2005/06/14
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テーマ: 本日の1冊(3797)
カテゴリ: 日記あれこれ

オルファクトグラム
井上夢人

……………………………

「イヌは、飼い主の命令に従おうとする。それは、彼らが飼い主の匂いの変化を見ているからだ。(略)そして知りたいと思う。どうしたら、飼い主が幸せな匂いに戻ってくれるのか」

自分が見ているものと夫や友達…他者が見ているもの、
本当に同じものなのか時々考え込んでしまうことがあります。
私=あたるは視力がとても弱いので、
裸眼で生活できる人や自分よりメガネの度が弱い人は
絶対に見ることのできない「ぼやけた」世界を知っているから。
メガネやコンタクトで修正された私の視界は


「赤」っていう色にしても、私が認識している「赤」と
他の人が認識している「赤」って同じなのかな?
同じように光を反射している物体だとしても、
受け取る側の処理によって 違うイメージとして記憶されてたりしないのかな?

もっと身近な話だと…
同じTV番組を見ていても、同じ車でドライブしていても
自分と他者では記憶に残っている場面が違っていたりするでしょ?
私は俳優のあご=ひげのあたりを見ていることが多いけど、
目を見てる人もいるだろうし、耳をつい見ちゃう人もいる…。

私はそんなことを考えて1人わくわくしている女なわけですが、
この本はそんな わくわく感をもっと広げてくれます♪

そのタイトルの通り、とある事件に巻き込まれたことがきっかけで
人とは全く違った嗅覚の世界を手に入れた男が主人公になっています。

嗅覚がすごいっていうと、つい何でもかんでも臭く感じそうとか考えちゃいますけど、
井上夢人の表現は全く思いもつかないものでした。
こんなに綺麗な世界が表現できるとは…。


主人公が巻き込まれた事件の犯人が犯罪を犯す動機について
全く触れられていなかったことに 読み終わってから気づいたんですけど、
まったく気になりませんでした。
猟奇的犯罪が軸になった作品にも関らず、世界感…そして文体のリズムに酔わされる、
物悲しさやほんわか幸せムードすら漂う1冊。
すばらしく自然に機能する複線にも注目。再読したいミステリです。

ちなみに写真&リンクは新書版。
今年2月に上&下分冊で文庫化もしました。
2冊買ったら 新書と値段一緒だよw


【井上夢人コーナー】
井上夢人といえば「岡嶋二人」。
以前はご友人と組んで このペンネームでミステリを書いていらっしゃいました。
コンビを解消後に井上夢人として再デビューしたわけです。
どちら名義の作品も読みやすい文体と 説明的に感じない世界観の表現で
知らないテーマの作品でも すんなり読みきれると思います。
しかも読み応えはがっつり!かなりお勧めです。

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最終更新日  2005/06/14 03:12:44 PM
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