地球人スピリット・ジャーナル1.0

地球人スピリット・ジャーナル1.0

2007.10.11
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「人間・動物・機械」 奥野卓司 2002/01 角川書店 新書 201p
No.816 ★★★★☆

 ブログという性格上、出来れば新しい最新刊中心にコメントをつけるほうがいいのかもしれないが、図書館利用というベースを考えれば、必ずしも近刊中心というわけにはいかない。しかし、むしろ資料性の高い研究や著者なら、図書館は過去にでた出版物を長期にわたって保存してくれているので、より深堀しようという時には、とてもありがたい存在だ。

 最初は手当たり次第、という雰囲気だったのだが、できれば21世紀になってからのもの、しかも、自分の関心あるテーマ(ようやくぼんやりと見えてきたかなぁ、という段階だが)により近い本を読んでみようと、とは思っているが、正直言って、これだけの絞込みだけでは、世に流通する本を十分に理解することは無理だ。今後はさらに絞込みが必要になってくるだろうと思う。

 最初は図書館の一般開架に並んでいた一冊の本についてのコメントだけだったが、著者自身からのコメントをいただき、思い立って何冊かの著書を拝見しているうちに、なるほど、これは現在の自分の中で漠然としている「求めるべきテーマ」とかなりリンクするかもしれないぞ、と思うようになってきた。ある意味、今後の絞り込みはこちらの方向に向けていってもいいかもしれない、という大いなる期待を持たせてもらった一冊。

 この本を読みながら、ちらちらと
森健 の一連の著書のことを考えていた。行きがかり上、彼の仕事については、よく理解がすすまないまま、個人的にはあまり高い評価を与えることができなかった。奥野の 「日本発イット革命」 「パソコン少年のコスモロジー」 「ポスト・コンピュータの世界」 そしてこの「人間・動物・機械」と進んできて、2001~2年におけるモダニズムというか潮流というものが大きくバイオテクノロジーに注目が集まっていたのかな、と思った。また、IT人工知能やロボット論議も盛んに行われていた時代なのかもしれない。思えば田中伸和の 「未来のアトム」 もなかなか感心しながらゆっくり読んでみたのだが、思えば、この本も2001/7にでたのであった。そして、これらの時代性のなかで、「パソコン少年」奥野は、この「人間・動物・機械」をものしたのだった。

ぼくは小学校から中学校時代を通じて、アマチュア無線と昆虫観察に熱中していた。ハム少年でもあり、昆虫少年でもあったのだ。
 昆虫少年とは言っても、京都の北山を捕虫網を持ってかけまわっていたのは、その後の偉い生物学者たちと同じだが、彼らのようにいわゆる「昆虫採集」には熱中できなかった。
 むしろ昆虫の動きが漠然と不思議に思えただけだった。多数の種類の昆虫を集めたり、あるいは一種の昆虫をたくさん集めたりすることよりも、林や草むらに生息しているそれぞれの昆虫がなぜ動くのだろうかという不思議に惹かれていた。人間とまったく違う動きをしていることに、なぜか奇妙な違和感を抱きつづけた。
p80

 著者はパソコン少年である前に、ハム少年であり、昆虫少年であったことを知ったことはとても貴重だ。このブログではあちこちうろうろしているのだが、以前読んだ
井上順孝 島薗進 の宗教学的社会学、あるいは社会学的宗教学的世界に、強い関心を持ちつつも、なぜかのめり込めないのも、その著者がどのようなキャラで、どのような経緯でその研究に入っていったのか、いまひとつ良く分らないからだ。それを知りたいのなら、本をすてて直接会いに行けばいいじゃないか、という声も聞こえそうだが、これだけインフォメーション・テクノロジーが進んでいる時代に、自らのパーソナリティをもう少し肩書き抜きに表現することはとても大事なことだと感じる。

 なにも閉鎖的人格に必要以上に迫る必要もないし、またボロボロになるまで人格を開放する必要もないが、せめてフレンドリーと思えるほどのキャラの作り方があってもよいと思う。他の書き込みでも何度かか触れたが、現在の私の仮説によれば、とにかく
6次の隔たり で40人の本当にアクティブに双方向対話が出来れば、地球上の60億の人々にこちらからのメッセージが伝わるはずだという思いがあるし、60億人の声が集約された形で私の耳にも聞こえてくるはずだ、という期待感がある。そして、その40人を獲得するには、パレートの 80:20の法則 で、なにはともあれ200人の人々と触れ合うチャンスを作っておけばいいのだろう、という「悟り」がある。

こうして、この「人間・動物・機械」というテーマを論じるためには、文化人類学、動物行動学、情報工学という三つの異なった領域からの接近が必要だった。この学際的な試みを(「インターディシプリナリー」とぼくが呼ぶ方法で)行うことができたのは、自分がこれまで、たまたまそれらの研究領域を渡り歩いてきたからだった。このことを(とくにこれから自分の専門を開拓しようとする若い人々に)知ってもらいたいとの思いもあって、その「自分史」を恥ずかしさを感じつつ、第2章でやや長く述べてしまった。ここに退屈を感じられた方は、飛ばして読んでもらってもよい。 p200

 本を読む楽しみは、この「自分史」をチラチラと読み取っていくところにもあるのだ。作られた自分史を見破ることも楽しみだし、その矛盾の中から、むしろ人間存在の「不合理性」を読み取るときもある。

 いろいろこの本について書きたいこともあるが、今朝はこのくらいにしておこう。いままでブログを書くことは自分の楽しみだったので、あまり気にしなかったのだが、他の人のブログから、一エントリーにかける時間はできれば30分程度にしようとかなぁ、と最近思い立った。それで記録を取ってみたのだが、このエントリーを書き始めてもうすでに一時間が経過した。他の作業をしながら、一エントリーを書くにもそれなりにエネルギーが必要である。読む側に立ってみても、冗漫な書き込みにはつきあっている暇もないだろう。

 なにはともあれ、この本は、わがブログ上においては
「シンギュラリタリアン」 カテゴリの正道にある、ということだけメモしておこう。





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Last updated  2009.01.22 12:20:52
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