ゲルク派版
「チベット死者の書」
平岡宏一 1994/12 学習研究社 全集・双書 236p
Vol.2 No.281 ★
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本書を開く前は、 「原典訳 チベットの死者の書」
と比較検討してやろう、なんて漠然と思っていたのだが、本書を開いてみれば、そんな考えは単に愚かな発想であることがすぐに分かった。原典訳といい、ゲルク派といい、エヴァンツ・ヴェンツ版といい、それらは一つ一つが独立した書物であり、また、互いに補完しあう大きな経典の中のひとつの現れ方なのである。
この本、学研からでているので、どこか月刊雑誌「ムー」の香りがする。特段にあの渾然としたカオスを感じるわけではないのだが、レイアウトやカラー写真の色調からそう連想したのであった。さっそく本棚から学研の 「チベット密教の本」 を持ちだして眺めてみると、この本のなかにこちらの「ゲルク派版」出版の宣伝が掲載されていた。この二書は同時期に発行されたものだった。
学研「チベット密教の本」の巻末には「チベット密教ブックガイド」が載っていた。5~60冊の本がリストアップされており、正木晃版 「さらに深くチベットの歴史を知るための読書案内」 と多くの書物がダブっている。しかし、1994年当時のリストであるので、それ以降に発行された本が載っていない分、やや古い本たちである。もちろん、それぞれ片方にしか紹介されていない本もあるので、いずれ正木リストを読了したら、学研版で補完してみるのも面白いかも。
さて、本題の「ゲルク派版 チベット死者の書」に戻ってみると、雑誌「ムー」を読みだすかのような、なんともお手軽な雰囲気さえ感じ、確かに字も大きいし、行間も大きいので、実に読みやすい。あっという間に読み終わってしまうのだが、これがなかなか深い。簡単であるがゆえに深淵な真理が垣間見える気がする。
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