私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2017年05月26日
XML
カテゴリ: 千の朝


 ウサギ小屋だといったが、
 私たちの家は、
 欧米とはべつの哲学で建てられたものである。

 建造物を永遠の生命体とは考えないのが
 日本人の特徴である。

 それに日本には貴族制度がなく、
 ヨーロッパのように貴族制度を前提とした
 財産の世襲や階級格差がないので、


 日本では、
 人びとの所得水準は平準化しており、
 行政も「ナショナル・ミニマム」の考え方で
 貫かれているので、
 すべてのひとがおなじような生活様式、
 生活水準あるいは可処分所得の水準を
 与えられることになる。

 だから、
 建てられる家の水準もだいたいきまっている。

 こうして突き詰めていくと、
 昔の基準では文明とはいえなかったものが、

 実質をなしていることがわかるのである。

 〈フローの文明〉の特徴は、
 思想的には徹頭徹尾、
 無在庫の思想を貫くことである。


 無在庫の発想は日本人の特技である。

 物理的に存在するものを文章などで表現することは
 記号化と呼ばれるが、
 この記号化、情報化も
 無在庫化のひとつの手段である。

 無在庫化のためには、
 焼いたり壊したりするのが
 いちばんてっとり早いのだが、
 それをしてはならないのが
 文明のストックのおきてである。

 だから、ほっておくと、
 文明は在庫をもて余すことになり、
 そこでひとつの知恵として
 フロー化の精神というものが生まれてくる。

 日本人の感覚は〈フローの文明〉的なものに、
 とにかく向いている。

 私が驚いたもののひとつに、カプセルホテルがある。

 このようなものは〈ストックの文明〉にはありえない。

 外国のホテルは、歴史的に、
 日常の生活様式の連続を
 優雅に楽しむためのものだから、
 一応の居住空間でなければならない。

 そこには応接間やバス・トイレ、
 できればキッチンも必要で、
 日ごろ慣れ親しんでいる
 物理空間の再現でなければならない。

「フローの文明・ストックの文明」 矢野暢 PHP





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017年06月06日 07時41分18秒
コメントを書く
[千の朝] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: