺を訪ねた(2014.1)ことは既に再録しました。 この古蹟についてはこちらもご覧いただけるとうれしいです。
(探訪[再録] 源氏物語・宇治十帖ゆかりの地 -4 浮舟・蜻蛉の古蹟)

三室戸寺の所在地地図(Mapion)は、こちらからご覧ください。

宇治に住む地の利を活かして、秋の紅葉(2009年11月)、紫陽花の季節(2013年6月)の昼間とライトアップのときにも訪れています。
そこで今までに数回訪れた経験と写真記録から、明星山三室戸寺そのものを再認識するためにも一度整理してみることにしました。

季節の移ろいを含めスポット探訪としてご紹介したいと思います。一度、宇治の里をお訪ねいただくきっかけになれば・・・・ハッピーです。

冒頭の写真は拝観受付所の手前にある寺号標石です。閉門間際に退出して撮った写真ですのでゲートが半分閉まっています。そして、拝観受付でいただいたリーフレットです。

本山修験宗の別格本山 です。現在は 「花の寺」「あじさい寺」として有名 になっています。 (資料1,2)
神仏霊場第124番の札所 にもなっているようです。 (資料3)

ちょっと興味深いのは、『都名所図会』に「本尊千手観音は閻浮檀金 (えんぶだごん) の立像にして、長 (ちょう) 八寸二分なり」と記されていることです。江戸時代のガイドブックには、秘仏のことがこんな風に伝わっていたのです。校注者は「仏典に見える閻浮樹の大森林を流れる河中より得た砂金で造ったという仏像。原文は円浮檀」と脚注を付しています。 (資料2)


ゲートのすぐ傍、拝観受付所の反対側にこの境内社があります。 新羅大明神祠 です。



石鳥居の右手にある説明碑に記されているのですが、もともとは本堂の東に在ったものを昭和30年にこちらに再建したそうです。貞観年間に天台座主智証大師がこの地に来られたときに、疫病退散祈念のために勧請されたのだとか。
貞観年間は859~877、上記の寛平年間は889~898ですので、智証大師円珍は幾度かこの三室戸寺に留錫していることになります。
これでまた、三井寺を探訪したときに学んだ事柄との思わぬ結びつきがでてきました。つまり、三井寺-智証大師-新羅善神堂(ここは未訪)というつながりです。後日、三井寺の探訪記も再録したいと思っています。




拝観受付所から参道は舗装された緩やかな坂道になっています。



三室戸寺の朱塗りの山門への途中に、この句碑が目にとまります。

ネットで調べてみると、岡井省二(1925~2001)の句(句集『鯨と犀』所収)。
三重県生まれで俳句は加藤楸邨に師事し、森澄雄の「杉」の同人になった人でした。
内科医であり、かつ俳人として「槐」を創刊し主宰されていたようです。 (資料4)

手許の本に所載の句を一つご紹介しましょう。
     三室戸寺一条の滝かくし持つ  桂 信子     (資料5)


参道の左側に、 薬師如来と記された小祠 があります。

     小ぶりな石仏が祀られています。

そして小祠の左側にもずらりと石仏が並んでいます。
 一番左には苔むした地蔵尊


その先に山門が見えます。
  紅葉の秋に訪れて

 紫陽花のライトアップの時期に訪れて


参道越しに庭園を見下ろすと、1月に訪れたときはこんな感じです。


          6月の紫陽花の時季。昼間とライトアップ。





山門を入り、しばらく参道を上がると、


 秋に
「常楽苑」 と太字で陰刻された石標があり、 右の坂道を下ると広い庭園に 向かいます。
5000坪の大庭園です。6月は紫陽花、秋は紅葉できれいですよ。



「常楽苑」碑を右に見て真っ直ぐに本堂への参道を歩み始めるとまた石碑があります。「常楽苑」碑の背後になります。
碑文冒頭は「旺俳茶□□碑」と私には部分的に読めるだけのです。残念ながら碑文を読解できません。末尾には「天保八年・・・」という日付が刻されています。
ちょっと、気になりますねえ・・・。


そして、左手斜め方向に、「宇治市莵道滋賀谷」と表示されて、地図や歴史街道の説明掲示が設置されています。
 説明文を拡大してみました。


この石段を上った高台が本堂などのある境内です。
左側には舗装された坂道が回り込む形で高台境内の左奥の方に繋がっています。
 石段の前にメセージ。「ようおまいり」

「遠路はるばるようこそ。よくお参りくださいましたね」
「十分におまいりくださいね」

「よう」という言葉は、ダブルミーニングになっているのでしょうか・・・・。
私は、この言葉の語りかけ方のイントネーションで、掛詞のようにいずれかのニュアンスを感じとってしまうのです。

では石段を上っていきましょう。

つづく

参照資料
1) 三室戸寺  ホームページ  
三室戸寺略誌
三室戸寺  :ウィキペディア
三室戸寺  :「西国三十三所巡礼の旅」
2)『都名所図会』 下巻 竹村俊則校注 角川文庫 p112
3) 神佛霊場会 公式ホームページ http://shinbutsureijou.net/kyoto.html
4) あぢさゐの色をあつめて虚空とす  :「深秋会」
岡井省二  :ウィキペディア
5) 『名所で詠む 京都歳時記』 京都名句鑑賞会編  講談社ことばの新書 p220

【 付記 】 
「遊心六中記」としてブログを開設した「イオ ブログ(eo blog)」の閉鎖告知を受けました。探訪記録を中心に折々に作成当時の内容でこちらに再録していきたいと思います。ある日、ある場所を訪れたときの記録です。私の記憶の引き出しを兼ねてのご紹介です。少しはお役に立つかも・・・・・。ご関心があれば、ご一読いただけるとうれしいです。

補遺
行表  :ウィキペディア 
円珍  :ウィキペディア 
西国三十三所  :ウィキペディア
花山天皇  :ウィキペディア 
本山修験宗 →  本山修験宗総本山聖護院  トップページ
本山派  :ウィキペディア
大安寺  :ウィキペディア 
大安寺  ホームページ
光仁天皇  :ウィキペディア 
歌碑・句碑巡りコース  pdfファイル  :「宇治観光ボランティアガイドクラブ」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

スポット探訪 [再録] 宇治・三室戸寺細見 -2 本堂、不動水、狛(牛、兎、蛇)、芭蕉句碑 へ
スポット探訪 [再録] 宇治・三室戸寺細見 -3 本堂、阿弥陀堂 へ
スポット探訪 [再録] 宇治・三室戸寺細見 -4 浮舟之古蹟、鐘楼、三重塔 へ
スポット探訪 [再録] 宇治・三室戸寺細見 -5 十八神社、霊宝殿、三室戸寺庭園 へ
スポット探訪 [再録] 宇治・三室戸寺細見 -6 庭園:紫陽花の咲く頃に へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.01.12 20:58:42
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: